回る弾倉、起きる撃鉄。 こわばった指がトリッガーを引く。 撃針が、空の薬室を撃ち、虚しい音を立てたとき、 皮肉にも、生の充足が魂を震わせ肉体に溢れる。
ロシアンルーレット。
この、危険な遊戯が、これこそがこの世に似合うのか
どこかで聞いたナレーション(C.V銀河万丈)が脳裏を駆け巡る。 「この周回も生き残った…」と胸をなでおろすのもつかの間、次々とやってくる。 不幸にも弾倉に込められた銃弾が撃ち抜かれた刹那、また一人、また一人と雪崩のような落車に巻き込まれ消えていく。
「不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったんだよ…」
牙を持たぬ者は生きてゆかれぬイバラの道。 only the strong survive . 去年味わったスズカの路面は苦かった、今年はどっちだ?
シマノスズカロードレース、5ステージでした。
開催日が例年に比べ2週間ほど後ろにずれた今年のシマノスズカロードレース、その恩恵は気温によって受けることとなりました。今までの記憶ではジリジリと照り付ける太陽により、早朝でも外にいるだけで体力を奪われるような気温とコンディションでしたが、今年は天候が曇りということもあり、初日の土曜日に至っては30度に届かないという絶好のコンディションに恵まれました。
前日まで降り続いた雨も早朝までには止み、コースも一部ウェットなことを除き”気温的”には最高でした。 今年はメンバー的に5ステージへの出場も危ぶまれましたが、のりへいメンバーの尽力により豪脚助っ人「小暮選手・豊崎選手」の参加により5名揃えることが出来、晴れてエントリーできました。 さらに、例年参加人数減少に伴いチームオフィスの個人負担が増えるところをDESTRAさんに相部屋させて頂くことで、快適に過ごせましたこと、ありがとうございました。
一応このシマノスズカに合わせて調整を行って来たのですが、減量は-4kgと成功したものの距離を乗り込む予定のお盆期間に胃腸風邪にかかり、ほぼ寝込んでしまう事案が発生。例年通りのスケジュールでスズカが開催されていたら地獄を見てましたね、ハイ体調管理大事。
さて5ステージの構成は例年通りの以下の内容。
第1ステージ ロードレース フルコース5周回 第2ステージ 個人タイムトライアル 東ショートコース1周回 第3ステージ チームタイムトライアル フルコース4周回 第4ステージ クリテリウム 東ショートコース5周回 第5ステージ ロードレース フルコース7周回
昨年は第4ステージで痛恨の落車による怪我で意気消沈した為、今年は無事に走り切る・楽しむこと、そして少しでも上の順位(昨年チーム順位12位)を目指す事が一番の目標。 出場チームも5年前とは様変わりし、目新しいチームから古参チームまで幅広い層がエントリー。
第1ステージ フルコース5周回
毎年のことながら第1ステージは勝利=リーダージャージとなるので血気盛んにレースが動くが、今年は1周目から落車が発生。 ラインが落車場所と違った為、事なき得ましたがチームメイトの豊崎選手が怪我によりDNF、のりへいも集団から遅れすでに3名しか先頭集団に残っていない状況。 チーム内TOP3名の合計タイムがチームの持ちタイムとなるためもう一人も集団から落とせない状況となる。 が、しかし最終周回のデグナー過ぎのダンロップコーナーで再び大きい落車発生。残りのメンバーは全員回避したが集団からコバちゃんが遅れ2名のみ集団ゴール。
すでにチーム順位は25位まで後退。
第2ステージ 個人タイムトライアル 東ショートコース1周回
前日にTT用の機材を準備していたところTTバーのマウントが破断し装着できなくなる事態が発生。仕方なくホイールのみ交換してノーマルハンドルで出走。周りに「言ってくれれば予備持ってきたのに~」と温かい言葉を頂き、とりあえずツイッターで「誰か貸してください!」って言ってみれば良かったな…と反省&勉強。 当然タイムが出ることも無く去年から9秒落ちの自身初3分台を出してしまう醜態リザルト。
第3ステージ チームタイムトライアル フルコース4周回
スズカの順位はTTTで決まるといっても過言ではない。そのTTTも豊崎選手を除く4人体制で一人当たりの負担も大きい。 一番脚のある小暮選手にスタートから4ペースを作ってもらうが不調のようで、その後ローテーションには自分、のりへい、コバちゃんで回していくが22位とタイムも出ない。
ここで初日3レース終了、落車から始まった一日は歯車が噛み合わないまま終わった。 翌9/1(日)この日は早朝から天気も良く気温も上がり、クリテリウムに向けて全員アップに余念がない。脚は前日3レース走っているせいか比較的動いている(自分比)印象で悪くない。
第4ステージ クリテリウム 東ショートコース5周回
もうとにかくインターバルな4ステージは1周3分程度で登って下っての繰り返し。登りのペースも速いし下りも当然速い、とにかく語彙に乏しいが速いのである。 そんな雰囲気なので集団内の動きも活発で、本日も落車の音が絶えない。 ある程度予想していたが昨年同様最終コーナー手前で集団落車が発生し規模も大きい。 ちょうど目の前だったのだが落車車両との相対速度で一瞬の間があり、認知・判断・行動の基礎3行動でラインを見つけ無事回避。
嗚呼ぁ危なかった!
