「逆襲」- BRUTUS 西田善太氏の課題に挑んでみて
WEBデザイナー / 小林新 (http://www.twotone.jp/)
この課題はとある終電帰りのテッペン頃、祐天寺駅から続く夜道の途中で思いついたとあるワードがもとになって作られている。プレゼン時にも思わずそう叫んだが、この企画はそのキーワード以上でも以下のものでもない。
美大の映像科を出て、CM業界を諦め、ゼロから独学でWEBの世界に入り、プロジェクトに合わせて構成、デザイン、コーディング、制作進行、撮影、映像編集、イベントスタッフ、ロケ弁の手配。 世間の想像以上につらくて色んなことをする仕事だけれども、少しずつできることを増やしていって、何とか何とか、続いている。
でも「編集」はやったことがない。そもそも編集ってなんだろう。(なんかうさんくさい言葉だし)
そう思ってふと手にとった「はじめての編集」は、とてもダイナミックで夢に満ち溢れた本だった。既にそれぞれ廃刊となってしまっているが、菅付さんの手掛けた「Invitation」「リバティーンズ」などの記憶が一挙に蘇ってきた。
そして、それをしっかりと読み終える頃に丁度スパルタ塾の存在を知った。20代最後に、編集という今までの人生にない異質なものをブチ込んでみるのも、まぁ良いかもしれない。クソ忙しいけれども、勢いで入塾した。
気持ちの準備を整える間もなく、初回の課題、西田善太氏「ブルータス毎年恒例の本特集、2014年12月15日発売号のタイトル、表紙、構成案を考える」
デザインの仕事はしてきたけど、まともにコピーなんて考えたことないし、雑誌の表紙のデザインも組んだこともない。そもそも雑誌レベルのスケールの構成案ってどこから手をつけるの?とりあえず全部見出しゴシック(*BRUTUSで良く使われるフォント)で組めばいいの?ブックインブックってそもそもいるか?僕はPen派だけど?
軽く躁的なパニック状態になりつつも、高ぶった心を良い方向に向けるために帰りの電車でなぜか島本和彦を読んでいた。
そうして昂ぶった神経が、余計暴走的な気分になっている中、なぜか「逆襲」というキーワードが降臨した。このワード、今考えてみると「本」とつながるところは何もない。
ただ、編集について「何もやったことがない」というのは、余計な制約や邪念を取り払い、自分らしさを存分に出すチャンスである。WEBという無数の制約を相手にする仕事をしているからか、余計にフリーダムにやってやろうという気持ちで一杯であった。
そうなれば後は滝を下るように進んだ。自分の今までの読書、関わった仕事、人を勝手に総動員して、たった一つの「逆襲」というワードをベースにガリガリと構成を組んでいった。こうなると何も立ちはだかるものはなかった。
はっきり言ってめちゃくちゃ楽しかった。
たったひとつの突拍子ない言葉が、みるみるうちに立体的な雑誌を形作っていく。自分の経験が、企画として実を結んでいく。絶対おもしろいし企画だし、絶対に負けるはずがないと思った。
そして、アガリ症を逆手にとって叫ぶようにやったプレゼンを経て、企画は初回にして個人賞を頂ける結果となった。
ひとりひとりの講評は時間的な制約でとても短い。西田氏の言葉で覚えているのは「この企画売ってくれ」だけだ。今思うと、これ以上の褒め言葉はないだろう。
講義レポートにするつもりが、自分語りになってしまいまして申し訳ないです。でも、講義と自分の奮闘の経験を比べれば、前者は生徒全員に与えられるもの、後者は自分だけの糧になります。「勝つ」つもりならば、どこを頑張るべきかは明白です。そこを伝えたかったです。
塾自体は、後半は仕事の忙しさに巻き返しを喰らい、通塾と課題提出は徐々にトーンダウンしてしまいました。塾全体の「逆襲」は失敗でした。正直寂しかった。みんなに会いたかった。だけれども、この初回の一連のダイナミクスを経験しただけで、そのほとんどの収穫を得たと言ってもいいでしょう(*若干の涙と開き直りを含みます)。
自分のことで本当に精一杯なので、三期生の方々に送る言葉があまり見つかりません。ただ先も言った通り、「与えてもらう」つもりでいくと逆に何も得られないかもしれないです。ガツガツと菅付さんやゲスト講師の方々、B&Bの固い椅子に一様に座っている出自が謎の生徒たち。そんな全員に反骨心ぐらいのものを剥き出しにして闘いを挑む、そんなテンションの方が逆に何かを刈り取れるかもしれません。健闘を祈ります。「炎の入塾生」になるかは君次第だ!!








