まかないと餞別の包丁
暇を持て余している. どれくらい暇かというと, 2017年7月16日から更新することなく放置していたこのブログを書こうと思うぐらい暇をしている.
いや, 本当のことを言えば, このところずっと久しぶりに何かを書きたいと思っていた. 何物でもない何かを, 思うままに書きたいと思っていた.
暇をしているから, という訳でもないが, 昨日, 学生時代にバイトしていた串焼場チャコで久しぶりに働いてきた. 営業中にスタッフとして店に立つのは3年半ぶりらしい.
3年半. 過ぎてゆく時間の中で, いろんなものが変わっていた. 店長と一緒に店を切り盛りしていた先輩は結婚と出産を機に, 少し離れたところに引っ越しをして, それから店の営業は店長とバイトだけで回すようになった. 最近は一人で営業することもあるらしい.
チャコは, オープン以来, 名物の焼き鳥と定番のお料理に, 週替りで旬の食材を活かした品や店長の気まぐれ創作料理を加えたメニューで常連さんを飽きさせることなく迎えてきた. そんなメニューの構成も仕込みやオーダー後の提供スピードを考慮した内容に一部変更されていた.
備長炭を敷いた焼台を囲むように造作されたコの字型のカウンターも, 気づけば天板に傷や色のぬけが目立つようになり, 使い込まれて味が出ていた.
久しぶりにお会いした常連さんの髪に少し白髪が増えていたことと同じように, 空間というものも年をとるらしい.
3年半. 過ぎていった時間の長さを感じるには, 昨日はちょうど良すぎる機会になった. 自分自身もこの3年半の間に, 大学を卒業し, 就職をした. 今も変わらず同じ会社で勤め続けているが仕事の内容や役割は少しずつ変化している. 引っ越しも2度している. 池袋から松戸, 現在の川崎へと移り住んだ. 結婚もした. 自分だけでなく兄妹まで結婚した.
光と影のように, 変わっていったものが見えてくると, 同時に, 変わらずに在り続けるものも, より明らかに捉えられるようになった.
チャコのバイトを卒業した時, 店長から餞別に, と一本の包丁を貰った. 「生命の原点は食にある. 食べろ! 生きろ! 愛は真心. 求めるものではなく求められるもの. そのすべてがチャコにある.」そんなメッセージと一緒だった.
人と生きる. 料理を作って振る舞い, 共に食べ, 共に飲む. 空腹を満たすだけでなく, 時に活力を与え, 時に傷を癒やし, 時に感謝や敬意を伝える. 相手を気遣い, 話に耳を傾け, 声をかけるように料理をもてなす.
それが, 店長の教えてくれた幸せのレシピ. 愛.
3年半, 作り続けてくれたまかない. こんな豪華なまかない, なかなかない. 昨日も鶏担々麺から感じた確かな愛. 正直, 食べながらかなりエモくなって耐えた, 泣かない. 作り方教えてもらいたいな, 近い未来.
暇を持て余している. どれくらい暇かというと, 料理本やレシピ動画を見ながら休暇中の献立を考えるぐらい暇をしている.
長い休暇は, 夫婦揃って家で食事することができるからいい. 仕事を忘れて料理に没頭できるのもいい. これからも我が家の料理番を楽しもう. 餞別の包丁を使って.















