BOMBTRACKのARISEをマルチに利用する - シングルスピードからギアードへのカスタム編
こんにちは、スタッフの由谷です。
いよいよこちら関東でも梅雨入りしたと見られますと気象庁から発表されました。通勤でも自転車を利用する身のため、しばらくは毎日の天気予報が気になる季節になってしまいましたが、それは例年のこと。自然と日課になっていくのでしょうか。
さて、以前『BOMBTRACKのARISEをマルチに利用する - シクロクロスレース編』で紹介したBOMBTRACKのシングルスピードバイク『ARISE』の多段化を実行したので、その手順と使用感を紹介したいと思います。
下の写真は後輪が位置するフレームのドロップエンドです。ホイールが六角形のボルトによって黒いプレートへ固定されていますが、そのボルトの下に穴が開いているのが分かりますか?
これはディレーラーハンガーと呼ばれ、変速機(ディレーラー)を取り付けて固定するための箇所なのです。
いきなりですが、実際にディレーラーを取り付けた様子が下の写真です。
そのために設計されているので当たり前といえば当たり前ですが、違和感なくディレーラーが装着され、ロードバイクやMTBのような普通のギアードバイク然としてますね。
シングルスピードバイクの完成車として販売されているARISEは、このようなトリックの効く便利なバイクなのです。
使用し始める頃はギアを必要としていなかったとしても、少し遠くへ出かけたくなったり坂を快適に越えていきたくなったりするとギアの出番です。
自分に関しては、この写真のような林道ライドをする上でギアの必要性を感じ実行しました。しかし、それが通勤や買物などの街乗り時であってもギアがあることによって快適性が一段とアップ。避けがちだった坂も気にすることが少なくなりました。
ARISEにディレーラーを取付けて多段化するにあたり、目論見がありました。
シクロクロスのレースへはシングルスピードで走りたいし、レースでなくとも時にはシングルスピードのライドも楽しみたいし、ギアードとシングルギアとのスイッチングを行いたいのです。
ドロップハンドルのバイクに使用される代表的なシフトレバーといえば、ブレーキレバーとシフトレバーがブラケットに一体になったデュアルコントロールレバーが代表格でしょう。すべてが手のひらの中で行え安全であり、ドロップハンドルのギアードバイクではデフォルトと言えるでしょう。自分もHOOKに使用されているSRAM社の物を快適に使用してます。
しかし、分解してまえばよいのかもしれませんが、デュアルコントロールレバーではシングルスピード仕様へ変更した際、シフトレバーが残ってしまうのが気がかりでした。
そこで、バーエンドに差し込むバーコンやハンドルのフラット部に取り付けるサムシフターも検討しましたが、いずれもシフト操作時にブレーキレバーから手を離さなければならず、走行中に振動の少ない舗装路上ならば大きな問題はなさそうですが、振動の多いダートやグラベル上では不安です。できる限りブレーキレバーから手を離さずにシフト操作が行えるもの、そうして行き着いた先がGevenalleというアメリカのメーカーさん。
『できる限りブレーキレバーから手を離さずにシフト操作が行えるもの』として生み出され、それが行えるデュアルコントロールレバー以外の選択肢としてシクロクロスからツーリング志向のライダーからも指示を集めているようです。
そうして選んだGevenalleのCX1にSHIMANOの8速用のシフトレバー(SL-R400)を装着。やはりブレーキもシフトも両方の操作が手元で行える安心感、そしてレトロ感のある雰囲気もグッドです。ちなみに、Gevenalleは当初Retroshift(レトロシフト)という名で運営されてましたが諸説の事由によって変更されたそうです。というわけでレトロ感がプンプンなのです。
とはいえ、現地ではガチなシクロクロスライダーが使っているところも信頼度が高くグッドですね。
実際の操作感はというと、期待以上のものでした。
今回のシフトレバーはインデックスタイプ。操作の度にがカチカチと節度よく動き、シフト操作を行っていることが分かりやすくてグッド。この手のシフトレバーはレバーを操作しシフトチェンジするとレバーの位置が固定されるので、ギアの位置が走行中に分かりやすいのもグッドです。デュアルコントロールレバーだと、ギアの位置を知るには下を覗いて後輪を見るか別途インジケーターが必要ですね。
