「違う違う、そうじゃ、そうじゃない。私が行きたいところはこっちではない。」と、言ったところで無情にも押し出された私の身体とバイクは逆らう事もかなわずピットレーンに流れるように吸い込まれていくのである。
ピットにはまるで事が把握できない間にやってきた厄介者にあっけに取られた表情の松田氏(通称:まっつん)がスペアバイクを持ったまま立ち尽くしていた。
認知・判断・行動!
私の脳裏に過るシクロクロスのルールを駆け巡らせた結果、選択肢が脳裏に瞬時に浮かび上がり
> 1.そのまま通り過ぎる
> 2.足を一度着いて再スタート
> 3.フロントタイヤを一度はずして再度装着、その後再スタート
> 4.バイクごと交換して再スタート
1は…いかんいかん論外だ
2はえぇっと…大丈夫だっけ?でも記憶が曖昧で自信が無いため即座に却下。
3は…うーんスルーアクスルご用達の昨今、ご時世に抜いて刺してはお呼びでない。
な、ならば消去法で4しかあるまい…
口から出た言葉は説明とも着かない言葉尻に、まっつんからバイクを受け取り再び出口へ。
さあ困ったぞ後続は10名居るか居ないかだ、振り返るのもうんざりするほどの後方からになってしまった大阪は天下の台所でもある堺の地、私はまたここでまな板の上の鯉になるか否か。
関西シクロクロス第7戦 堺みなとグリーンひろばでした。
過去の思い出と言えば6年ほど前になるであろうか、当時希望が丘で念願のC1昇格を果たした私は期待に胸ふくらませながら次戦である堺の地にやってきたのだった。
しかし現実は厳しく40分しか経験していない私にとって20分の壁は果てしなく大きく、ハンガーノックに陥り顔面蒼白でC1デビューをこの地で終えた忌まわしき場所、堺。
更に翌年は中盤のパックで展開するも、シケインで痛恨の脚攣りをメイクして一部始終ミウケン氏に動画にてSNS拡散されるという醜態を演じた憎き土地、堺。
敬遠していたわけではないのだが、苦手意識という言葉があるのであればこれ程フィットする場所も無いであろう、堺みなとに何故か今年は走りたくなってエントリー。
ちょうどレースカレンダー的に東海も空きがあった週という事もあったのだろうけど、引き寄せられるようにやって来たのだった。
関西シリーズの中でも比較的遠地である堺だが、名古屋から3時間と聞けば行けぬ距離でなく通称:名阪高速を走り抜ければあっという間に到着である。
朝イチのC4Aに遠征組のまっつんが出走するという事で珍しく朝試走から走り出す。
コースは相変わらず関西テイスト全開の好レイアウトで、とにかくコーナーの切り替えしと旋回が楽しい。
タイヤからのグリップをひたすらに確かめながら攻めるコースコンディションは、高圧寄り(1.8bar)にセットしたSERAC_CXとの相性も相まって非常に攻め甲斐に溢れている。
お分かりいただけるだろうか、関西人が考える立ちはだかるバリアを。(モデル:ゴンちゃん)
それにしても関西に来るたびに驚くのが、新種のバリアである。
昨今のちょっと飛べるぜと鼻が伸び盛りな畜生を葬り去る「飛べるもんなら飛んでみろ」な距離感を感じるニュータイプ、こいつには手こずったが、狭い方のステップは助走もしっかり取れて飛べたので良かったですが、長い方は無理でした。しかも乗っていけたらアドバンテージでかいところに置いてあるのが憎過ぎる。
試走とC4Aを観戦し、まっつんを労ったあたりで雨脚が強くなりだしてくる。 そうなると走るのが非常に億劫になってくるのだが、気温もさほど下がらずにいてくれたのには助かった。
昼試走ではラインの再確認程度にとどめて、恐縮であるが三船さんの後ろについて勉強させていただく。
流石にラインを何本も用意しており、コーナーの先のセクションの繋ぎをスムーズにするために駆け抜ける一本の線は非常にスムーズであった。
スタートゼッケンは40と5列目からのスタートであったが関西ポイントを持っていない自分には当然の位置である。
そして後ろにはゲン君が並び冗談半分で最近のスタートの悪さを自身で皮肉って、事前に誤っておいたものの、この一言が数分後には現実になってしまうのだから言霊というものは怖い。
クリートキャッチ成功からの踏み出しでまたもやペダルがルーズになってくる、お構いなしに踏み直し被害最小限に留めると、目の前に突然停車に近い速度で鎮座するライダーが現れる。
