合法LSDトリップレポ
場所:ホテル
19:00(T+0:00) ALD-52 250μgを舌下摂取。
(※)舌下投与
舌の下で物質を吸収すること。LSDの一般的な投与経路。この経路では、経口投与(胃腸の内壁の血管を通して吸収される)よりも吸収が速くなり、物質が脳に直接的に伝達される。
19:15(T+0:15) 気のせい?かもしれないけどキタ感じがする。体がLSDを感知した。
19:20(T+0:20) 強い焦燥感。やや動悸と吐き気。
19:40(T+0:40) もう文字が曲がりはじめた。新聞の文字を切り貼りした怪文書みたいにそれぞれの文字の大小や形状が違うように見えていて、その文字のひとつひとつが顕微鏡で見た時のアメーバのように動いている。
19:45(T+0:45) 乗り物酔いみたいな気持ち悪さと全身の筋肉が強張っている感覚があって不快だけど、頭はクリアになっている感じがする。穏やかな気持ちなんだけどこれからやってくるハードなトリップの波に襲われそうな予感があって、恐怖と穏やかさの入り混じったどっちに転ぶかわからない不安定な感情。
19:50(T+0:50) 思ったよりも結構きつい旅になるかもしれないぞこれ。250μgくらい平気だろっていう思い上がりがあった。
20:00(T+1:00) 胃が若干気持ち悪い。部屋の壁の花の模様が動き出していて、部屋の天井のライトが異様に眩しいのと、天井の中央が窪んでいるように見えて閉塞感がある。
(※)開眼幻視(Open Eye Visuals(OEV))
目を開いた状態で見える幻視。幻視の内容はそれを経験する人の心理的状態に大きく依存することが多い。たとえば感情的に安定している人は、中立的または肯定的な幻視を経験しやすくなるが、感情的に不安定な人は、不穏感や恐怖感を誘発するような否定的な幻視を経験しやすくなる。
20:10(T+1:10) 別にエロい妄想をしていたわけではないのに性欲の高まりを感じている。心理的にではなく、物質の作用で物理的に性欲を高められているような感覚。
20:15(T+1:15) 毎度トイレ行くたびにどんぎまる。トイレの扉の木目の奥底に引き込まれてた。何故かトイレの壁はどこもサイケデリックなデザインになってる。トイレってそういうとこなのやも。風呂に入ることにする。
20:40(T+1:40) 風呂から上がって気持ちいい。瞑想用の曲を聴きながら湯船に浸かっていた。開眼幻視が強くて視界全体がぐにゃぐにゃだけど不安感をコントロールでき始めている。
20:50(T+1:55) quest2でVRをみた。没入感が上がってVR空間の現実感が出るけど、映像が曲がっているので気が散る。あと眩しすぎて目が疲れるのでやめた。
21:00(T+2:00) LSDの最中は味覚が敏感になりすぎていて、基本飯を食う気が起きない。ほとんどのものは油っぽい、しょっぱい、濃厚すぎ、に感じる。その点フルーツは凄い。特に水分が豊富なやつ。口の中で水分が弾けるのが面白いし、見た目のカラフルさがより際立つから凄く美しく思える。苺の赤さが凄く赤い、オレンジのオレンジが凄くオレンジ。不思議だなーこんな色の食べ物が存在していること自体。しかも美味いし。
21:10(T+2:10) 調子に乗ってフルーツを食いまくっていたら、急に吐き気がして、どんぎまってきた。大麻を喫煙する。
21:13(T+2:13) 大麻を混ぜるとまるっきしちがう。だめかも。メモるの無理だ。
(※)大麻×LSD
大麻とLSDの組み合わせは、強力で不安定な相乗効果を発揮する。LSDの効果を強めたり持続させたりするためによく使用されるが、この組み合わせは不安、パラノイア、パニック発作などの有害な心理的影響のリスクや精神病の誘発リスクを高める可能性がある。
23:10(T+4:10) なんかつらめのトリップを味わっていたのと、トリップの波が深すぎて言語化不可能な状態だった。自我が崩壊して、時間がどういう方向に進んでいるか分からなくなっていた。途中目を閉じていると、手を上に伸ばして直立する人の手の上に両足を乗せて手を上に伸ばして直立する人の上に…って無限に続いている人のタワーが周囲に無限に立っていた。そんなことよりすごく濃い密度で何かあったんだけど、何があったかほとんど思い出せないんだよなあ。悲しいことに。まあとりあえず覚えていることだけメモっておこう。
(※)閉眼幻視(Closed-Eye Visuals(CEV))
目を閉じた状態で見える幻視。想像上の視覚的知覚として定義され、現象としては夢に似ている。CEVの強度によっては、そのCEVの世界に完全に没入し、主観的にその世界が現実であると思うこともある。
