アイスブレーキングは落語でいうところの枕だ、という話
今回は、前期に一緒に授業を行っていた中で舘野さんから学んだ「ワークショップを設計する上で重要なポイント」についてです。記事のタイトルがいかにも舘野さんっぽいですね。意識的に寄せてみました。笑
さて、最近ではファシリテーションのノウハウが広く共有され、ワークショップや会議など様々な機会でアイスブレーキングが盛り込まれることが多くなりました。
そもそもアイスブレーキングとは、初対面の人同士が集まる際など、人と人とのわだかまりを和らげ、そこに集まった目的を達成するよう積極的に参加者に関わってもらえるよう促す技術と言えるでしょう。コミュニケーションしやすい雰囲気を生み出し、話し合うきっかけを作るための簡易的なゲームやクイズ、運動などを指します。
一口にアイスブレーキングと言っても、様々なタイプのものがあり、日本ファシリテーション協会によると「ほぐし系」「紹介系」「悟り系」という分類があるようです。こうした分類法が生まれるほど、アイスブレーキングのアクティビティやその運用方法は多様化しています。
自身で研修を行ったり、会議やワークショップでを企画した経験のある方なら一度くらいは自分でもこうした既存のノウハウを参考にしたことがあるのではないでしょうか。
こうしてノウハウが蓄積され、共有されることで学習する環境が向上していくこと自体はとても素晴らしいことですが、反面、広く知られているアイスブレーキングの手法を同じようにそのまま導入しているだけでは、まだまだ工夫の余地があります。
ということを、僕も実際に舘野さんからご指導頂きました。一緒に担当していたクラスでの初回の授業で行うアイスブレーキングの企画と実践を僕が担当することになり、素案を持って相談に行った時のことでした。
話は変わって落語です。実は落語がマイブームで、最近ではYouTube先生が気を利かせてレコメンドしてくれるようになりました。池袋にも演劇場があるので、今度寄席を観に行こうと思っています。
落語の噺には、基本的な構成が存在します。枕、本編、サゲの三部構造です。それぞれ、導入部、本題、そして噺の締めくくり、笑いどころであるサゲ。サゲについては「落ち」という方が馴染みがあるでしょうか。落語は、枕、本編、サゲの三つをそれぞれ独立させることなく、一連の流れで話をします。淀みない流れに乗って、一席の落語が出来上がるのです。
中でも枕は、落語家が観客に対して謝辞を述べたり、小話をして客席をほぐしたりとその日の雰囲気を大きく左右します。落語家にとってはその時々の会場の様子を掴む上で重要な部分と言えます。
通常、枕には二つの役割があります。「ネタ振りのための枕」と「解説のための枕」です。
基本的に枕では、本編のネタと関連する小話を披露します。例えば本編で魚の話をするのに、枕で花や鳥の話はしない訳です。魚に関する小話をしたり、魚に関する時世の話を笑いを交えながらしていきます。例えば、死神の枕はこんな感じです。
日本では神様を八百万の神々と申します。ところが同じ神様でもあんまり人の喜ばない神様をいます。風邪の神だとか、あるいは手水鉢の神、貧乏神、疫病神、死神なんという。ええ、こういうのは人に歓迎されませんでした。
偽りのある世なりけり神無月、貧乏神は身をも離れず
なんという狂歌がございますが...
また、落語では現在では馴染みのない文化や風習、言葉が笑いのネタになっていることが多くあります。観客がこうしたネタを知らないまま本編を聞いても笑いどころがわからないので、枕の段階でそれとなく解説をしていくことがあります。
このように落語における枕は、お客さんが本編に入りやすいように、聞き入りやすいように導いてあげる役割を持っているのです。さりげなく、それとなく巧みに、枕から本編に移り観客を引き込むことができる演者は優れた噺家と言われます。
よく設計されたワークショップでのアイスブレーキングは、落語でいうところの枕と同じ役割を果たします。
参加者、観客の緊張を和らげること
本編となるコンテンツ、そこから得られる意味付けと一連の流れを持っていること
本編に対するネタ振り、解説になっていること
その場の雰囲気を見て、アレンジできる余白が残っていること
舘野さんから学んだことは、「最近よくありがちなアイスブレーキングは1.しか満たしていないよね。」という危惧と、それを打開するための「一石X鳥を狙う設計」でした。既存のありふれた手法をそのまま使うのではなく、アイスブレーキングを実施する目的とその後の本編との連動を意識して自前でアクティビティを設計する方が大きな効果が見込めます。
そうして作ったアクティビティで実践を行った際、参加者が意図していた通りに狙っていた目的を次々と達成して、まさに一石二鳥、三鳥にもなっていく様子を見ているときの爽快感は至福です。笑
今後なにか打ち合わせやワークショップを企画し、アイスブレーキングを考える機会があれば、ぜひ参考にしてみてください。
僕自身も、来る21日にある某会議の企画を進めるに当って、かなり入念な設計をしています。アイスブレーキングもオリジナルのアクティビティを用意して、楽しめるものになっているかと思います。が、現時点ではなかなか参加者が集まらずに少し焦れったさを感じている所です。
ぜひ参加してほしいですね、Pledge Committeeのみなさん!










