〝拝啓 ささの葉様 いつだったか遠い昔の様ですが、お邪魔した時のことを今でも思い出します。もうお邪魔することもないのですが••••••••••••••中央線に乗り車窓から少しずつ風景が変わり武蔵野市の空気といいますか••••••••••くれぐれもお体には気をつけてください 敬具 無名のものより〟 僕は初めて入った居酒屋で他人の手紙の朗読をしている。 それを5人はただひたすらに静かに聴いている。 年末いつもの二人の先輩と飲んでいた。吉祥寺も12月29日くらいになるといつもより人がいない。 1軒 2軒 、、5軒目に「ささの葉」という居酒屋に入った。 出てくる料理はどれも美味しく、普段酒があれば肴は少なくて大丈夫な僕ら3人は、珍しく食に走り声に出して美味いと連呼していた。 先客できていた隣の還暦を過ぎたであろう御夫婦(後に御夫婦ではなく友人だと知る)がとても穏やかに微笑んで僕たちを見ている。 「ほんっと何食べても美味しいわよね〜マスター美味しいって」女性がマスターに伝えてくれた。 「•••あっ良かったです」 綺麗な白髪の短髪で白い無精髭のマスターはそう答えてアクエリアスを飲む。 御夫婦ではなく実は友人でとか、僕らはボランティアサークルの友人で大学では文学部で、、今は、、、世間話を沢山した。 何故だかマスターに興味を持った僕は、年齢やお店の歴史やそれまで何をやってきたかを聴いた。 年齢は80歳でこの店をやるまでに築地で卸しの仕事など色々やった事。 自分が美味いと思うものしか出さない事。 儲けよりも血となり骨となる食を大事にしている事 一通り聴いたところで、マスターが封筒から手紙を出して、 「この店をねやっていてね私が一番嬉しかった手紙。差出人が分からないんだけどね、文学の君に読んで欲しい」そう言って僕に手渡された。 文学部って言っても歴史なんだけどなと思いながらも読む。とても素敵な手紙だ。 とても丁寧に綺麗な字で時間をかけて書いたのがよく分かる二枚の便箋。 すると女性が「ちょっとちょっと〜読むってみんなに読んで聞かせてってことよ」 友人二人も「どう考えても一人で読むとこじゃないだろ」と笑う。 あっ、、、そういうことかと恥ずかしい 朗読なんていつぶりだろう。 一言一言丁寧に読んだ。 手紙には 吉祥寺で青春を過ごした事。 このお店に通いこんだ事。 その時間は掛け替えのない日々だった事。 理由は書いてないがもうお店に来れない事。 それらが綺麗な文章で書かれたいた。 マスターの実直さは人に伝わり無名の送り主の人生に少なからず影響を与えたのだろう。 無名の送り主の綺麗な手紙はマスターを通して今僕らに何かを残しただろう。 初めて入った汚くて狭くて美味い居酒屋で朗読した他人の手紙は妙に感慨深いものがあった。 拝啓 無名のもの様 年の瀬に往く年月の早さを感じるこの頃。 あなたが無名で出した手紙の宛先は、 あなたが綴った日々は、 もう来れないと言ったこのお店は、 いい場所ですね。 私事ですが、この一年はこの様な出会いに気づくことが多く恥ずかしげもなく読み手の事も自分のキャラクターも土返しで公の場で散文してまいりました。 ささの葉であなたの手紙に出会えて良かったです。 今度もし一度お会いすることがありましたらお酒を奢らせてください。 マスターのいる、ささの葉で。 敬具 そんなこんなで、今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。 良い年の瀬を。 #吉祥寺#ささの葉#夏葉社#昔日の客 #羽藤がナンパでいい感じだったのにビビって連絡先を聴かなかったから5軒目行って石崎と二人で説教するために行ったという#そのナンパ中動画(笑)#年末#年の瀬#大晦日#良いお年を#散文##人生という旅の記録 https://www.instagram.com/p/B6t8A3EpUaL/?igshid=swz2wciiryov



