23:15(T+4:15) 自分というのが何者であるかわからなくなった。短期記憶から長期記憶までなくなって、自分を自分たらしめるものがわからない状態になった。次第に記憶がまた戻ってきて、今は日本国籍の青年男性という人物を使ってロールプレイングをしている感覚に支配されている。トリップが少し落ち着いてきた今でもそれくらいの離人症状が出てるほどには、さっき自我がなくなっていた。自分の人生に対して傍観者みたいな感覚で生きちゃってるんだよなー。自分の身に何か起こっても、ふーんっていう他人事な感じ。
(※)記憶抑制(自我死(Ego Death)とも呼ばれる)
短期および長期記憶を維持する人の能力が低下すること。サイケデリクスの本質的な効果ともいえる。完全な記憶抑制は、意識が保たれているにもかかわらず、自分の感覚入力を体験している「私」はもはや存在しないという深い体験をもたらす。またその結果、過去の記憶や過去の経験、偏見などにまったく汚染されていない中立的な視点から概念を処理しているという感覚になることが多い。
(※)離人感
自分の思考、身体、または行動から切り離され、あたかもそれらの外部の観察者であるかのように感じる経験。
23:20(T+4:20) 「何者かでありたいという境地を超えて何者でもありたくないという境地さえ超えてそれでも何者かとしてやっていかなければいけないので何者かでありたい」みたいなことを思っていた。何者でもないと思っているのは思い上がり。
23:25(T+4:25) 自分というのは、今まで見聞きしたり出会ったりした誰かのコピーの集合なんだと思った。普段関わっている人の所作や思想やモチベーションとか色々、無意識に吸収している。もちろん遺伝的特性というのはあるけれど。環境は大事。
23:28(T+4:28) なんかやっぱ大麻は必要あるけど常になくてもいい。毎日やってると思考が遅くなるし、だらしなくなるし、まあほんとは毎日大麻吸ってゴロゴロしてたいけど、ほんとめんどくさいけどやっていくためにはしょうがないみたい。
(※)内省の強化
サイケデリクスの影響下で誘発される。内省を主目的としてサイケデリクスを摂取する場合、高用量ではなく、低~中程度の容量で摂取するのが望ましい。
23:40(T+4:40) とかいいつつ再び大麻喫煙。
23:55(T+4:55) 音の世界すご……音の世界に飲み込まれる、音楽に感情を支配されてる。「Hallucinogen - The lone danger」というアルバムを聴いている。
(※)聴覚の鋭敏性の向上・聴覚の歪み
LSDの影響下では、主観的に、音がより鋭く明瞭に感じられ、音の方向や位置を通常より正確に把握できたり、音の構造を多層的に聴き取れたりするなど、聴覚の感受性が高まることがある。また、知覚上のピッチの変化や、実際には存在しない残響が聞こえるなど、音が歪んで感じられることもある。サイケデリック・ミュージックの多くは、このように変化した知覚状態に深くフィットするように、あるいはこのような知覚状態を再現させるために、意図的に設計されている。
0:15(T+5:15) 「人間は色んなキャラを持っていて、シチュエーションによってそのキャラを使い分ける仮面の生活をおくっている。彼女のまえではこういうキャラで、仕事場ではこういうキャラで、SNSではこういうキャラで、親戚のまえではこういうキャラで、、」って考えてたら、うわーめんどくせぇー!って発狂しそうになった。
0:20(T+5:20) 相手に対してだけでなくて自分に対してもそうだけど、つき続けなければいけない嘘はカルマだ。カルマを減らしてシンプルに生きたい。誰に対しても虚勢を張らずダメな部分も曝け出して、素の状態のありのままの自分で接することができたらどれだけ楽だろう、と思う。
0:30(T+5:30) ようやくトランス状態からちょっと戻ってこれてるけどまだ十分曲がってる。LSD250×大麻をかなり舐めてた。なんか久々にすごい疲れることを考えさせられていた。これからどう生きていくか、自分っていうのは何か、みたいな真面目なことをずっと考えさせられていて、まだ考えさせられている。これは長いわ。長いからもう疲れた。LSD100μgだったらもう効果弱まってる頃だと思うんだけど、まだ全然LSDの成分が体にたぎってる感じがしてる。
0:40(T+5:40) ホテルの空気が悪いのか、息が詰まる感じがする。空気が淀んでるみたいな。風呂に入ることにする。途中、鏡を見たら鏡に映る自分がこんなにも顔色悪くだらしない体型で顔は老け不健康になっているとは思わなかった、と落胆した。
1:22(T+6:22) YouTubeで「Aphex Twin - Stone In Focus」をリピート再生でかけながら風呂に浸かっていた。曲を聴きながら風呂に浮かんでいた時、今日一日がなんて壮絶な一日だったんだろう、と思った。戦いから帰還した戦士のような感じ。戦って無事帰ってきた安堵感があってピースフルな気分ではあるんだけど、これからまた戦いに出ないといけない面倒臭さと不安が頭によぎり続けていた。水から上がった時は、生まれ変わったみたいな感じがした。
