聴講メモ 【緊急開催】著作権侵害サイトのブロッキング要請に関する緊急提言シンポジウム #ブロッキング0422
聴講時に入力したメモです。断片。配布資料等からのメモも引用符はありません。 聞き取り間違い等、あります。おかしな部分は記録者のせいです。
開催案内 https://peatix.com/event/374810 https://www.jilis.org/conference.html
〔5月2日追記〕上記サイトより議事録、資料の一部を閲覧できる。 日 時:2018年4月22日(日)13:00〜17:00 場 所:学術総合センター2F 一橋講堂 共催団体:一般財団法人 情報法制研究所(JILIS) 一般社団法人 インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA) (他共催団体調整中) 後援団体:一般社団法人 日本インターネットプロバイダ協会(JAIPA) 全国地域婦人団体連絡協議会 一般社団法人 インターネットユーザー協会(MIAU) 一般社団法人 モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA) 安心ネットづくり促進協議会 NPO法人日本独立作家同盟 情報処理学会インターネットと運用技術研究会 一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF) 事 務 局:一般財団法人情報法制研究所(JILIS) 総合司会:千葉大学 横田明美 准教授
ハッシュタグ #ブロッキング0422
開催挨拶(情報法制研究所 理事長 鈴木正朝)
4月11日にTFから緊急提言。総務省の従来見解と異にする、法に従わずブロッキングを行うという方向が見えて来たので緊急で提言した。知財の保護には異存はないが、従来の法制度の秩序を踏まえて検討すべき。 本日は多数のメディア関係者も参集され、できるだけオープンに意見を交わしていきたい。 プログラムにはないが、村井純先生から来賓あいさつをいただけることになった。
来賓あいさつ(慶応大学 村井純教授)
立場としてはインターネットを開発し、世界に広げてきた。大学においては出版の未来という授業を行っている。日本のコンテンツを世界でどうやって楽しんでもらえる環境を作るかがテーマ。 インターネットは種々の分野に広がってきた。今は全ての人のための環境になってきた。それを妨害するものも出てきている。今日のこともそのうちの1つだと思う。 サイトブロッキングときいたとき、「ありえない」と思った。歴史から見て、ブロッキングは容易ではなく、効果も定かではない。効果や意味について今回、説明があると思うが、有効性がないということは認識されていると思う。 知財に関するインターネット上の扱い、国毎のルールを飛び越えた解決方法は種々考えられる。IPと言ってもアドレスと考える人と、知財と考える人がいる。議論を尽くし、憲法をはじめとした法の立場、技術の立場双方から、たくさんのステークホルダーの知を集結し、インターネットの世界が動くことを希望する。
著作権侵害サイトの被害実態と対策の現状(山本一郎氏)
今回、「漫画村」の件が話題になるまで、海賊版サイトがどのような状況であったかを説明する。 被害発生額が論点になってきた。コンテンツ流通についての解析があることが望ましい。 重要とされているのはホスティング系である。(P2P系、ホスティング系、リーチサイト系に3大別される) 海賊版を何故利用するのか?若い世代が多い。無料だから利用するのだが、貼られている広告にはほとんど反応しない。 旧東欧諸国のシステムが多く利用されている。これまではスペインやセーシェル諸島などから配信されているが、今は前者からの防弾ホストとしての利用売り込みが来ている。 海賊版サイトの利用頻度では、日本は比較的少ない(12.4%) 「漫画」で日本の被害が大きいのは日本が「漫画大国だから」に他ならない。 海賊版サイトの売り上げは 広告掲載 月額課金 ユーザーデータ販売 被害額の算定にどういう根拠をもって行うか。 データーブローカーが海賊版サイトのユーザーデータを割る事例が起きている。 小遣いの少ない子供が使っている。 グレーゾーン対策のむつかしさ 正攻法(CODAなど)の対策 技術的に、海賊版サイトの運営者を突き止める 広告の販売ルートから入金先を割り出す いずれも法的実務と技術的バックグラウンドの連携が必要 市場とユーザの希望に合わせた対策が求められている。 海賊版サイトの収入は広告依存。このあたりを踏み込んでいって対処すれば、ビジネス的に成り立たないとなる。
JILIS緊急提言の解説(JILIS情報法制研究TF 曽我部真裕研究主幹)
一般財団法人情報法制研究所 情報通信法制研究タスクフォース 著作権侵害サイトのブロッキング要請に関する緊急提言(PDF) https://www.jilis.org/pub/20180411.pdf
