植田真梨恵 インタビュー
DOMO PRESS
2016/12/09
植田真梨恵
ドキュメントのように生々しい色んな人たちの日常が、彼女の音楽というフィルターを通してファンタジーに変わる。歌が大好きなボーカリスト・植田真梨恵による魔法の呪文のようなアルバム『ロンリーナイト マジックスペル』。メジャー2枚目となるアルバムについて話を聞いた。
取材・写真=kasumi hamada
■2016年は3月の『SANUKI ROCK COLOSSEUM』、8月の『MONSTER baSH 2016』に出演と沢山香川に来ていただいてますが、どんな印象を持ちましたか?
「皆さん穏やかで、優しい方が多いなって思いますね。モンバスもそうだったんですけど、凄く空気が気持ちよくて!イベント自体、のびのびした印象が強いですね」
■中学卒業を期に15歳で地元・福岡を離れ大阪に住み音楽活動を始めたとの事ですが、そのきっかけとは?
「子供の頃からカラオケに週一回行っては歌ってとか、率先して街ののど自慢大会に出たりする歌が大好きな家族だったんですね。小学校1年の時に初めて人前で歌って、それ以来歌手になりたいとオーディションを受けたりしていて。本気でずっと追いかけて来た夢だったので、周りも進路を固めていく中で早く私も出ていかなければと焦ってた気持ちが当時大きくて。中学校3年生の時にようやく合格したのが大阪のレコード会社が主催していたオーディションで、高校入学のタイミングで大阪に来たんです。やっと決まった~って…!」
■一人で大阪へ出る時に迷いとかは一切なかったのですか?
「本気になったのが早くて、それからずっと本気だったから…(笑)小学生時代はただひたすら自分が歌手になることを疑わなかったんですけど、中学生になって自分なりに新しく音楽を聴き始めたり、友達も自我がしっかり芽生え始めた時期は私も歌に対して直視できなかった時期もやっぱりあって。ずっと自分は普通ではいけないなって思ってはいたんですけど、普通に毎日を過ごす事がとっても大事だなと思った時期でもあったんですね。なので一番迷った時期だったけど、大事な時期だったなと思いますね」
■子供の頃から夢をずっと追いかけて来たんですね。今作はそんな「夢」をテーマにしたアルバムですが、色んな夢が詰まっていて…!
「メジャー2枚目のアルバムになるんですけど、『わかんないのはいやだ』(3rd SG)をリリースしたぐらいから、アルバムの事をまた意識するようになったんですよ。その流れであっという間に曲が走馬灯のようにバーッと駆け巡って。でも内容は凝縮しているものを届けたいなと思ってて。それとはまったく別で無意識に曲を書いているところで、私の曲には夢っていうワードが頻繁に出てくる事に気付いて。無意識に頭の中にあったのだと思うんですけど。やっぱり一言で夢といってもかなり要素が多いので…悪夢、良い夢、懐かしい夢、予知夢とか。繰り返し見る夢、あと未来にみる夢とか。子供の頃から夢という言葉自体が凄く好きなので、これはもう夢という言葉が入っている曲をなるべく入れて私自身もそれを見つめてアルバムにしたいなと思ったんです」
■“無意識”をあえて意識して見つめてみたと。歌詞から感じる『日常と夢』とか『ポップな曲調と真意に迫る歌詞』など植田さんの中には“対比”が存在しているのかなと。
「表裏一体というか…2つのモノが並んでいて時計みたいに一周した時にポンと針が触れると実は隣り合わせだったりするんです。そんなふうに割とどっちを選んでもそんなに大差ないなって思う事が年々増えてるんですね。でやっぱり生きているので波があって。自分自身はどっちにも偏らずニュートラルで居たいし、大きな波の中でどっちも歌えるといいなと強く思います。特にM11『スペクタクル』(4th SG)は自分が凄く落ち込んでいる時に作った曲なんですけど、歌詞の“全然終わりがないね”と“だんだん慣れてきたね”とか。どっちにも良い部分とやな部分があって、どっちとも言えない事が多いなと思うからこそそういうものを歌いたいなと思う気持ちが強くなりましたね」
■両方に良さがあると。切ない気持ちや今を生きている感覚とかがそのまま一つひとつ言葉になって綴られているなとも感じたのですが、言葉選びはどんな風に?
