日立の組み合わせ最適化問題用COMSチップがつよいなって思った
松田 卓也全脳アーキテクチャ -whole brain architecture-
日立の量子コンピュータ対抗チップは人工知能の組み込み化をもたらすか?
日立が発表したチップはなかなかのものだ。量子コンピュータD-waveと同等の働きをCMOSチップ上で実現する。D-wave2が512量子ビット、次世代機が2048量子ビットと言われる中、いきなり20480ビットを実現した。最新の技術を使えば1600万ビットが可能であるという。
さらに利点はD-waveと異なり、常温で動作するので、圧倒的に省電力になり、かつ小さく、安くなる。D-waveもこのチップも2次元イジングモデルの基底状態を(アナログ的に)求めることにより、組み合わせ最適化問題(だけ)を解く。D-waveは量子トンネル効果を利用するが、日立のチップは雑音を利用する。その意味では量子アニーリング法というよりは、シミュレーテッド・アニーリング法に近いかもしれない。
GoogleがD-wave2を購入してNASAの構内に量子人工知能研究所を作ったのは、最適化問題が人工知能に応用できるからだ。将来的には組み込みの人工知能チップを使えるようになるかもしれない。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/022000173/
もしこの日立のチップが本物なら、D-Wave社は2台売ったところで、おしまいですね。D-Wave社は正統派のゲートモデルを使う量子コンピュータのアンチテーゼを出したという意味で、尊敬に値しますが、商売となると、話は別です。
GoogleはD-Waveと同じ原理のマシンを自社開発する予定でしたが、それも終わりですね。D-Waveは推定10億円ですが、日立のチップ搭載機は量産されれば、その1/1000になるでしょうね。組み合わせ最適問題は機械学習に使えます。
問題はいろんな最適化問題をイジングモデルのエネルギー固有値の基底状態を求める問題に落とし込むことです。D-Wave社始め、いろいろ研究されています。
ソフト開発に注力すべきでしょう。技術の進歩の面白さは、ひょんなところから、新しいものが出てくることです。ムーアの法則が頭打ちでも、この先、何ができるかわかりません。
イジングのためのスマートメモリといった趣。ニューラルネットにも使えそう。
SAT/SMT Solverの劇的改善で、NP完全問題自体はそれほど困難な問題ではなく、そこそこ実運用可能な程度の問題と既になっていますが、既存のNP完全問題解決手法との比較としては、こんな感じですかね。
●既存手法:様々な最適化問題を、SAT/SMT Solverを利用可能なよう上手にエンコード。不変量を用いた効率化も併用。帰着できなくても、キャッシュ・メモリ・DBアクセス最適化で改善。
●新型コンピュータを用いた手法: 様々な最適化問題を、イジングモデルのエネルギー固有値の基底状態を求める問題に上手にエンコード。
エンコード作業自体は両方とも必要だけど、既存手法が、より具体的な個別の問題へのアプローチであるのに対して、新型コンピュータは、Max-flow最適化問題全般に利用可能、といった感じで、きっと汎用性が高いのでしょうね。
ただ、新型コンピュータでの使いこなしのノウハウガー、ってなりそうですね。その手の論文が山ほど出るようになれば大成功といたところですかね。