1965年から東京でオーディオ店を営んでおります。
ダイナミックオーディオと申します。
立体音響再生の道具と、それにまつわるお話をさせていただきたいと思います。なるべく皆さんに分っていただき易いものを、と考えておりますので、すでに強烈なオーディオマニアの方には「そんなの当ッたり前じゃん」と言われてしまうような事もあるかもしれませんが、実際のところ我々のようなマニアは我々自身が思っている以上に絶滅危惧種と言ってよい少数派なので、ここはひとつこの素晴らしい趣味を広く理解していただくために、全く真っ新な、オーディオ知識ゼロの、健全な人を想定して(でもなるべくディープに)お話していければと思います。
JBL <SA600> USA
ところでこの写真に写っているのは1965年にアメリカのJBLが発表したオーディオアンプ<SA600>という代物。日本に入って来たのは昭和40年頃で、当時の値段でおよそ¥200,000もしたそうなんです。オーディオアンプというのは文字通り電気の信号をAmplify(増幅)するためだけの道具ですから、これだけでは音楽は聴けなくて、他にプレーヤーやスピーカーが必要なんですね。ラジオとかレコードプレイヤーが発電した電気をココで大きくしてスピーカーに流すと音が鳴るわけです。
音楽聴くのにいちいち面倒なことを…と思うのはこれは至極真っ当な現代人の考えですが、実はあなたのお手元のスマートフォンもほとんど同様のプロセスを経て音を鳴らしているのです。ただ<データを電気に変えて(プレイヤー)→電気を大きくして(アンプ)→電気を振動に変える(スピーカー)>という一連の仕事をそれぞれすご〜く小型化してひとつのボディーに納めているだけ。SA600が発売された当時は、スマートフォンみたいに<便利>なものは姿カタチどころか、人のアイディアの中にすらなかったので、このような道具と手順を使わないと、録音された音楽を聴くことはできなかったのです。
で、写真のSA600ですが、なんとまだまだ全然平気で働けちゃう。もちろん修理や手入れは必要という前提ですが、50年使える電化製品ってそうそうないですよね。それどころか、この道具が最先端だった時代とはまた大きく異なった価値と示唆を我々にもたらしてくれるようになったのですが、その辺りの話はまた今度。
ダイナミックオーディオ 企画室 佐藤泰地
















