[OBLIVION DUST]-LIVE TOUR 2008- パンフレット内インタビュー / K.A.Z
新しいアルバムが出て、反応はやっぱり、まったく気にならないと言ったら嘘になりますね。ま、とりあえず今のところは好意的な見方が多いようなんで、安心してますけど(笑)。 そもそもKENと再会するきっかけになったのは、FAKE?のリミックスを頼まれたことで。かつて解散してからそれまでの間は、少なくとも頻繁に連絡を取り合うような関係ではなかったですね。RIKIJIとは、時々会ってましたけど。ただ、OBLIVION DUSTは「仲が悪くて解散に至った」わけではないし、逆に、久しぶりに顔を合わせたからといって、気まずさみたいなものはそこに全然なくて。親戚とかでも滅多に会うことのない人っているじゃないですか。それに近い感覚だったのかもしれませんね(笑)。 このバンドが一度終わったのは…..なんだろう、うまく説明できないんだけど、「ちっちゃいことの積み重ねによって、大きなズレが生じた」としか言いようがないですね。バンドって人間同士が集まってやるものだから、5年だろうと10年だろうと続いていくなかで、いろんなことが起こるものなんですよ。何が起こってもおかしくないし、何が起こるかわからない。そんななかで”?”マークが頭に残った状態のまま、前に進まなくちゃならないようなことが増えつつあったのは確かですね。そこで結果、同じ方向を向けなくなったというか。元々、まったく個性の違うメンバーばかり集まってるバンドだし、なかなか同一の方向を向いたりはしないんだけど(笑)、それが一致したときには本当にいいものが生まれてた気がする。 ただ、振り返ってみても後悔はなかったですね。たとえば自分が昔好きだったバンドの音楽を久しぶりに聴いたときに、「やっぱりいいよな」とか思うことがあるじゃないですか。たまたまOBLIVION DUSTの話になったり、音を耳にすることがあったりすると、そういうのと似た感覚がありましたね。時間を経て、客観的な気持ちで触れてもカッコいいと思えたというか。でも、あくまですでに終わってしまったものとして捉えていたから、少なくとも自分の側から、またやってみようと考えることはなかったですね。誰かが言い出すのを待ってた、というわけでもないんだけども(笑)。 今のOBLIVION DUSTは、昔に比べると、腹を割って話が出来る状態になってる気がします。昔だったら「これを言ったら喧嘩になるから止めておこう」と思ったようなことでも、今はストレートにズバズバ言ってたり。前はお互いの腹を探り合うばかりで、自分も含めて、誰もそこから先に踏み込もうとしてなかった。お互い、本音で付き合えるようになったということだろうと思うし、一言で言えば「オトナになった」ということなのかもしれない。裏を返せば、あの頃はあまりにも未成熟だったってことなんでしょうね。 元々、このバンドを作ったのは初代ドラマーのTAKAだったんですよ。彼がいなくなってから、リーダーというのは存在してなかったんですよね。音楽的な意味では俺がまとめてた部分もあるけど、いわゆるリーダーというポジションは自分には重荷ですね。ある意味、このバンドは「リーダーをやりたがらない人間ばかりの集まり」でもあったのかもしれない(笑)。でも同時に、仮にそこに独裁的な人間がいたとしても、それがうまくいったとも思えないんだけど。 KENはこれまでいろいろ経験してきたなかで、「一人でできることと、できないこと」が見えてきたんじゃないかな。そういう違いは出てきてると思う。これはお互いそうだけど、相手に任せるべきことは任せられるようになったというか。もちろん自分にも変化があったのは自覚してますよ。たとえばヴォーカリストの声によっても作る曲は違ってくるし、そこで自分のやりたいことをぶつけるだけじゃ駄目だし、逆に、要求に応えるだけでもいけない。ちゃんと有効な化学反応が起こるように設計図を考えるようになった、という部分はあると思います。 単純に言えば、「プロデューサー的な視点で音楽を捉えるようになってきた」ってことでもあるのかもしれない。そのヴォーカリストがどんな歌いまわしをするのかを知っているかどうかで、作る曲が違ってこなければおかしいし。それ以前に昔は、曲の要素を詰め込みすぎてたんですよ。相手との駆け引きをする前に、自分の頭のなかでものすごく駆け引きをしてた。みんなに渡す前にギターですべて表現できてないと気が済まないところがあったし、実際、「この曲のどこに歌を載せればいいんだ?」というようなのも多々あったと思う(笑)。歌を載せる前に自分のなかで完成形になってしまってたというか、引き算ができてなかったというか。 とにかく素直な作り方がきてなかったの事実ですね(笑)。サウンドがいいのに越したことはないんだけど、そこに意識が集中しすぎて、「シンプルでストレートないい曲」というのを、そのまま出すことができなくなってた。説得力とか裏付けみたいなものを求めるあまり、そうなってたんでしょうね。 そいうい意味では、今はすごく肩の力が抜けてるというか。今回のアルバムにしても、自分がカッコいいと思うものを素直に作れた気がするし、しかもそれを、キャッチボールしながら完成させることができた。「健康に音楽を作れてる」ってことじゃないですかね。 誰がどう変わったかを言うのは本当に難しいけど….たとえばRIKIJIは、変わってないところもあるし変わったところもある。意外と空気をちゃんと見る人だから、そういう意味では昔からいちばんオトナだったのかもしれない。ごく自然に、俺とKENの間の接着剤になったり、緩衝材になったりしてくれてる。彼の存在は、やっぱりOBLIVION DUSTを成立させるためには必要なんです。もちろん過去と同じあやまちは繰り返したくないけど、同時に、「ずっとこのまま続けます」とも「これ以外のことはやらない」とも言わないし、言えないですね。OBLIVION DUSTはこの3人にとっての、大事な”機会”であり”場”なんです。ここでしか出来ないこと、ここでしか作れないものがあること わかってるスペシャリストが集まってるのがこのバンドなんですよ。しかもみんな、束縛されるのが性に合わないんですね(笑)。だから、言ってしまえば結婚ではなく恋愛みたいな関係にあるんだと思う。 正直、昔は「わかる人だけわかってくれればいい」みたいなところもありましたね。でも今はむしろ素直に、広く自分たちの音楽を届けられたらいいなと思う。今は素直に「カッコいいから聞いてみて」と言えるんです。 この先のことは、これから先に考えます(笑)。少なくともこのバンドの場合は、それでいいと思うんで。用意されたストーリーなんて、全然ないんですよ。ただ、ここから何かが始まるのは確かなんで。
上げ直し












