“自然現象はなぜ数学で説明できるのか 質問 数学って人間が作ったものだと思うんですが、自然現象はなぜ数学で説明できるんでしょうか。 回答 これはすばらしい質問です。 ウィグナーという物理学者は、このことを「自然科学において数学は理不尽なまでに有効」と表現しました。自然科学とは無関係に作り出したもののはずなのに、自然科学の研究や表現において数学が非常に有効に働くということを表したのですね。 現代の数学は「もしもこのような前提条件が成り立つとしたら、いったい何がいえるか」を極限まで厳密に追求したものといえます(話をかなり単純化していますけれど)。ですから、自然科学を研究している人が、自分の研究課題を数学の前提条件に結びつけることができたなら、研究は数学の力を借りて千里を一気に駆けることができるのです。 数学者が作る数学的体系はその意味でハイウェイのようなものといえます。どんな車が高速道路の入口にやって来るかは知らず、数学者たちは淡々と立体交差の高速道路を建築しています。いったん入口をうまく入ることができたなら、何十キロ、何百キロの先まで高速に到達できるというわけです。 自然科学者はしばしば自分の研究課題の数理モデルを作ります。あるいは微分方程式の形で、あるいは代数的構造の形で、自分の研究課題を抽象化して数学で表現するのです。それは先ほどのたとえでいうならば、数学者が用意した数多くのハイウェイ、その入口の一つに入ろうとする試みです。いったんハイウェイに乗り、遠くの出口で降りたとき、数学なしではたどりつくのが困難であった遠くの結論まで高速に到達できるでしょう。 ただし、一点注意が必要です。それは自然科学は数学そのものではないということです。自然科学での研究対象を数学の前提条件に結びつける(数理モデルを作る)段階でずれがあるなら、そのずれのことを忘れないようにしなければなりませんね。 すばらしい質問をありがとうございました。”
— 結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年4月24日 Vol.317 (via kondoumh)