児童ポルノのブロッキングから検討を行っている。今回の登壇者にも関係者がいる。 基本的なスタンスは冷静な議論。著作権の保護が要らないとか、大事ではないということではない。 ブロッキングが唯一最大の対策の柱という位置付けが本当に良いのか。 3つの問題点を指摘
緊急避難の充足性の要件 通信の秘密を侵害。ユーザーの閲覧先をチェックすることが必要な行為。法律(電気通信法)でも通信の秘密の侵害は犯罪であると規定されている。 許される場合もある。同意がある、正当防衛など。緊急避難が成立するなら違法性は阻却される。 守ろうとする利益が侵害される利益よりも大きいことが必要。児童ポルノについてはそれは成立した。
政府の恣意的な決定 政府が特定のサイトの内容を決めつけて措置を行なうというのは表現の自由の観点から問題があるのでは。 国民の権利を制限するには法律で定めるべきでは。今回は政府の判断でそれを求めている。法律に基づくべきところをショートカットしている。法治国家と言えるのか。 法律で定めるには国会で審議され、オープンに議論され、できた法律も裁判所の違憲立法審査権で制御される。 通信側の過度な負担 児童ポルノのときにもDNSブロッキングに抜け道が多いと指摘されている。 ブロッキングをやれば多少の効果はあるとの意見もあるが、プロバイダにとっては負担が多い。それを負わせるほどの重要性があるのか。情報流通を支える基盤を動かしているプロバイダに負担をかける弊害を甘受すべきなのか。
今回のような形でブロッキングが許容されれば、恣意的なブロッキングを阻止する術がなくなるのではないか。
著作権侵害サイト対策立法パネルディスカッション 司会進行:宍戸常寿氏 東京大学大学院法学政治学研究科教授 壇上パネル参加者: ・曽我部真裕氏 京都大学大学院法学研究科教授 ・森亮二氏 英知法律事務所 弁護士 ・上沼紫野氏 虎ノ門南法律事務所 弁護士 ・上原哲太郎氏 立命館大学情報理工学部教授 発表資料 「技術に詳しくない方でも分かる?! ブロッキングの技術的課題」 https://drive.google.com/file/d/10ywecMCZTbpe_UctFMqFjTPalyJ6Cvfs/view ・玉井克哉氏 東京大学先端科学技術研究センター教授 ・丸橋透氏 ICSA理事、明治大学法学部教授 ・立石聡明氏 日本インターネットプロバイダ協会 副会長・専務理事 ・野口尚志氏 日本インターネットプロバイダ協会 理事 ・楠正憲氏 国際大学GLOCOM客員研究員 ・壇俊光氏 北尻総合法律事務所 弁護士
〔4月25日追記〕 当日資料はこちらのページからダウンロード可能 壇弁護士の事務室 著作権侵害サイトのブロッキング要請に関する緊急提言シンポジウム http://danblog.cocolog-nifty.com/index/2018/04/post-c654.html ・石田慶樹氏 NGN IPoE協議会会長/日本DNSオペレーターズグループ代表幹事 ・村瀬 拓男氏 用賀法律事務所 弁護士
規格趣旨は現状、問題点、手法の実効性や問題点、他の対応策はないのかを議論する。 中村伊知哉氏よりビデオメッセージあり。 ※ 知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会 コンテンツ分野を取り扱う会合座長 政府がメッセージを出すことが大事だった。政府の姿勢を示すことが主目的。ISPも含む関係者と検討した。要請も命令もしないと政府は明言した。次のアクションは法運用と法制定に関するTF。当事者による協議体をどう設置するか。 (記録者コメント ソーシャルデバッグの塊かよ)
知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議 資料1-1 「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」(案)(概要) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/180413/siryou1.pdf 資料1-2 「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」(案) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/180413/siryou2.pdf
「法制度整備が行われるまでの緊急かつ臨時的な措置として、民間の取組みとして行われることが適当」
決定以前にしてきされた論点
ブロッキングは通信の秘密を侵害しない? →侵害するということは議論の前提になっている。
海賊版サイトのブロッキングが緊急避難に当たる? →要件を充足すれば。3サイトがそれを充足するかどうかは言及せず 緊急避難に当たるとは明言していない
