先日紫綬褒章を受賞したケラリーノ・サンドロヴィッチ(小林一三)さんの演劇を初めて観ました。初めての本多劇場。
以下ネタバレあるので、万が一これから観に行く人がいたら読まないほうがよいです。あとほぼメモなので雑です。
世の中まだまだ面白いものがいっぱいあるなあ、それにしてもこんなに面白いものがあるなんて。という思いが、言葉として、観劇中に自分の中にはっきりとくっきりと浮かび上がって来た。それくらい確かな「感動」が存在していた3時間でした。
観てる間は、なんだこれ、面白い、なんだこれ、っていう驚きと感動による語彙力の低下。完全に自分の全部持っていかれててわけがわからなくて。ドーパミンドバドバ出て来た。観終わってすぐには自分の中に出てくる感情の情報量の多さで頭の中がぐちゃぐちゃで。凄いものを見た後、その余韻を永遠に自分の中で反復、反響させるために、音楽も映像も情報として余計なものを何も入れたくなくなって何もしないことがあるんだけど、今回はそれでした。友達と別れてからも、イヤフォンだけ耳にさしてずっと電車に揺られて帰った。
一つの宗教の終わりと密かな継続の物語、修道女たちの群像劇。終わりは、修道女たちの死。布教をする、信仰の核となる人々が死んだことにより、宗教が大きく伝播する可能性は潰されてしまった。けれど彼女達が、毒が入っていることを分かってワインを飲んだとことは村人達を救ったし、そんな彼女達の行動は記憶として残り続ける。のちに緩やかに消失していくかもしれないけれど。
彼女達の宗教との関わり方は様々だ。宗教にすがりたいがために、多額の献金を払って短期間で修道女になった者。そんな母に連れられて様々な宗教を転々としてきて、宗教という者自体に辟易としている者。宗教の維持のために甘んじて献金を受け取る者。修道長であるが、実際は人の顔色ばかり伺って自分では判断を下せていない者。しかしそんな彼女達が、最終的には一様に信仰心に身を捧げる。しかしそれもまたそれぞれに理由があった。行動は同じでも思惑は違う。面白い
修道女達が死んだことを直接舞台上で見せずに事後報告的に言葉によって語られるの、授業でやったギリシャ演劇の話思い出した。言語の方が写実的だと考えられていた的なアレ
脚本のお話
会話をベースに、物語が進んで行く。説明台詞なんて全然なくて、でも緩急つけて物語が展開していく。何気ない会話から彼女達のコミュニティにおける各々の立ち位置や宗教の捉え方がジワジワ伝わってくるのがすごい。直接的なことはさして言っていないのに、伝わってくる。キャラもキャラクターも立ってた。作り込みがまーじで丁寧。ああ、この舞台上で繰り広げられる会話や場面は、彼女達の日常の一部を切り取ったものなんだろうなあ、っていうのがなんでか分かる。その背景に日常が見える。それぐらいの作り込み。親子の性格が似てるんだなあ、っていうのがわざとらしくなく分かったんだよ。関係性の描き方凄くないですか
あと、その時は面白くないなって思った小ネタがあとで響いてくる。回収が丁寧綺麗。追って面白ぶち込んでくる演劇らしさ。全部笑わせてくるの本当にずるい。
彼女達の信仰の一つである魂の列車の模型を作っていたら、一人だけ変な形のものを作ってしまう。その形がめちゃくちゃわざとらしく変な形で、一発系なギャグにしてはあんまり面白くないな〜って思ったら、その後その列車持ちながら超真面目に語り出すという。しかもその列車作った人が新人に作り方を教えることになるという。笑うってそんなの。
パンが例え話か本当のパンの話か問題とか
スタッフワーク的な演出のお話
じわじわ雰囲気持ってく演出やっぱ好きだなあ。明かりが暗いシーンでは、役者が次に移動する位置を徐々に徐々に明るくしていって、観客の視線を誘導する。同じ映像を、盛り上がりに伴って次第に色付かせていく。すごくゆっくりな変化だから、演出によってだんだん自分が引き込まれていっていることに気付けない。素晴らしか〜
オープニングアクトの映像よ、、、、立体感がすごいし、壁画が回ってるように見せる工夫とか。いつ舞台転換したんだ。全然わからなかった。映像演出場中に机はけあんまり気にならなかった。後半の死神のインも全然わからなかった。ハケる時はガン見したけど(笑)演出ってマジシャンだなあ〜観客の視線を巧みに操ってる。操られた。悔しい
暗転の使い方綺麗すぎーーーーーーーー!
紅茶甘い暗転、四角い照明の暗転
役者さんのお話
オーネッジ役の鈴木杏さん、凄い。白痴の女の子の役なのだけど、笑い方や褒められた時の反応一つ一つにその子の性格や障害が癖として表出していて、かつそれが面白くてこちらも笑ってしまうという(笑)祈りの言葉を意味もわからずにただただ読んでいる、というのをしっかり伝えられる台詞の言葉の運び方。死んだ修道女が乗り移った時の声色の変わり様よ。スチームボーイの主人公の声優さんやってたの親に言われて気づいた。。
林原めぐみさん声の出演ああああああああありがとうございますめちゃくちゃ色気あった
間がうまいんだなーーーちょっとギャグ混じりの会話劇って間が命だよね。すげー当たり前のことだけど。例えばちょっとズレたことを言ったときに、それに突っ込むまでの間でちゃんとお客さんに「………ん?」ってなる時間を与える、長すぎると不安になっちゃうし。まあそれを面白に昇華する手法も使われていたけれど。
字面だけで捉えたら面白い台詞でも、役者さんの話し方によって笑いの場は終わって、空気が変わりますよーっていうのがちゃんとわかる。隣の人ずっと笑っててすごい気になった(苦笑)このセリフ笑うの違うでしょ!ギャグゼリじゃないじゃん!言い方違うじゃん!って思ってましたとさ