食べていくために何ができるだろうと思案した果てに辿り着いた結論が、漫画だった。漫画も絵を描く仕事であることに変わりはない、という安直な思いつきだったが、実際やってみると半端ない根性を要する大変な作業であることが発覚した。 もともと妄想癖が旺盛だったので物語を考案するまでは問題ないのだが、枠で仕切られた紙に、頭で思い浮かべた物語を、映画の絵コンテのように、動きやカメラのアングルを考えながら描き込んでいかなければならない。
◆友人たちに励まされて つげ義春さんの漫画を何度も読み直しながら頑張って作業を進めていたが、途中で挫折の誘惑に負けそうになること数知れず、最初に思いついた漫画は完成には至らなかった。理由は体力的なものだけではなく、自分の思い描いている世界観をいっぺんに仕上げられないもどかしさと、頭の中ですでに出来上がっている完成形をイメージするだけで満足してしまうからだった。 しかし、この世がどんな世界かも知らず生まれてきてしまった息子を見ると、そんな利己的な理屈を考えて納得している場合ではなかった。 周りの友人たちにも励まされてやっと仕上げた一作目を、母が日本から送ってくれた少女漫画誌の新人賞に応募して、かろうじて努力賞にひっかかったのをきっかけにデビューが叶った。 https://fujinkoron.jp/articles/-/16531











