タクシーがアクセルを踏んではすぐ離す走行をしている。体が前後に揺れて酔う。言えない。
雨の降った夏の夜は、香水のような匂いがする。ウッディなのに爽やかで、どこか神聖ささえ感じる匂い。そんな香水を探している。
飲みに行くのに夫と地下鉄に乗っている。すると彼がカバンから輪ゴムで開かぬように留められた文庫本を取り出して読み始めた。そういうところが好き。
サウナに8分。水風呂に溶けていきそうになる輪郭をどうにか保って。
8月も今日で終わりかと思っていたら、明日は31日だった。1日夏を得した気分。
肺が透き通っていく感じがする。東京は15度あったのに、新千歳空港を出ると0度だった。
最近は雨がずっと降っている。季節が移り変わろうとしている。とは言っても、季節はいつも忍び寄ってくる。ひまわりの後ろにいつの間にかコスモスが立っている。花はいつも正直で、私たちが気づかない間に、その目を伸ばし、歯を絞らせている。秀明菊のまるでベロアみたいな花びらを見て、秋が来たのだなと思う。
今年の根雪は例年より数日早かったように思う。まつげに雪が乗る。呼吸に溶けて水滴になった。ソレルのムートンブーツを履き潰したので、雪降る前にブランドストーンの550を卸していた。札幌みたいな雪国では滑らないか心配だったけれど、ひとまず大丈夫そう。
自分がスタンダードな幸せを手に入れるなんて思ってもいなかった。
夫はたまに眠りながら、歯軋りでもいびきでもない何かを咀嚼するような口の動きをする。この奇妙な癖を知っている女はこの世にあと何人いるのだろうか。
1/26の札幌は記録的な大雪だった。観測以来最高の降雪量となったらしい。
カフェオレにできる皮膜にざらめが数粒乗っているのを眺めていた。スプーンで縦にそっと