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マラプの居る島、SUMBA島上陸
バリ島デンパサール空港からプロペラのついた小さな飛行機でスンバ島へ。
バンドンからスンバ島へ直行便はなく、バリで乗り換えなくてはいけない。
人口が少ないので小さなイメージであったが、バリよりずいぶん大きい。
〜マラプ〜
少年の背後にある支石墓には十字架が描かれている。しかしその背後の天高く伸びる屋根にはマラプが祀られている。
スンバは今や過半数がキリスト教徒であるが、元々は祖先信仰のマラプという土着の信仰によって人々は生活していた。これは宗教ではないので、今も島の人々の精神的支えとしてキリスト教と並走する。
キリスト教は宗教であり、マラプはそれ以前の慣習のようなもの。
キリスト教徒の人々は、聖書で禁じられていることは行わない。ただそれ以外のマラプの考えや慣習を当たり前のように継続している。
それ故、マラプのための儀式や建物、システムがいたるところに現存する。
今回の旅行で「マラプ」という言葉が何を示すのかははっきりとしなかった。父系祖先のことをムラプと言ったり、その祭壇や家宝のこともマラプと呼ぶ。マラプの眠る巨石墓のこともマラプと呼ぶ。この名称が厳密でなく、生活と密着、生活の中心である中で、何でもマラプになっちゃう感じが原始宗教らしい。
〜屋根〜
スンバはとにかく、自分達の伝統住居の屋根のかたちを愛してやまない。
これが集落の家々の屋根。とんがり帽子のような突き出た部分の屋根裏にマラプが住むとされている。
家の中心の囲炉裏を囲む4本の柱に支えられて、マラプが祀られる屋根組が乗っかっている。
しかし面白いのは、このような屋根の用途や構造から逸脱して、このとんがり帽子の外形が様々な建物の屋根に転用されていることだ。
まず、飛行機を降りて最初に目に入るのはスンバ島西部のTembolaka空港。とんがり帽子に鮮やかな赤がプラスされ、サンタを連想せずにはいられない。
そしてこちらが三日間泊まらせて頂いた修道院。車寄せの屋根も伝統住居のそれを模している。
スンバ島ではキリスト教とマラプがどのように共存し、お互いをどのように取り扱っているのか不思議である。
ここは空港から10分程度で、テレビやシャワー、テラスなど客室の設備も非常に清潔で整っており、周囲との差異に驚いた。
そして島内のコンクリート造の住宅もトタンでとんがり帽子を表現。
車窓からはあらゆる建物に突き出た屋根か乗っかるのを目撃する。
もちろんスンバ島の文化資料館もこの通り。大階段やコンクリートの柱など、慣習村の住居とはだいぶ異なる要素で構成されている。
屋根の外形さえとんがり帽子であれば、伝統住居が大きく頑丈になったものという印象を与えるのに十分なのであろう。
資料館の敷地内の東屋。きちんと男女の彫像も飾られている。
これは基本的に慣習村の屋根に取り付けられる彫像で、左が女性、右が男性である。家の正面から入って左が女性の間、右が男性の間という平面構成と重なっている。
また、ある慣習村ではメンテナンスが楽だからか、数棟がトタンで屋根を覆っていた。
屋根は”マラプのための家”である。そして、100人規模にもなる”一家”がひとつに集まる場所の象徴である。それは雨風をしのぐための家屋としての姿というより、スンバのアイデンティティを示す一番のモチーフとして、現在も民族を統合している。
〜家畜〜
スンバ島は至るところでのそのそと歩く家畜に出会う。
たとえ海岸でも。
スンバ島(特に東部)はそれほど豊かな土地ではないので、家畜の数が多い。
車で移動中は、バッファローや馬、牛、犬、豚に道路を占領され何度も急停止した。
集落や民家のまわりには住人以上の数の動物たち。
写真にはないが、見たことのない動物を幾度も見かけた。
正直SUMBAはノリで来たのだ。前々から夏に訪れる予定があったのでそれまで訪れる気はなかったのだが、バンドンで知り合ったスンバ出身の知人に年に一度の伝統行事があるということで誘われた。
彼がその人で、職業や年齢はあまり把握していない。
同行者は彼の友人で皆、バンドンやジャカルタの私立大学の建築学科の先生方。
スンバ島のホテルや観光客は、数は少ないがゼロではない。そして現在はスンバを舞台にしたツーリズムプロジェクトも開始されているようだ。
しかしスンバの自然環境だけでなく文化的側面を感じたい場合は、既に何年かここで研究している研究者か、地元民に知り合いが居ない限りはなかなか観光は難しいのではないだろうか。スンバで話される言語はもちろんスンバ語なので、英語はおろかインドネシア語も通じない場合がある。
私は棚ぼた状態で、毎日様々な慣習村や伝統行事を見学させて頂いた。非常に貴重な体験であったので、次回はそれらについて。