(※)音楽鑑賞力の向上
サイケデリック状態で音楽を聴くと、主観的に音が良く聞こえるだけでなく、知覚された音や歌詞の内容が聴き手に大きな影響を与えることがある。音楽鑑賞力の向上はLSDの聴覚的作用も関連しているが、LSDの心理的作用によって、個人的な意味合いや新奇性、感情が高まっているなどのいくつかの要素が重なった結果であると思われる。
1:48(T+6:48) ある程度の承認欲求とか競争心とか所属欲求とかが現代で生き残っていくためには必要な原動力なのかな。
2:20(T+7:20) やっとカムダウンに入った感じがしたから、落ち着こうと思って大麻を吸ったらまたトリップさせられて、あまりにも長いのでデパス1mgを飲んだ。デパスを飲んだら鬱々とした感情が一気に霧散した。全身の凝り固まった筋肉や張り詰めた神経がしなやかになっていくのがきもちいい。
(※)エチゾラム(商品名:デパス)
鎮静、抗不安、抗痙攣および筋弛緩作用を有するチエノジアゼピン系の薬剤で、本質的にベンゾジアゼピン系薬剤と同様の効果を発揮する。比較的即効性(切れ味のよさ)があり、短時間で作用が落ち着くが、そのため逆に離脱症状が出やすく、依存性が高い。エチゾラムはトリップの効果を劇的に軽減することができる(必ずしも全員が同じ効果を得られるわけではなく、過信は禁物)。
それから、たぶん1時間後くらいに就寝。
●LSDとは?
・わずか15μg(0.015mg)からでも摂取をすると、サイケデリック作用をもたらす化合物。
・純粋なLSDは透明無臭の結晶であるが、LSDを溶媒に溶かした溶液を、タブと呼ばれる小さな吸取紙に染み込ませた状態で出回っていることが多い。
・1938年にスイス人化学者アルバート・ホフマンによって初めて合成され、その5年後の1943年に、ホフマンが誤って摂取したために、精神活性物質であることが発見された。
・おそらく世界で最も研究され、様々なジャンルの芸術や様々な分野の学問に影響を与え、ヒッピー/カウンターカルチャーなどを生み出すきっかけとなったサイケデリクス。
・日本においては1970年に“麻薬及び向精神薬取締法”によって規制対象となった。
●LSDの効果は?
・シロシン(マジックマッシュルーム)と比較すると、LSDは身体的および認知的効果において、“刺激的でテンポが速い”と言われることが多い。
・LSDは主にセロトニン受容体(特に5-HT2A)に作用することでサイケデリックな効果をもたらすが、間接的にドーパミンやノルエピネフリンの放出も促すことが示されており、サイケデリクスの効能に加えて、“スティミュラント(Stimulant)”(覚醒感などをもたらす精神活性物質、俗にアッパーともいう)の効能も強力ではないものの感じられる。
・シロシンやメスカリンと比較すると、不安やパラノイアなどの認知的副作用がやや多く見られる。また、効果の持続時間が長い(8−12時間以上)ことやドーパミンの作用のためか、スティミュラントと似たようなきついダウンタイムがあると報告するユーザーもいる。
●ALD-52とは?
・摂取すると、LSDと“主観的にほとんど区別のつかない”サイケデリック効果をもたらすとされる、構造的にLSDと類似している化学物質。
・ALD-52はLSDを最初に合成したアルバート・ホフマン博士によって、1957年に合成された。
・多くの体験者は「LSDよりもわずかにトリップの強度や視覚効果が弱いが、穏やかで不安になりにくい」、また「用量を増やすと、“穏やかで不安になりにくい”特性が失われ、高用量のLSD体験の効果に収束する」などと報告している。
・日本では2020年3月9日に規制対象となった。
●なぜ合法だったのか?
・ALD-52はLSDのプロドラッグ(※)だが、あくまでLSDではないために、摂取当時の法律では違法薬物として分類できなかったためだと考えられる。
(※)プロドラッグとは、投与前は不活性の化学構造なのに、体内で代謝されることで活性のある化学構造に変換される(薬効を示すようになる)物質のこと。ALD-52はLSDのプロドラッグで、体内で代謝されるとLSDに変換されるため、ALD-52は“効能的には”LSDと実質同じ物質といえる。
・ちなみに、体内でLSDに変換される性質上、尿検査ではLSDの陽性反応が出る可能性がある。
●こうした化合物の体験は個人差が非常に大きく、記載された効果や体験は一例に過ぎません。またレポート内の表現は、体験者個人の主観的な印象を示したもので、必ずしも科学的に定義された区別ではありません。
●日本国内でALD-52はすでに規制されており、現在は所持や摂取などの行為は“違法”となっております(ΦωΦ)
●この文章は雑誌「さいばーひっぴー」に載っている内容を少し改変したものです。
サムネイルイラスト:じゃ子(@zyakotrix)https://x.com/zyakotrix













