【2018年秋冬パリコレクション ハイライト6】パリ閉幕/ハイブリット、カオス、ブロークン・・・様々な手法のハイパーミックスが主流
(写真上 サカイ Courtesy of SACAI) 2018年秋冬パリコレクションが終了した。会期は9日間に戻ったものの初日の26日は今回もジャック ムス(JACQUEMUS)だけ。
合同展示会などでのモデルを使ったプレゼンテーションは増えているものの、公式日程ではコレクションを中止するブランドもありブランド数は80以下となった今シーズン。光沢のある素材も目を引いた。亡くなったアライアや回顧展が行われているマルタン・マルジェラへのオマージュと呼べそうなデザインも登場している。
また、60年代から90年代まで様々なスタイルが提案される中で、ハイブリッドやフュージョンだけでなく、様々なトレンドやアート、文化や人種の混じり合うパリをイメージしたコレクションや、CHAOSや乱雑さをキーワードにしたブランドも出ている。
◆ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARÇONS)
(Courtesy of JUNYA WATANABE COMME DES GARÇONS)
ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARÇONS)はストイックでかっこいい女性をイメージしたコレクションを発表した。
オーバーサイズのジャケットやコートとタイツ、アシメトリーなジャケット、古い家具を思わせるレトロなフラワー、ジレを変形させたような袖無しのコートや逆に袖を膨らませたりしわを寄せたりするなど袖の形を変えたコートやジャケット。オーバーサイズのファーのジャケットやコートとファーをドッキングしたコート。そして四角いパターンを取り入れたデザイン。モデルたちは足早に進み、ときにジャケットを無造作に脱ぎ捨て、去っていく。
英国調やパンクのムードもありながら、コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)やヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)が衝撃を与えた80年代のアバンギャルドや展覧会開催中のマルタン・マルジェラも思い出させた今シーズンのコレクション。オーバーサイズは秋冬も続くようだ。
◆サカイ(SACAI)
(Courtesy of SACAI)
サカイ(SACAI)は、ハイブリッドの探求を継続しながら、アシメトリーを多用することで新しさを強調した。
ブロックを組み合わせるように服の原型を組み合わせ、更にスケーターからインスピレーションを得たシューレースベルトもプラスした今シーズン。スクールブレザーはダウンジャケットやテーラードジャケットなどとのハイブリッドによって新しい学生服に生まれ変わり、表と裏を逆にしたインサイドアウトのデニムジャケットはレイヤードでストライプを表現。また、手編みのセーターはシフォンと組み合わされ、柄は鏡映しに再構築している。
ここ数シーズン、完全にひとつの世界を完成させてしまったような印象が強かったが、今シーズンは縦のドッキングやレイヤード風ではなく、左右のアイテムやシェイプなどの違うアシメトリーのハイブリッドや光沢のある素材で、アバンギャルドなムードや未来的雰囲気もプラス。独自のスタイルと新しさを両立している。
◆アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)
(Courtesy of ALEXANDER MCQUEEN)
アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)は、テーラードにフェミニンな要素をプラスしたデザインや昆虫をモチーフにしたデザインなどを見せた。
マックイーンらしいテーラードスタイルはウエストを極端にシェイプしたり、フレアをプラスしたり、巨大なリボンを付けたりすることによって、構築的なスタイルの中に女性らしさをプラスする。レザーのコルセットやボディドレス、ベルトにドレープ性や柔らかなスカート、身体の線を美しく描いたニットなどを組み合わせたスタイルは、力強くしかも女性的で、アズディン・アライアのボディコンシャスも彷彿(ほうふつ)させる。
また、蝶を拡大したプリントのスカートやドレス、刺しゅうで作られた38種類1,480匹の昆虫を左右対称に並べたドレスや98種類の昆虫を乗せたスカート、たくさんの1本1本糸を編み込んだドレスなども自然の力強さとエレガンスが共存したマックイーンならではのデザインだ。
◆ニナ リッチ(NINA RICCI)
(Courtesy of NINA RICCI)
ニナ リッチ(NINA RICCI)は「French institution」をテーマに、現在のフランスを創り、彩ってきた作家や画家、アカデミックな部分からインスピレーションを得たコレクションを発表した。赤のパンツやコート、ニットなどをアクセントにしたスタイリング、未来的でありながらエレガントな光沢のある素材を使ったコートやマント、しわ加工を施した光る素材を使ったアイテム。そして、ブラトップやバスト部分を立体的にしたランジェリールック、身体にフィットしたニット。ニナ リッチらしい洗練された女性らしさに、最新素材や光をプラスすることによって、現代におけるニナリッチ像を表現している。
◆アニエスベー(AGNES B.)
(Photo by Shinichi Higuchi)
アニエスベー(AGNES B.)もパリを感じさせるコレクション。シャイヨー宮で開催された今シーズン。エッフェル塔を背景に進むモデルが着ているのはシックな黒の服やアートとファッションの融合した服、デザイナー自身が撮影した夜の川などをプリントしたスカート。そして、パリの四季を描くように雪と土からインスパイアされたようなデザインや、冬の景色や春の植物などの転写プリント、春夏コレクションのようなきれいな色も使われている。シンプルでありながらアーティスティックで多彩。パリらしく、しかもアニエスベーらしいコレクション。
◆カラー(kolor)
(Courtesy of kolor)
カラー(kolor)はポップな感じや乱雑な感じを表現した。プレゼンテーションではなく展示会の中でコレクションを発表した今回。様々な素材のドッキングやパッチワークは更に複雑になり、ファーやストリートグラフィティ、カルダンなどの60年代を思わせる円のモチーフを裾部分にたくさんつけたデザイン、そしてブルゾンとライダースを重ねたようなトロンプルイユ。スタッズはジュエリーのように飾られる。また、色は赤をキーカラーに様々なポップな色が使われている。
◆ウェンディジム(WENDY JIM)
(Photo by Shinichi Higuchi)
モデルを使ったプレゼンテーションを行ったウェンディジム(WENDY JIM)。落書きだらけの壁、架空のテレビ番組や天気予報、雑誌の表紙などを描いた壁の前に、再帰反射素材を使った消防士風スタイルやデニム、エッフェル塔と植物を重ねたプリントや目の部分が二重になったたくさんの顔をプリントしたカジュアルウエアを着たモデルが移動していき、CHAOSを強調した。
◆ポール & ジョー(PAUL & JOE)
(Photo by Shinichi Higuchi)
ポール & ジョー(PAUL & JOE)はマニッシュなアイテムやデニムなどとともに、人形のモチーフや落書き風、花、馬車などのプリントを使ったデザイン、花を刺しゅうした半透明のコートなど、少女の頃の思い出を描いたようなコレクション。ノスタルジックでありながらかわいいスタイルはポール & ジョーならでは。スパンコールのジャンプスーツなど、光沢のある素材などもポイントになっている。
Text by Shinichi Higuchi