右のライダーに体当てながら回避して踏み込むもスタート失敗である、もうここまで来ると他の要因も絡み出し何が成功なのか自分自身全く分からないから呪われているのではないかとすら勘ぐってしまう。
右に左にインアウトを繰り返し、順位をキープして最初の混乱期を乗り越えようとするもキャンバー区間で押し出され杭にバイクが絡まる事案が発生、さらには冒頭のピット押し出しまで誘発してしまい悪夢の1周目が終わる。
ほぼ最後尾で昇格したてのイケッチ(エスキーナ)と並走する場面で「ピットに押し出されちゃったよ」と伝えると「俺も俺も」と同志よ!となって少し和んだが、こんな場所に居てはいけないと吹っ切れて踏めるだけ踏んでダメならそれでいいと、ひたすら全開で前を追う事に徹する。
おかげで1周目の写真から最終周回の写真までほぼ同じ表情です。
次の周でメインバイクに切り替えようと思っていたがレースの展開が速い影響で、ピットでのバイク交換でのロスが大きく響くためスペアバイクの調子も良くリヤにセットしたEDGEが良き仕事をしてくれるので、そのままでレースを続行するとピットに伝える。
高速コーナーで旋回する際にギアを掛けて前に前にバイクを押し出していく、砂場の手前で非常に大きな声援を貰え、おかげで冷静に無理せず砂場を通過できる。
抜いても抜いても前からライダーが降りてくるから、ひたすら差を詰めては交わし、詰めては交わしの繰り返し。
コッシ―をやっと捕まえ全力で交わすもシケイン一つで軽やかに抜き返される。周りのオーディエンスの声も一段と良く聞こえる。
コッシ―とのパックは日吉以来でテンションも上がるが、テクに勝るコッシ―を離すには、SSには申し訳ないがコーナーで踏み切って一気に離す。
やんぼー(662cc)を抜きざまに「オッチー行け、シングル狙えるぞ!」とレースの中から声をかけてもらえたのだが「シングル?」そんなに前まで来たのか?と思い確認のためにピットに順位を確認すると22位とのこと。
さすがに20位前後まで来ると差が詰まりにくくなり、岩井軍団トーイとの差を詰めるのに2周回を費やしパックに合流。
ココから終盤の攻防が始まるが36シュータが残り2周でアタック、キッツイいキツいがその後のシケインでチェーン落ちをしている間に抜き返すも、最終セクションで追いつかれスプリントで捲れずゴール。
最近の煮え切らないリザルトから少し脱却できて、思いっきり納得出来るほどに踏み切れた久々のレースでした。
3周回以降ですが集計してくれている方がいらっしゃいまして
3周目:27位 -
4周目:23位 7.34.2
5周目;21位 7.39.9
6周目:21位 7.39.4
7周目:19位 7.39.0
8周目:19位 7.35.7
後半になっても垂れずに踏み続けれたのがレース強度の中での収穫でした。
帰り道中、心地の良い脚の疲労感を感じながら霧濃い名阪国道を東へ走っていると嫁からの着信。
嫁 「リザルトどうだった?」
自分「ぼちぼち走れて19位30%でした」
嫁 「なんで私が行かないとリザルトが良いのだ!?説明して!」
説明してっ!と言われても「プレッシャーが少なくて…」なんて心にも思ってないし、口が裂けても言えないし。
雨上がりの名古屋の空は、西日に照らされ僕らの帰りを待っていた。
Photo murayama & takeuchi
大会名:関西シクロクロス第7戦
リザルト:C1 19位/30%
路面:芝 砂
コンディション:ドライ&一部ウェット
天候:曇り
スタートバイク:Eddy Merckx EEKLO70
Component:shimano Di2
Wheel:Shimano RS-770
Tire:Front.SERAC CX
Tire:Rear.SERAC CX
Pedal:Shimano XTR
空気圧:F1.8 R1.8 (体重72kg)
ピットバイク:Eddy Merckx EEKLO70
Component:shimano Di2
Wheel:DT Spline
Tire:Front.SERAC CX
Tire:Rear.SERAC EDGE
Pedal:Shimano XTR
空気圧:F1.8 R1.8