「結構曲によって違うんですけど、M8『夢のパレード』(最新SG)は単語単語というか、メロディと歌詞が一緒にトロンて出て来た感じでしたね。凄く久々に脳みそを通らずに出来たというか。何も考えずにただただ漏れてくる言葉を曲にしたようなところがあって。自分でも抽象的だなと今でも思う曲なんですけど、かと言ってそれが分かんないんだけど分かんない事もないというか(笑)それで自分自身や皆さんの心に届くならばそれでいっかと思うところもあって。M7『パエリア』はリフから作り始めて、リフに続いて自然に口に出たのが、あの出だしの「魚を♪」だったんです(笑)漠然と結婚式で歌えるといいなと思いながら作りましたね」
■M10『ふれたら消えてしまう』(5th SG)は忘れてしまった大切だったはずのモノとか、眩い光に包まれているイメージが湧いて。植田さんにとってどんな曲ですか?
「なるべくあんまり考え過ぎずに曲に変えていきたいなと最近凄く思っているんですよ。そんな中で、“今”こうしてる事に全然実感がないな~って思って。日々歳も取るし、季節も実感がなくて、楽しい事をしないと思い出が残っていかなくて忘れてしまったりするので…それが勿体ないなって、そういう事を考えていた時に作ったんですよね。感動とか、嬉しい!っていう気持ちはその時がピークで、2日ぐらい経ったら全然体にその感じが返ってこないみたいな。それが悲しいんだけどしょうがないって事を歌ってるんです。特にこれをリリースしたのが夏だったので、イベントとかで皆に大声で歌ってもらう事でより曲が自分の中でも焼き付いたというか。不思議な曲だなと今も思いますね」
■そう考えると、過ぎていく夏の情景も相まってより切ない感じがしますね。
「そうですね。切ながりなもので(笑)」
■(笑)。このアルバムは人間の真意に迫っているというか、足を踏み入れるとその世界に深く入り込めるし、意識せずに聴き流すだけでも言葉とメロディが心地よくて夢見心地になれるというか。ひとりぼっちの夜に傍に置きたい1枚だなと!
「おぉ…!ありがとうございます。今回夢をテーマにした時に、“ひとり”っていうところが切り離せなかったんです。ひとりで立ってみて初めてようやく色んな事と対峙出来るというか。向かい合った時に初めて夢が生きてくる感じがしたので。ひとりが寂しいばっかりじゃないよっていう事でもありますよね。ロンリーなんですけど、“寂しい”が“煌めき”みたいなものにほんのちょっとした事で変わると思うから。そういう1枚になればなって思いましたね」
■さっき仰ってた対比のお話しにもつながりますね。
「そうですね。切ない瞬間にこそ綺麗だなって事をよく思うんですよね。逆に綺麗だなって思う瞬間に切なくなる事も多くて。それが自分の中で凄く近いところにあるので。ロンリーナイトもやっぱりどっちの要素もあって。自分の見方で全然変わるし、そんな日のおまじないになればいいなというアルバムではあります」
■M5『ダイニング』は家族を想うこれまでに無いようなバラードで、アルバムのリード曲でもありますね
「朝ひとりでコーンフレークを食べたりとかそういう瞬間と家族で集まるダイニングテーブルの対比を思ったというか。一人ひとりにお父さんお母さんって役割があって、同じ家庭は一個もなくて。夫婦も元々は恋人同士で、家族になっていくわけじゃないですか。違うものが混ざってひとつになっていくような…境目がだんだん無くなっていく事というか。言葉にするのが難しいんですけど・・・(笑)ダイニングテーブルで家族で朝ごはんを食べてる時間は凄く幸せな瞬間だと思うんですね。これが私にとって一番夢の曲だなと思っていて。今回のアルバム自体が、小さい時から見てる夢と今私が思っている夢が繋がったような感覚があるんです。歌にかける想いや、自分ひとりただ普通に生きて死んでいく中での家族間とか大切な人との繋がりを想う夢。そのどっちもが集約されたアルバムなので、自分のこれまで生きて来たモノがやっと1枚になったなって感覚がしていて。それを象徴するのがこの『ダイニング』かなと思います」
■一番の夢が詰まった曲なのですね。アルバムの12曲それぞれに手書きのキャラクターも描かれていますが、これがまた可愛くて・・・!
