ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギターのGotchこと後藤正文さんに、特定秘密保護法について、今の日本の政治について、若者について、そしてこれからの社会の在り方についてインタビューしてきました。是非ご一読ください!
※このインタビューは全三回あります。お楽しみに。
●思っているけど言わないという風潮(ムード)の中で、学生が街に出るというのはすごいと思う
SASPL:アーティストに限らず、僕らの世代含め、政治的な意見を言いにくい雰囲気があると思うんですけど。後藤さんは、そういう雰囲気を感じたりしますか?
Gotch:長い間、ポリティカル(政治的)じゃないことがもてはやされた時代があったから、いざ言わなきゃいけないってときに知識や経験の蓄積がないよね、ミュージシャンもアーティストとかも。できたらやりたくないってなっちゃう。でも、言わなきゃいけないよね。音楽とか芸術とか、そういう場所からこそ語り得る言葉ってたくさんあると思う。でも、そういうことができるのにやらないっていう人が多い印象だよね。自分たちよりもかなり上の世代、清志郎さんや坂本龍一さんとかは、ポリティカルな発言だったり、社会的な活動をちゃんとやってきた歴史っていうのがあるんだろうけど、自分たちの世代って、あんまり積極的じゃなかった。今でもそんなにたくさんはいないし。
思っているけど言わない人が多いなかで、学生が街にでるというのはすごいことだと思う。官邸前のデモに行っても高校生がいたりするんだよね。中学生くらいの子たちが友達と来たりしていて、感心する。大学生が更に若い子を見て感心してるっていうのもすごいよね。
SASPL: SASPLメンバーにも高校生の子たちがいるんですけど、デモの時にスピーチをしたんですよ。18歳、17歳の女の子とかが、「自分はまだ選挙にいけないけど、言いたいことがあります。だからデモにきました」って言ってて、声を上げにくい空気の中でも、そうやって「声」を上げてく人たちがいるし、自分も頑張んないとなって思わされますね。
Gotch:それ、どこかで文章を読んだなぁ。素晴らしいと思ったよ。
●オレ、安倍政権が保守的だっていうのはちょっと分からない
Gotch:例えば、権力が極端に集中するとどういうことが起きるかっていうと、政権が変わるごとに、物凄いドラスティックにいろんな制度が変わるっていうことが担保されてしまう。どういう人がリーダーになるかによって、国の形が変わっちゃう。保守的じゃないよね。だからオレ安倍政権が保守的だっていうのはちょっと分からない。
SASPL:首相が「憲法を変える」と言っていると海外の友達に伝えたら、「改革派なんだね」って。いやいや、自称保守政党なんだけどっていう (笑)。
SASPL:戦後の民主主義というか、国の形、憲法そのものを壊してしまおうとしている。自民党の憲法草案についてよく憲法学者が言うのは、「ソビエト憲法に一番似ている」のだと。人々の権利を保障しているように見えるんですけど、実は全て、「但し、公益及び公の秩序に反さない限り」というようなものが付いている。
Gotch:憲法草案と日本国憲法を読み比べてみたけど、別物に変わってるよね。今は国民に主権があるんだけど、それが変わっていうように読める。国民は憲法を守りなさい、つまり、国に従いなさいっていう憲法だよね。そういうのは何が主体かが透けて見えるから怖い。そして、安倍さんが内容云々以上に言いたいのは「新しい憲法を自分たちで書きたい」ということで、今の憲法は認めてないんだろうね。
●「自衛隊」はARMY(軍隊)としなくて、…絶対先制攻撃しない、日本が生み出した「発明品」だって言えばいい
Gotch:でも、僕たちは日本国憲法を読んで、その内容について、本当にいいのかどうかってことを、みんなで話し合わなきゃいけないんだなとも思う。最近の空気に乗って、妙な改憲ムードが高まるのはちょっと怖いけど。
例えば「自衛隊って何だろう?」っていう話。「戦力は保持しない」と書いてあるのに、膨大な予算を使って、どう考えても兵器っていうものを持っている。それってなんか、上手に屁理屈を言いながら許容してるわけでしょう。それをどう考えるのか?っていう問いはあるよね。
SASPL:そうですね。憲法の場合はその条文をどう解釈するのかっていうのがあるので、自衛隊の在り方をどう捉えるかっていうのが、ひとつ、…まぁ、国民の意識ですよね、結局。
Gotch:僕は、自衛隊は『自衛隊』でいいんじゃないかって思う。何も自分たちで"ARMY"としなくても、「テンプラ」とか「スキヤキ」みたいに「ジエイタイ」って書けばいいんだって。「絶対先制攻撃をしない、日本が生み出した『発明品』だ」って言えばいいんじゃないかな。ナイーブかもしれないけれど、とてもユニークだと思う。
SASPL:自衛隊の中にもそういう人たちいますよね。僕たちは自衛するってことに誇りを持っているんだって。
Gotch:最近は国民の意見を反映させるシステムが選挙一択みたいに考えるの、どうなのかと思う。4人に1人くらいしか支持していない政党が過半数以上の議席を取ってしまうという、もの凄い選挙システムもあるし。難しいよね。
いろいろな方法で、市民がもっと政治に参加しないといけないってことを話し合った方がいいと思うんだよね。政府だけが悪いんじゃないと思う。だって、無関心な人が多いじゃん。デモやってたら変なヤツらだって見られてるの分かるでしょ。
