財布の中
楽しかったこと嬉しかったこと、心動かされたことは、忘れ難いし忘れたくない。
でも、時間が過ぎていくうちに記憶は薄れ、風化しくすんでしまう。
忘れるのが悲しくて、写真を撮るようになった。
財布の中には、チケットの半券を入れておくのが癖になった。
ライブ、映画、美術館、写真展、大体は取って置いて、年末に全て見返して記憶を反芻し破棄する。キリがないから。
それでも捨てられないものがあって。特に思い入れが強くて捨てる気になれない。
御守りと化したその半券の一枚は、先日更新された。
写真家 ソール・ライター
モノクロからカラーへ変わる時代のファッションカメラマン。
しかし脚光を浴びたのは、晩年に発掘された彼が撮りためたニューヨークのスナップ写真。
詳しいことはあまり知らない。私は作品しか見てない。
彼の絵画的な構図、刺すような色の配置、顔の見えない街の被写体は何処かで見たことのあるような誰かに見えて深い共感を呼ぶ。
画角の中の余白に物語を見てしまう。
主張の強い押し付けがましい表現じゃなくて、観ているこちら側が思わず語り、紡ぎたくなるような写真。
初めて観た3年前からずっと憧れて、財布の中で忘れられずにいた。
まさかまた観れるなんて。
大きな紙のプリントで、目の前に現れるなんて。
喜び勇んで観てきました。やっぱり大好きだった。
頭の中でカッコイイなーと連呼して。あと何回観に行けるだろう。
できるだけたくさん足を運びたい。









