ファッションの「佇まい」と「動き」をどう変えようとしたか。――2016年 DIESELとの制作活動記録
※本記事は掲載内容を、特別に編集部に全文掲載許可いただきました。
2015年にファッションブランド コイケ( koike. ) を起こした小池優子は、立ち上げ1年目、100着にも満たない洋服を制作してきたブランドだった。2年目を迎えた春に、イタリアのブランドDIESELから2016年秋冬カプセルコレクション3000着のオファーが届いた。「DIESELを纏う女性の可憐さ」。小池優子は、制作テーマをこう表現した。
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2016年9月6日は、小池にとって、記念すべき1日となった。DIESEL JAPANの2016年秋冬カプセルコレクションを監修し、ブランドとしての初の販売商品を発売したのだ。9月9日からは、全国のDIESELストアで販売がスタート。9月27日は、新宿伊勢丹1階で新作のクチュールアイテムも加え、約1週間展示販売される。
小池を起用した、DIESEL のアーティスティック・ディレクターのニコラ・フォルミケッティ氏は、花をモチーフにした koike. のガーリィな世界観が好きで依頼したと、コラボレーションのきっかけをインタビューで語っている。
9月6日は、DIESEL 日本上陸30周年記念イベントが天王洲アイルの寺田倉庫で盛大に行われた。国内外からトップモデル、バイヤー、エディター、インフルエンサーが多く訪れた。小池が監修したカプセルコレクションもランウェイに登場した。
「2年も経たない無名ブランドが、この世界観と規模のファッションショーに参加できたことが信じられません。DIESEL日本上陸30周年の巡り合わせにとても感謝しています」
立ち上げから2年、いまだに自身のブランドから販売商品を発売していないにしても、 koike. はファッションブランドとして、制作と実験を繰り返しながら徐々に進化してきた。そして、DIESEL JAPAN との制作はひとつの金字塔になった。
写真家テリー・リチャードソンの撮影によるDIESELのブランドプロジェクト「#forsuccessfulliving」
前年と比べても30倍以上の展開数に、実感が追いつかないと小池は語る。それほど、ここまで来るには長い道のりがあった。小池は女性の繊細さ、可愛らしさを表現した洋服を制作し、それが評価されてきた。DIESELの歴史を紹介する資料、過去のコレクション、広告表現、なによりもDIESELを纏う女性の佇まいは、小池がイメージしてきた女性像と調べれば調べるほど違いが明確だった。
「芯の強いイタリアの女性。それが、DIESELを纏う方々の第一印象でした。強さのなかに大人の優しさがあって、ファッションを着こなす楽しみ、喜びを知っている方々ではないかと考えました」
DIESELを選ぶ女性を間近で見たくて、ショップに直接足を運んだ。デニムやビンテージの歴史や特徴もあらためて学び直した。
上村松園. 1936. 『序の舞』. 東京藝術大学大学美術館所蔵
制作の方向性を見いだせないまま約2ヶ月が過ぎようとしていたとき、リサーチ資料のなかにあった「美人画」から着想を得た。明治から大正、昭和の激動の日本で活躍した、近代日本の美人画の第一人者、上村松園の描く女性が、DIESELのイメージと重なった。
「上村松園さんは、何ものにも犯されない女性の内に潜む強い意志をこの絵に表現したかった、とおっしゃったようです。強さと優しさを兼ね備えた、 DIESELの大人の女性と、私が普段から集めている凛とした美人画の精神性が、とても近いものだと気づくことができました」
9月27日(火)から10月4日(火)までは、伊勢丹新宿店本館1階=ザ・ステージにて、エクスクルーシブなアイテムも登場する限定ストアがオープン。
本格的な制作に入ってこだわったことがある。刺繍とプリントのモチーフになっている動植物の図案だ。
「これまで1点もの、クチュール作品を私は制作してきました。生命力があると評価されてきました。今回の量産品でここをどう表現できるか考えた末に、全ての図案を手描きにしました。花々の動きをわたしの頭のなかでイメージし続け、洋服をつくりました。着用して、動いてもらえることで完成する洋服です」
小池の洋服はファッションショーで、本当に動いた。DIESEL30周年記念イベントは、トップスタイリスト、さらに加茂克也氏がヘアデザインを担当した。 世界で5本の指に入ると言われる、ヘアデザイナーの加茂氏が、 小池がデザインしたルックも手掛け、驚くほど洋服が show up された。森のなかに棲む動物が飛び出してきたようだった。DIESELの世界観に小池のファンタジーが現れた。
DIESEL CELEBRATING 30 YEARS IN JAPAN Fashion Show で登場した小池監修コレクションのルック
「加茂克也さんのヘアデザインのアイディアと技術によって、動植物の着想が、本当に生命力を宿した瞬間でした。洋服の力を最大限に引き上げていただきました。私が目指したいテクノロジーとファッションの組み合わせを垣間見た気がしました。動植物や自然の生命力、バイオテクノロジーのような。この感動を再現する洋服を、次も生み出したいです」
全てのルックはこちらからご覧いただけます。
DIESEL JAPAN 30th by YUKO KOIKE
http://www.diesel.co.jp/japan30/products/yk/
服を買ってもらう喜びを教えていただいたDIESELさま、約半年間サポートくださったみなさま、そして購入いただいたあなたに感謝しております。
koike. デザイナー 小池優子