SASPL:僕ら学生の中でも、割とこういう(政治に関心のある)友達もいますけど、そうじゃない友達っていうのもいて、話しにくいなあっていうのもあるんです。
Gotch:もう少し普通になってほしいって思うよね。話しづらいっていうのは、すごく想像できる。でも普通に音楽の話をするように話せばいい気がするし、そういう空気になっていくべきだって思うけどね。
だけど、今は大きな危機感があるよね。世界情勢も不安定で、圧迫感というか、空気がヒリヒリしているような気持ちになってきた。嫌だなって思う。
SASPL:この間、フランスの選挙が欧州議会選挙で、フランスの保有する74議席中の3分の1を国民戦線という極右政党が取ったっていうのがニュースになってたんですけど、その経済的危機だったり、人々の不安が募った時に、どちらかに傾くと思うんですよね。日本においても。本屋に行ったら、「だから韓国は頭が悪い」とか、「中国は汚い」とか、本当に信じられないような本が…
SASPL:本当にそうです。でも、それが10万部、20万部って…。売れるってことなんですよね。官邸前のデモとか、震災後からスタンダードになってきてはいると言えど、一方で田母神さんみたいな人が60万票とっていたり、国会議員が「中国と戦争して勝つ」って宣言したり、とんでもないことになってて…
Gotch:マズいよね。でも、僕たちも反省しないといけないけれど、こういう運動やデモに参加したり、地元の本当に小さな自治会でも町内会でもいいんだけど、そういうところに参加してこなかったわけだよね。他人事にしてきたっていうか。そういう他人任せをやめていくしかないと思うんだよね。
SASPL:そうですよね。誰かのせいにしたりとか、「権力者が悪いんだ!」だけじゃなくて、じゃあ自分はどうするのかっていうところが、問われなければいけないと思うんです。安倍政権悪いと思ってる人は沢山いると思うんです。特定秘密保護法に関しても、8割の人が反対してるし。だけど、もし安倍政権がこのまま倒れたとしても、結局何も変わらないと思うんですよね。自分たちが何かをした結果こうなっているという感覚がないと、いつまで経っても、問題自体が他人事ですよね。
Gotch:僕はもう、そこだと思ってるよずっと。震災のあと。
●僕たちは考えてもいいし、発言してもいいんだっていう社会にしていきたい
Gotch:政府がおかしい時は「おかしい」って、国民が言わなきゃいけないんだけどね。民主主義とか憲法ってそうやって守っていくものだから。
そういう意味では、自分がデモに参加するのは一人の国民、市民として当たり前のことだと思ってやっているけど、「私はもう関係ない」「誰かがやるでしょ」「言ったって無駄でしょ」みたいな人を、どうやって減らしていくのかってことが重要だと思う。沈黙してしまう人の方が多いんだよ、絶対。問題意識を共有していても、そうやって聞き流してしまう人もいる。あとは「バカだから分からない」みたいな。これってとても大きな問題のような気がする。「バカは黙ってろ」と「バカだからわかんない」が共鳴して、市民の無関心を担保している。うーん、こういった状況を何が作ったのかが分からないんだよねえ。でも、学校教育のような気もするな。すごい色々考えるよ。
SASPL:学生でデモやってると、学部生レベルだと「何を言っているんだ」とか結構言われたりするんですけど、学生だからとか、お前は主婦だからとか、お前はフリーターだからとか、なんかそういう発言できる人の条件付けでどんどん敷居を高くしていて、でもそんな社会って大学教授ぐらいじゃないと何も言えなくなっちゃいますよね。
Gotch:そういうことだよね。つまり政治は専門家に任しとけっていうことになってしまうよね。
SASPL:だからもう一度、「僕たちは考えてもいいし、僕たちは発言してもいいんだ」っていう社会にしていきたい。それは恥じることでもなんでもない。当たり前のこと。
SASPL:どっちが先でもいいと思うんですよ。勉強してから興味もっても、興味もってから勉強しても。デモに来て初めてそういう問題を知る人もいるし。
●正しく用意された回答に向けて答えられる能力とは、別の能力っていうのがあると思う
Gotch:「勉強」についての考え方が、どうしても学校のテストみたいなところに集約されていくんだけど、そういうことじゃなくて、教養として本を読むとか、一般知識として読んでおくべき本とか、そういうところに向かって行くといいと思うんだよね。
正しく用意された回答に向けて答えられる能力とはまた「別の能力」っていうのがあると思うし。そして、市民や国民であることに、その一員として政治に参加することに、学歴とか職業とか人種とか、そういうことは関係ないんだよね。そのあたり、もうちょっとどうにかしたいところでもあるんだよなあ。
SASPL:よく言われる「空気」の問題あるじゃないですか。そういう、言えない「雰囲気」とか「空気」 とか。でもそれが問題だったら、自分たちでポジティブな空気を作っていくしかないですよね。「分かんないこと」=「恥ずかしい」みたいなものもあると思うんですけど。もう潔く。「全然分かんないから、誰か説明してくれ」って言っていいと思うんですよ。
Gotch:いいと思う絶対。特に若い子たちは、教えてくださいって言えばいいんだよ。ニヤッとすると思うよ、オジさんとか。「よし、教えてやろう」とか言って。