#67 春日希の人生初スウィング体験記~③本番編~
3編にわたって『(愛おしき)僕の時代』におけるスウィング体験を綴っております!
最終回は~③本番編~ということで、劇場に入ってからの1ヶ月間をスウィングはどのように過ごしていたのかをシェアします!
今回の愛ボクは1ヶ月のロングラン公演が3回のパートに分かれていました。
11/12~劇場入り
11/15~18 1stプレビュー公演
稽古期間
11/23~26 2ndプレビュー公演
稽古期間
11/30~12/15 本公演
つまり、劇場に入って幕が上がってからもバンバン変更かけてブラッシュアップしていくということです。キャストはもちろん、スウィングもその変更に瞬時に適応していく必要がありました。
「舞台は生もの。二度と同じものはない。」っていうけど、今回の愛ボクに関しては、そもそものシナリオや演出に毎回何かしらの変更がかかっていました。それこそ、二度と同じ形はなかったです。
スウィングは、本番前にベース衣装に着替え、ヘアメイクをする。本番中は客席で観るか、舞台裏で自由に時間を過ごす。(シュミレーションしながら台詞確認したり、歌ったり、踊ったり、全く関係ないことしたり笑。)本番後は出口でお土産を配る時もある。といった感じの毎日でした。
ここで、1stプレビューが始まった頃のわたしの日記を引用します。(なぜかこの日は英語です。笑)
As swing, it’s very important to make them feel relaxed and peaceful, and always get ready for everything.
→スウィングとして非常に大切なのは、キャスト達を落ち着かせ、穏やかな心を保ってもらうこと、そして自分が全てに対して常に準備万端であることです。
実際にそれが出来ていたかは自分一人では判断しがたいですが、本番前や本番中にキャストにハグを求められたり、ちょっとした相談を受けたりした時、「これってスウィングとして凄く嬉しい!」と強く思いました。
もし自分がキャストなら、今回のようなプロジェクトでは常に気を張り詰めて変更に対応してる為、通常とは異なる不安や緊張、プレッシャーを感じると思います。そんな時に少し寄りかかることのできる木が欲しくなります。でも、他のキャストも同じ環境下で頑張っているから...。そんな時に平静なコンディションのスウィングがいたら、ちょっと寄りかかれる。なーんて想像して、そんなスウィング像に自分がなれたら良いなぁって。
もちろん、心の余裕はこれからの経験次第でもぅと大きくできると思いますが、とりあえず今回はそんな目標を持っていました。
この頃には、「3周くらいまわって、なんだかいけそうなきがする~」って日記にも書いていて。笑 カンパニーに対する信頼度がかなり高まっていたんだと思います。知り合ってもう2ヶ月が経っていましたから!
さて、2ndプレビュー期間にはついにスウィング投入実験が行われ...
っとその前に、実験ではなくスウィングの梨乃ちゃん(隈元梨乃さん)が入る機会がありました。
・プロデューサー、クリエイター、制作側の適切な判断力
これらの要素がしっかりと繋がっていたからこそ、大きな問題がなく上演が出来たのだと思います。
さぁ、このことがありましたから、さらにさらに気が引き締まるスウィングたち!!
役者も人間です。何が起こるか誰も分かりません。最善を尽くしていても、どうしても舞台に立てなくなることだってある。
シングルキャストでスウィングがいなくて公演中止になったら?その公演を観るはずだったお客様の時間を奪うことになる。
その損害を考えたら、スウィングという保険を付けておくことにデメリットがあるとは言えないと思います。
梨乃ちゃんの出演があった数日後、とっくん(土倉有貴さん)とわたしが実験的出演をしました!
とっくんは昼公演、わたしは夜公演に、一部ムーブメントシーンのみキャストの方と入れ替わりました。
それにあたり、本番前にスウィングのためのリハーサルをしました。事故が起きないための必要最低限のリハです。
そして本番。ほんの数分の出演でしたが、初めてお客様の入った劇場で、キャストの中で、照明や音響と共に舞台に立ちました。かなり緊張した。笑
この経験は後にとても役立ちました。「ステージ上の体感を掴む」ことで、本公演にやってくるスウィングデー(トライアウトの一環としてスウィングが導入される回)に備えることができたのです。
実際、本番前、本番中に体調不良になる方が皆無だったと言ったら嘘になります。スウィングたちは常に(天気予報のような)アンテナを張って、最悪の状況を予想して密かに準備をしておくのです。
とあるキャストさんが、本番後「希ちゃんがいてくれて安心した」と涙目でわたしに伝えてきてくれたことがありました。そこに存在するだけで誰かのためになっていると思ったら、凄く嬉しくなりました。
毎日、心身共に健康な状態で劇場に行けることへの喜びと感謝を感じる日々でした。
そして12/2の夜公演前の集合時間に、大貴さんから告知がありました!
「明日のスウィングデーは、希ちゃんです。スウィングでもメインの役どころも務めてもらうということで、瑠美役で出演です!」
前日の夜公演は瑠美役の早着替えや裏動線を細かく確認する時間に使いました。そして、後はひたすらに脳内整理!!
