想像力とスキルを使え
ジム・ジャームッシュ監督の映画 "The Limits of Control(リミッツ・オブ・コントロール)"を、2009年の9月、日本公開時に観た。この時期はリーマンショック後の大不況の最中で、自分も失業中だった。失業保険で食いつないでいたけど、出口が見えない日々を過ごし始めて3ヶ月以上経過していた。
金はなかったが観たかったので観に行った。場所は今は亡き吉祥寺バウスシアターの隣のミニミニシアター、ジャヴ50だった。(それこそ客席50だけ)
金はなかったけど、気に入ったから数日後にもう一回観に行った。それくらい惹きつけられたということ。やるせない日々だったけど、この映画に勇気づけられたんだな。
金はなかったけど(3度目)、この映画を映画館で観ておいて本当によかったと思うよ。こういう文化的体験は、絶対に後から再現できない。
冒頭シーン、マドリッドのバラハス空港。イザック・ド・バンコレ演じるハードボイルドな主人公は謎の任務を引き受けるが、依頼人は詳しいことは何も話さない。
ただこう言う。
“Use your imagination and your skills.” – 想像力とスキルを使え。
実際に主人公は、imaginationを使って任務を成し遂げるのである。
How did you fuckin' get in there? (どうやってここに入ったんだ?) I used my imagination. (イマジネーションを使った。)
“Use your imagination.”
このシンプルな言葉には、世界の真実、力と勇気が詰まっている。ちなみにimaginationという単語には、想像力・創意の他、機知に富むことや優れた問題解決力といった意味もあるらしい。
映画の中で主人公が対峙する相手は当時のブッシュ政権またはそれを象徴する何かだったと自分は思っているのだが、2020年の今この作品をDVDで再び観てみると、感慨深いものがある。現実は映画とは違う。「奴ら」は相変わらず世界をチェス盤のように扱い、自分勝手なゲームを繰り返しているわけで...
そこを深追いするとよからぬ方向に向かってしまうので、さておき。
そもそもこの映画を10年近く経った今何故思い出したかというと、11月始めの米大統領選挙の投票集計の最中、東京都心の上空でヘリコプターが飛ぶ音がずっと聞こえていたからだ。映画の中でも常に上空をヘリが飛んでいて、主人公がそれを見上げるシーンが何度かあるのだ。東京都心上空でヘリが飛んでることはよくある。普段なら思い出さない。このタイミングだからこそ、思い出した。だからこの記事を書いた。
実はこの映画が大好きだったから、過去にやはり同じタイトルのブログを開設したことがある。飽きて2年くらいで潰した。
このTumblrブログは、形やテーマにとらわれないで好きなように書くつもりで始めた。タイトルも何も考えていなかったけど、決めるときになってからそうだ、またこれをタイトルに使おうと決めた。言霊とインスピレーションと、イマジネーション、である。(ただ単に面倒だっただけという声も)
“Use your imagination.” – 想像力を使え。








