void+では、Unknown Series no. 9として、衣真一郎による個展「石室」を開催いたします。本シリーズとしては、void+において約6年ぶりの開催となります。
衣は、古墳や山、人、埴輪、静物といった対象に向き合い、その形や色、内包する時間の層を捉えながら、絵画と立体を制作してきました。対象を実際に見て、触れ、歩くという身体的な経験を通して得られる複数の視点や揺らぐスケール感、そのものの強度を取り込み、その実感に基づいた表現を展開しています。
本展では、新作と旧作を織り交ぜながら、void+の空間全体を用いた展示を行います。特徴的な空間構成を活かしつつ、作品同士の関係性や広がりを提示することで、衣の実践の現在地をご覧いただける機会となるでしょう。
また、個展の初日である5月16日(土)には群馬県立近代美術館学芸員の田中龍也氏、5月30日(土)には美術家の末永史尚氏をゲストにお招きし、トークイベントを開催いたします。
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<展覧会概要>
■会期:2026年5月16日(土)-6月13日(土) ■時間:12:00-19:00 ■レセプション:5月16日(土)17:00-20:00 ■会場:void+ 東京都港区南青山3-16-14 1F ■主催:void+、Unknown 実行委員会 ■企画:カトウチカ ■広報協力:YN Associates ■定休日:日、月 ■お問合せ:[email protected] ■HP:www.voidplus.jp
<トークイベント> ① ■日時:2026年5月16日(土)15:00−16:00 ■ゲスト:田中龍也(群馬県立近代美術館学芸員)
② ■日時:2026年5月30日(土)15:00−16:00 ■ゲスト:末永史尚(美術家、東京造形大学教授)
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衣真一郎は、東京造形大学と東京藝術大学で絵画を専攻し、絵を描き続けてきましたが、現代の様々な流行に囚われることなく、独自の存在感を持つに至っています。
その画面には、衣が愛する群馬の風景と古墳、副葬品、移動している途中で出会った人々や物、車のシンボルマークなどが、半ば記号的に描かれています。
衣の絵は、子供が描いたような素朴さや大胆さ、多数の視点や自在なスケール感を持っています。鑑賞者は、画家の移動の記憶と絵画の試みに引き込まれ、いつまでも見飽きるということがありません。そこには絵を見ることの本質的な体験、絵と絵がある空間の豊かさがあるのです。
本展は、新作と旧作で構成され、void+の3室を使った展示となります。絵画、ドローイング、インスタレーションなど多様な作品を見ることができるでしょう。衣の絵が持つおおらかさ、時間と空間、そして画家としての揺るぎない姿勢をご覧いただければと思います。ぜひお越しください。 カトウチカ(Unknown Series キュレーター)
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山や畑などの風景を描いていたら古墳に出合い、古墳を描いていたら埴輪に出合った。
そして、そこから石室、副葬品など、さまざまに広がっている。
空間に絵があるだけで、何かが変わってくる。
そこには、さまざまな風景、人の生活、思いや記憶、積み重なってきたものがある。
風景と静物は似ている。いろいろな場所や角度から捉えられないと描けない。
一回見たり、訪れたりしただけで、分かった気にはなれない。人との関係と同じである。
向かい合ったり、周りを歩いたり、触ったり、登ったりして、いろいろ考える。
どう画面にしていくのか、描き手それぞれに常に問われている。
古墳の中にある被葬者の埋葬施設である石室は、閉ざされた謎に満ちた空間である。
石の積み方も古墳や造られた年代によって、違いがあって面白い。
置かれている副葬品の一つ一つにも、当時の人々のさまざまな思いが込められているのだろう。
今回は特長的なvoid+の空間を、石室のようにして展示できたらと思う。
内側にあるものと、外側にある風景についても考えていきたい 2026.5 衣真一郎
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<論考- 群馬県立近代美術館学芸員 田中龍也>
榛名山の中腹に生まれ育ち、今はその山頂の榛名湖畔で生活する衣真一郎は、日常的に山を登り降りしながら風景に対する視点を頻繁に切り替えているはずで、それが衣の画面に異なる視点からとらえられたモチーフが混在する理由の一つではないだろうか。こうした視点の違いを最もよく表すのが、衣の作品にしばしば登場する古墳である。
古墳大国群馬では、平地にぽこっと小山があればそれはたいがい古墳であり、生活圏内を行き来しながら日々目にするモチーフを画面に配置して風景を再構築していく衣にとっては無視できない存在のはずで、とりわけ前方後円墳は、上から見ると鍵穴あるいは正対した人のかたちになり、横から見ると連なった二つの山あるいは横たわる人のかたちになり、絵画のモチーフとして魅力的なのだと思われる。
今回の個展は、void+で最も特徴的な部屋(Gallery 1)を、綿貫観音山古墳(群馬県高崎市)の石室に見立てるところからスタートしたという。細い通路から室内に入ると床には丸石が敷き詰められ、四方の壁には、石室の内部およびそこから出土した副葬品を描いた絵画が飾られ、およそ1,400年という時間の重なりを感じさせる。対して外光の入る開放的な部屋(Gallery 2・3)の展示作品に描かれるのは、1960年代の発掘以前は畑や道として使われ、今は幹線道路や工場に囲まれる、日常の中の古墳の姿である。
古墳の内と外の対比により古墳にまつわる時間と空間が明確になり、考古学的に貴重なものでありながら風景の一部として人々の生活に溶け込んできた古墳の在り方をとらえることこそ、衣が古墳を描き続ける理由なのだと気付かせてくれる、そんな個展となっている。
田中龍也(たなか・たつや 群馬県立近代美術館学芸員)
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<作家プロフィール>
衣真一郎 ころもしんいちろう
1987年 群馬県生まれ 2013年 東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域卒業 2014-15年 パリ国立高等美術学校交換留学 2016年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了
<近年の主な個展>
2025年 「衣真一郎展 古墳とピラミッド」(渋川市美術館・桑原巨守彫刻美術館/群馬)
2024年 「CONMINI No.4 ミニマルアート」 (Ais Gallery/群馬)、「積み重なる風景」(KATSUYA SUSUKI GALLERY/東京)
2023年 「curator’s vol.4 衣真一郎 “古墳、山”」(GALLERY TAGA 2/東京)、「横たわる風景」(See Saw gallery + hibit/愛知)
2021年 「新世代への視点2021 衣真一郎展 “山と道”」(藍画廊/東京)
2019年 「project N 75 衣真一郎」(東京オペラシティ アートギャラリー/東京)など
<近年の主なグループ展>
2025 年 「原田郁・衣真一郎 リポジトリ:内と外で出合う」(太田市美術館・図書館/群馬)
2024年 「ハニワと土偶の近代」(東京国立近代美術館/東京)
2023年 「三菱アートゲート・プログラム2021-2022 支援アーティスト6 組による新作展」(代官山ヒルサイドフォーラム/東京)
2022年 「絵になる風景」(ボーダーレス・アートミュージアムNO-MA/滋賀)、「あの風景を探しに美術館へ」(高崎市美術館/群馬)
2021年 「VOCA 展2021」(上野の森美術館/東京)など
2020年 「デイジーチェーン トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2020 成果発表展」(トーキョーアーツアンドスペース本郷/東京)など
<主な受賞、助成>
2023年 上毛芸術文化賞
2021-2022年 三菱商事アート・ゲート・プログラム(ブレイクスルー)採択
2017年 群馬青年ビエンナーレ2017 入選
2013年、2016 年 アートアワードトーキョー丸の内 入選など
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【Press Release】