「アルバム自体が私の全然想像できないような人の所まできっと届くなと思っていて。皆が同じ歌を聴いて色んな情景を浮かべると思うので、なるべく色んな人格が見えるようなキャラクターを1枚の中に入れておきたかったというか。シンプルなんだけど色んな人の人生が見えるような1枚にしたいなというのがあって絵を描いてみました!」
■その中で人魚のキャラクターが描かれたM6『I was Dreamin’ C U Darlin’』は現実のお友達の話だとか
「メジャーデビューしてからというもの、具体的なテーマを決めて皆が同じ絵を見るような分かり易いものを作って届けるという事を意識してきたんですけども。曲を作っている中で必然性みたいなところにすがりたくなるんですよね。具体的に想像出来る“誰か”を想ってその曲が生まれたって事に私は凄くいいなと思うんです。誰かひとりに、でいいからその曲が生まれた必然性があれば私は一生歌えるなって。この曲は特にそういう風に出来た曲ですね」
■イラストをはじめ、アートワークもご自身でされているとの事ですが、今作のジャケ写はどんなイメージで作られたんですか?
「M8『夢のパレード』(最新SG)をリリースしてから、赤と黒とかなるべくコントラストの強い1枚でシンプルなものにしたいなと思っていたんです。で、夢がテーマなので“寝てる時に皆の夢が夜空に浮かんでそれが繋がっている”みたいなのが全体像で。なるべく手で描いたものでシンプルに届くようにしたいと思いながら制作しましたね」
■今日お話しを聞いていて、歌う為に生まれて来られたんじゃないかと思うほど歌への強い想いを感じました。改めて、歌のどんなところが好きですか?
「いつでも聴けるところですね!何も持っていなくても、頭の中で思い出して再生出来るところが好き。1回聴いて忘れたと思っても覚えている曲ってあるじゃないですか?そんな風に何回も蘇ってくるのも好きなところで。寂しい時とか、誰に話していいか分からない悩みがある時とかに曲を聴いて励まされる事が私自身多かったので。楽しくなる曲やマイナスな気持ちに同調する曲とか様々な曲があっていいと思っているので、それをいっぱい作っていきたいです」
■ライヴもその想いに溢れていて気迫さえも感じます・・・!歌っている時はどういう気持ちですか?
「普段のライヴもインストアライヴも含めて、その時にしか集まらない人たちの組み合わせというか、その時の空気を感じて作って届けたいなと思っているんですね。皆で作っている空間でもあるんですけど、私が発する以上は私が時間を作り出していかなきゃいけないと思っていて。気迫とかを感じるのは、歌というもの自体が凄く神聖だなと思えてる瞬間なのかなと。誰にも言いたくないような事を歌にして歌っているような瞬間にそういうパワーが生まれるのかもしれないですね。ライヴ自体が凄く好きなので、インストアイベントも今沢山回っているんですけど、ライヴの時間は私にとってのご褒美ですね」
■そしてアルバムを携えたツアーの高松公演が来年1/29に控えています!今回はバンドワンマンという事で、どんなライヴになるのでしょうか?
「これからより寒くなってくる時期に、ちょっとでもあったかみのあるモノが出来ればいいなと思いながら作ったアルバムです。今回『ロンリーナイト マジックスペル』のツアーという事で、皆が聴いてきてくださったものをその時にしか出せないそのままの形で届けられるのが嬉しいですね。以前『UTAUTAU』というツアーを“いっせーのーせ”のメンバーと届けているんですけど、そのメンバーと1年3か月ぶりのツアーになります!メジャーデビューからずっと一緒にやってきたメンバーでのライヴです。四国にはライヴでもちょこちょこ来れているので、また皆さんとお会い出来るのが凄く楽しみです。ぜひアルバムを聴いてライヴに遊びに来てください!」