加えて、トップからローまでもしくはその逆も、一気にシフトできるのものグッドです。とはいえ、どちらかへ一気に変速する機会はあまりないかもしれず、各社のデュアルコントロールレバーでも何速か分は可能です。
後は、機械的な雰囲気が男心をくすぐります。これ大事です。
上記のようなメリットがありますが、デメリットも。
ドロップハンドルの下部(下ハン)を握るとシフト操作ができないのです。ただし、使用して一ヶ月以上が経ちますが、そのような操作をしたくなったことが有ったか無かったか。または、それができないことが分かっているからか、自然と下ハンからブラケットへと手を持ちかえて操作していると思います。
下ハンを握ってシフト操作する機会が多かったりハンドル周りにケーブルがあると気になるのであれば、デュアルコントロールレバー。ブラケットを握ることの方が多いすなわち下ハンを握る機会が少ない、もしくはその上でシフト操作する機会が少ないのであれば、このGevenalleを使う価値は大有りです。
これまで無かったものが極自然にそこにいる様は、半年間この車体を利用してきた身としては感慨深いものがあります。最近までシングルスピードだったものが当たり前のように多段化できました。この車体の楽しみ方が増えますし、愛着も倍増です。
ここまで書いてきましたが、まだ肝心なことを書いてませんでした。
前述のとおりARISEの完成車はシングルスピードです。そのため、シングルスピードで運用するに足りる仕様なのです。何が言いたいかというと、後ハブのカセットボディが短く、昨今当たり前の10速や11速のカセットスプロケットに対応していないのです。もちろんハブを交換すれば対応できますが、今回はそれをせず、このハブを活かしたまま多段化を行いました。
このハブのカセットボディ、それもカセットスプロケットを装着できる全長は25mmほど。絶対に10枚や11枚のスプロケットは入りません。しかし、何枚かは入りそうです。
少しマニアックな話しになってしまいますが、古い車体やエンド幅120mmの車体向けに5枚もしくは6枚のスプロケットの装着を想定したハブを見かけたことがあり、同じことができるのではないかと思っていたのです。
結果、ビンゴでした。8速仕様のカセットスプロケットを分解し6速にし、カセットボディへバッチリとフィットしました。
ただし、カセットスプロケットの分解は半ば強制的です。そのようなことをBOMBTRACKが推奨しているわけでもないため、輸入代理店の立場として保証できるものではありませんが、一個人として満足のいくカスタムだったと思っています。
また、この話しは未確認情報ですが、下の映像に登場するARISEも多段化されており、ホイールも完成車のものを使用しているようです。しかもドロップハンドルのフラット部にサムシフターが取付けられているようです。きっと、彼も自分と同じことをしたのではないかと思っています。
狙ったギアステップのために、スプロケットの組み合わせが異なる8速用カセットスプロケット(SHIMANO HG-50)を2セット用意。11/13/15/17/20/23/26/30Tと13/14/15/16/17/19/21/23Tの2セットです。
このカセットスプロケットはピンによって各スプロケットが連結されているので、ピンを取り除けばバラバラになり、双方から必要な歯数のスプロケットを選び組み合わせました。
そうして出来上がった組み合わせは、13/15/17/20/23/26T。ワイドでもクロスでもない中途半端なギアレンジ(200%)ですが、6速しか無いので、クロスレンジにするとトップかロー側が足りなくなり過ぎるし、ワイドレンジにするとギアステップが大きすぎて変速の挙動がおかしくなりそうなことと巡航もしにくいだろうと考えました。ちなみに先日のロングライドで使用したHOOKは11-32Tなので約291%のギアレンジです。
フロントのチェーンリングはシングル時と同じ38Tなので、今回の組み合わせによるギア比は2.92/2.53/2.24/1.90/1.65/1.46。ロー側もトップ側も物足りないことがあるにはあるものの、都内近郊では有名な峠ライドも近所の里山トレイルライドもグラベル林道ライドも、このギア比なりに楽しく遊べてます。
今回の多段化で用意したパーツの総額は¥30,000ほどでした。ARISEの完成車に乗り始めてギアードに興味を持ち、少しでも予算を抑えるならばこんな方法もあると覚えておいてもらえたら嬉しいです。
カセットスプロケットを分解する必要のある機会なんて、今の時代ではあまりないことだと思いますので。