“うるせーぞこのヤロー! 坂本龍一 あれはもともと、どういう経緯でジョイントすることになったか知らなくて。僕はだって同意してないっていう。 ―スネークマン・ショーとの共演自体にですか? 坂本 っていう気持ちが強くてね。あれは幸宏と細野さんのあいだでやろうよっていうのがあって、僕はもちろん面白いと思うけど、なんでYMOとやらなきゃいけないのっていう。そのへんが僕的には整理なされないまま、ダーッて流れて行っちゃったから。 ―つまり、「写楽祭」より前に、スネークマン・ショーとの合体が、なんの了解のないまま決まっていったと。 坂本 僕にはきちんとした説明がなかった。幸宏・細野連合みたいなのができちゃって。そういうものに対する反発があったので、スネークマン・ショー自体はとても過激で面白いものだと思ったけど、YMOといっしょにやるってことは、違うんじゃないかっていう気持ちが強かったですね。「写楽祭」も成り行きでやることになっちゃったけど、僕はすごく退いてたんですよ。『増殖』に対しても。だから「写楽祭」で怒鳴ったっていうのは、ただ近視眼的にパッと頭に来て、ただ怒鳴ったわけじゃなくて。 ―お客に対して言ってるように見えましたが、十分にイライラしていたんだと。 坂本 ようするに、なんでこんなことをやるのかわからないっていう。でも結局、やるからには楽しみたいじゃない。それで女装かなんかしてラヴェルとか弾いてるんだよね。そうしたら客がワーッて怒り出したから、「うるせー、この野郎!」って。女装してるのも忘れて怒鳴ってるから、客にしてみれば、なんかデッカい女が怒鳴ってるぞって(笑)。 そしたらグシャグシャになって、小学館の主催者とか、篠山(紀信)さんとかが恐れをなして、全員帰っちゃった。それで(桑原)茂一(スネークマン・ショー/プロデューサー)も、スポンサーが小学館だったから、これでラジオももう終わりだと思って。本当にそうなっちゃったんだけど。 ―心中複雑なものがあったんですね。 坂本 まあ、楽しんじゃおうって感じだったんだけどね。だって、桑原茂一が誰だとか、スネークマン・ショーが何かとかって、全然知らないんだから僕、その時点で。 ―あちゃー。 坂本 全然腑に落ちてないんです、いまだに(笑)。 ―細野さんの過去の歴史を聞いていると、外部に向けてのコンセプトの説明が非常に明快なんです。コピーライターもかくやという。でも、メンバーには、割とノーコンセプトで好きなことをやらせて、提出してくれっていう、緩やかな結合体だったっていう。 坂本 あまり説明してくれなかったと思います。 ―ただ、そのYMOの良点でもある、説明が足りないところが、ちょっとフラストレーションに結びついたところがあるかも知れない。 坂本 そうですね。でも、あえてきっちり説明すると対立しちゃうから、ちゃんと言わないっていうことじゃないのかな。やっぱり僕も、大喧嘩になることは避けていたし。それで『BGM』のときは、あえて顔を合わさないとか、そういうふうになったわけだし。話し合いを避けていた部分がありますね。 ―細野さんは、いくつもバンドを結成して解散してっていうことをくり返してきた。だから、バンドを継続していくための知恵というか。 坂本 そうですね。あえて喋らないと。坂本は反発はしてるけど、こういうお題を与えれば、こういうものがでてくるっていうのはわかってるだろうから、最小限のコミュニケーションでやってるというね。だから、細野さんもずいぶん苦しかったと思うんだ。こんな荒っぽい男をさー。こんなはずじゃなかったとか(笑)。”
— 『イエロー・マジック・オーケストラ』アスペクト、2007年