残り1kmを切ってからの落車だったので優遇措置でトップとタイム差なしでのゴールはありがたかった。
そして最終第5ステージ ロードレース 最長となるフルコース7周回
スタート前に応援に来ていた息子に「無傷でゴールしたら、この後遊園地行くぞ」と約束してコースインしたのだが…。スタートと同時に逃げが出来るが間もなく吸収、2周回に入ったタイミングで再び逃げが発生。 集団に残った自分としては見送るか追走するか、集団の動向を見守っていたがどうやら追う展開になりそうだ。
2周回目に入りシケインを超えたところでペースアップ長ーく集団が伸びるが西ストレート後半で突如落車~!の声が集団に響く。 どうなってるんだ!直線でしかも速度が緩むのはスプーンの入り口ぐらいからだろ?と思った刹那、落車の影が突然目の前に現れる。
※けーなか車載動画より
ここから本当にスローモーションでした。 既にブレーキングしながらラインを探して左の人が芝側に逃げたので少しスペースが出来た。少しだけ左に回避行動を取り、そのラインが落車で埋まる前に通過しようとバイクを向ける。 その間も目の前には次々と積みあがる人の山、地面から弾き飛ぶボトルに自転車、そして人・人・人の負の連鎖 そして最も恐れていた自分のライン上に人影が…あれ?見たことあるジャージだな。
小暮選手でした。
身内を踏むのはまずい!(いや身内でなくても人は踏みたくないのだが)
今まで空の弾倉で潜り抜けてきたロシアンルーレット、ついに死線が目の前に現れた。これ以上はどうしようもない、まさに成す術無し、それ以上の回避行動もとれず腹を決める。
来いよベネット 銃なんか捨ててかかってこい!
次の瞬間、路面ミューの高いスズカの黒いアスファルトに叩きつけられて、やっぱりこいつとはハグしたくなかったな…。 他人と絡まったバイクを解き体制を起こすと「サイコン落ちてるよ」とどこからかやさしい声。あっ、ありがとうござます。
拾い上げてバイクにまたがるとチェーン落ち、チェーンを掛けなおす頃には集団は視界から消えていました。 曲がったステムに折れたハンドル、シフトが効かないSTIを誤魔化しながら、同じく落車に巻き込まれた小暮選手と残り半周を走ってDNF宣言。
今年も救護所へ来てしまった。 擦過傷に脇の強打(ヒビ程度)で比較的軽傷だったのが救いであった。 オフィスに戻るとレースはまだ続いていたが、早々に着替えて家族に報告。 息子より「遊園地行ける?」と聞かれたので「行けるよ」と答える。観覧車ぐらいでお茶を濁してやろうと思ったら、観覧車は気温により停止。 よりによってその横にあるDualGPというプチジェットコースターみたいなのに乗る羽目になり、痛みで悶絶したのは言うまでもない。
何はともあれ今年の夏の祭典シマノスズカも終了し、これにてロードシーズンは終了です。 2年連続の落車は正直堪えますがチームで走るステージレースは面白いし、唯一無二だと思います。
落車についても脚があり、リザルトを毎年残す選手は回避能力も高く上手く走っていると感じました。 貰い落車というと不可抗力だという意見もありますが、やはり発生しても回避できる、不穏な空気感を読んで自身のポジションを変える、万が一のエスケープゾーンをしっかりと意識して走っているという、サイクリストとしての資質が試されていると感じました。
その点については自分はまだまだ未熟であり、無意識に周りに迷惑をかけているのではないかなとも思います。
来年、もし集団内での立ち振る舞いスキルにもう一つ自信が持てるのであれば、メンバー揃えて再び走りたい5ステージでした。











