「シン・仮面ライダー」を観た後、なんとなく、元祖ルリ子さんを演じた森川千恵子さん(ライダー出演時の芸名は真樹千恵子)のことを思い出していたのだが、森川千恵子といえば、やっぱアイアンキングだよねぇ…という事で、自分の中で久々にアイアンキング祭りが開催されている。
森川さんは「仮面ライダー」でも「アイアンキング」でも途中降板したことで知られる。ライダーのときは藤岡弘氏の事故、アイアンキングのときは爆破など危険な撮影が原因で番組を去ったわけだが、それでも、ライダーは1クール13話分に出演している。それに比べ、アイアンキングは、ライダーの半分にも満たない6話のみの出演。にも関わらず、子どもの頃から、圧倒的にアイアンキングで演じた高山ゆき子の印象が強烈。それは何故か?と今更ながら考えた。
仮面ライダーのルリ子は主人公を「疑う女」、一方、アイアンキングのゆき子は主人公に「疑われる女」で、役柄は正反対。両者の設定は、共に、メロドラマ的要素があるのだが、ルリ子の場合、序盤で誤解があっさりと解けてしまい、本郷猛とのロマンスには発展せず、普通に「ライダーガールズ」化していった。藤岡弘の事故によって活躍場面も増えるのだが、却って、その印象は、彼女の後に登場する山本リンダらの中に埋没してしまっている。
一方、アイアンキングのゆき子は、主人公・静弦太郎と敵対する組織の刺客という絶対に和解できない運命の下、弦太郎に惹かれるというメロドラマ的展開を見せる。さらに、途中降板でプロットの変更があったにも関わらず、脚本の佐々木守は、ゆき子に敵組織・不知火一族の被征服者としての理を語らせた上で、主人公を救うために死ぬという形で、ヒロインにきっちりと落とし前をつけさせる。
今回、アイアンキングを観直して、昭和の特撮番組らしくツッコミ所は多々あれど、ドラマとしてしっかりと成立しているなぁと感心した。これが、子ども心に「かわいそうなおねぇさん」としてゆき子を強く印象づけた理由だろう。今年、パク・チャヌクの「別れる決心」が日本で公開されたが、この映画のヒロインも、刑事に「疑われる女」で、悲しい結末を迎えるのだが、その悲哀が、どことなく、ゆき子とダブってしまった。子ども向け番組とカンヌ映画祭監督賞受賞作から受ける感想が一緒という自分の感覚もどうなの?とは思うが…
初期設定では、最後、ゆき子はロボットを操り、静弦太郎&アイアンキングと戦う構想で、ロボットのデザインまで完成していたそうだ。
しかし、おそらく、ギリギリで組織を裏切り主人公をかばって死んでゆくという結末は、放送された番組と変わらなかっただろう。
余談だが、森川千恵子さん降板の後、ヒロイン不在を補ったのが星光子さん(南夕子)や関かをりさん(当初の南夕子役)というウルトラマンエース降板組であったのも面白い。局Pが同じだからか?なお、森川さんは、本郷猛や静弦太郎のお相手を務める前にモロボシダンとCMで共演している。