家に帰り、脳内のハードディスクに保存されている5役から、とりあえず瑠美データのみを取り出して細かく復習です。本番の動画を見ながら、iPad内のノートを見ながら、台本と楽譜を読みながら、イメトレをしながら、実際に身体を動かしながら。もちろんその夜は舞台上に立っている夢を見ました。笑
スウィングデー当日は、なんだか朝からお祭りみたいでした。笑
キャストたちが「ようこそ~!」と迎え入れてくれて、ホッとしました。そんなキャストたちと、プロデューサー、スタッフ陣、制作陣、全員の理解とサポートがあってこその「スウィング稽古」たるものがお昼から行われました。4時間という限られた時間の中で、安心安全に本番を行うためのリハーサルです。
わたしが出演するシーンのみを、まずはシーンごとに確認。その後衣装の早着替え等も含めて複数のシーンを繋げた「ブロック通し」という流れでした。
もちろん、他キャストとセリフを合わせるのも、ダンスを踊るのも、マイクを通してソロ曲を歌うのも、何もかもが「初めて!」
自主練とイメトレはしていたものの、いざ舞台に瑠美として立ってみるとそこには初めて見える世界がありました。
舞台上の事故を防ぐために、本役の吏桜ちゃん(四ノ宮吏桜さん)はずっと近くで見ていてくれて、細かい注意点等を丁寧に教えてくれました。スウィングの2人は確認用のムービー撮影や全体との振りのバランス確認等をサポートしてくれました。
リハーサルで最も興味深かったのは、自分が自分に対して「どこまでやるか」を常に問うていたという点です。それまでの2ヶ月間見てきたキャラクターをある種コピーするように挑戦はしたものの、別の人間が演じればそれはまた別のものになってしまいますよね。(良い意味で!)
アウトプットしてみたは良いものの、自分にフィットしていないなぁと感じたり。でも、それはスウィングが感じるべき違和感だから受け入れようと思ったんです。「自分」は隠して、あくまでも作品を成立させるのだ!!と。
だがしかーし、わたしが感じていたその違和感とやらは演出家のに大貴さんにも伝わっていたらしく。笑 ワンシーン確認するごとに、一曲歌い終わるごとに、さささっとわたしの元に駆け寄ってきて、こんなことを言ったんです。
「希ちゃんならこっちの方向じゃない?例えば…(大貴さんお得意のユニークなたとえ話が続く...)」
そんな大貴さんのディレクションが、どれも自分にピタッとはまったんです。歌い方や芝居の方向性もあの短時間の中でアドバイスして導いいただきました。
「自分として舞台に立っていい」
そんな許しを与えてもらった気がして、ホッとしました。
約4時間、ほぼ休憩なしのリハーサルが終わった頃には、猛スピードでフル回転した脳みそにブレーキがかからない!って感じでした。
連日の本番でカンパニーの全員が疲れているはずなのに…。皆さんの集中力と判断力と柔軟性の高さにただただ感謝!そしてこのタイトなリハスケジュールを作ってくださった演出助手のももちゃん(渡辺桃子さん)にも本当に感謝。
そして本番。自分を信じて、あとは何よりも楽しもう!
そんな想いで作品の中にダイブしました!!
おワッタァァァ、すっきり。もちろんまだまだだけど今のベストは出せたし、作品が成立したんだから誇りを持とう。Swingでよかった、本当に。
スウィングで良かったんです本当に。いつもワクワクできるんです。この役もその役もあの役も、自分の大切な役なんです。だから、一つの作品を色んな眼鏡をかけて観ることができるんです。色んな感情を持てるんです。色んな経験ができて、色んな関係性を持てるんです。
もちろん、誰もがそう思うわけではないことも承知の上です。
「スウィングには向き不向きがある」というのも理解できます。
だとしたら、今回の収穫は、自分がスウィングに向いている性格だとわかったことですね。笑
わたしがそう思えたのは、このカンパニー、いやこのプロジェクト全体のおかげです。そして、スウィングのとっくんと梨乃ちゃんがいてくれたからやり遂げることができました。何を相談した訳ではないけれど、いつも側にいてくれて、困った時はお互いに助け合って、一人になりたい時はそっとしておいてくれました。本当にありがとう!
何度も繰り返しになりますが、日本ではまだ浸透していない本来のスウィング制度を導入するという決断を下し、そのスウィングをオーディションで選び、カンパニー全員がスウィングとは何かという共通認識を持ち、お客様もこの取り組みを理解してくださった。
何か一つでも欠けたら、今回のトライアウトは成功しなかったと思います。
今こうして(多分日本初の)ポジティブなスウィング体験記を書くことができて、心から嬉しいです。
この記事を通して、スウィングの認知度が高まるだけでなく、日本のミュージカル界における作品創作の環境に対してより多くの人がアンテナを張れるようになればいいなと願っています。
良いものを作るには、良い環境が必要で、良い環境を保つには、信頼関係が必要です。
ちなみに、自分の出演が終わってからも、もちろん万事に備える毎日でした!
梨乃ちゃんがカバーしていた残り6役のカバーもスタートしました。
もっと早い段階でもカバーできたかも。なーんて思ったり思わなかったり。笑
最後まで読んでくださった皆さん!本当にありがとうございました!!
✳︎番外編でスウィングQ&Aもやってみたいので、こちらのリンクから質問受け付けます。
https://forms.gle/icqUqz8dw3tRxHaQ6