緊急避難に当たらなくても、緊急対策としてISPに要請できる? →あくまで民間事業者による自主的な取り組み 忖度を求めていないか(コンプライアンス、訴訟リスク)
特定のサイトの遮断を求めることは検閲ではないか? →条件に合致するもののみ 歯止め無し。 政府の下で独立性のない協議体が基準を策定することは検閲に当たる恐れあり。
立石氏 児童ポルノサイトであってもブロッキングはどうかと思うが、法益の面からしかたがないかなと。 今回のものは寝耳に水。大手の通信業者には内々に相談があったかもしれないが、ほとんどの事業者は4月に入ってから知らされた。児童ポルノの時には多くの関係者が議論をした。与党議員ですら、電話するまで知らなかった。訴えられるのはISP事業者だけ。総務省はブロッキングを認めていない。児童ポルノの被害はお金では埋め合わせできない。運用は大変、丁寧に行っている。政府は法的リスクを負っていない。負うとすればどうやって負うのか。ブロッキング以外の方法はある。国際的な連携が必要。被害額算定に疑問あり。
丸橋氏 政府は漫画家とISP業界をきちんと繋ぐことすらできなかった。上からの拙速で稚拙な解決を押し付けた。 児童ポルノの場合はブラックリスト作成とメンテナンスをガイドラインに基づき行なっている。定期的に見直しもしている。専門家の意見も聞いている。第三者委員会を設置し検証をしてもらっている。PDCAを回す体制が必要
野口氏 賛否別れても仕方がない例ではある。「通信の秘密」があまり知られておらず、事業者の権利だと思われている。そもそも、国民の権利である。それを踏まえて賛否を考えて欲しい。 今回の声明は反応が大きかった。長い声明文を読んでの発言が多かった。事業者としては「通信の秘密」を守るということはとても大事。政府から法を侵せと言われたのがおかしい。
慶応義塾大学 亀井教授(刑事法) 政府が法解釈を示すということが刑事手続においてどういう意味を持つのか。裁判所を拘束するとはダイレクトに言えない。電気通信事業法違反により訴えられても、政府見解が正当化できるとは言えない。刑事手続きとしては意味がない。要請するから政府が責任を持つというならともかく、要請だから持たないとは。 補充性は現実的な選択肢の無さを要請する。ほかの選択肢があり得るのでは、補充性の要件を満たさないのではないか。種類の違う法益をどちらが重いかということを比較するのは難しい。著作権法違反の法定刑はそれなりに重いが法定刑だけで単純に比べられるか。財産権と憲法上に規定される通信の秘密を単純に比べるのは難しい。どこまで緊急避難でやっていいのかはっきりしないところがある。立法できるまでの緊急避難を安易に行っていいのか。
〔4月23日追記〕 2018年4月22日・ブロッキングシンポジウム・手持ちメモ(PDF) https://drive.google.com/file/d/17tTDsMO1StTQPTUvwW4RYmOWcDMId4LS/view
楠氏 ブロッキングについては担当外なので、なかなか政府の動きがつかめない。有識者として呼ばれるときに検討されるのは日本のコンテンツが海外事業者に経路を抑えられていること。今回はなぜそのあたりを検討しなかったのか。 「漫画村」、「Anitube」は日本から配信されている。日本で法的措置を取れるはず。非大手の権利者のための相談窓口のようなものを設置する等、取るべき措置はある。権利侵害の状態をどうやって回復していくかを検討するべき
村瀬弁護士 出版社側の団体の中で関わってきた。今回の緊急対策については出版広報センターとして、政府が重大な問題であると認識したことは歓迎する、法制度整備を希望するというスタンス。 削除要請は月に4万件くらい行っている。グーグルには多いところで出版社1つ当たり6万件。海外サーバーに対しても削除要請を出している。クラウドフレアなどにも削除、開示要請を行っている。米国で裁判できるはずという意見に対しては、ここまで被害が広がっているのにとの意見がある。海賊版サイトは数千。漫画だけでなく、グラフィック、学術書も。 出版界として情報共有が十分にできているとは言えない。コストが過大であれば、実際の対策として取ることは現実的ではない。
玉井先生 クリエイターが十分に報われなければクリエイティブな作品は出てこない。一方、市民社会の構成員は法で定められたルールにのっとったものであるべき。漫画喫茶問題の時は漫画家が熱心に活動していたが、今回はその姿が見えない。海外サーバーの問題は最近の事ではなく、音楽業界は10年ほど前にナップスターを裁判で下した。JASRACの年間収入の10%はYouTubeからのもの。音楽業界は自分たちで団体を作って問題を解決している。出版業界はそれをしないのか。被害が大きいのなら、コストをかけないのか。権利者がどこまで本気なのかが見えないうちに政治が動くのはあまり良くないことではないか。
檀弁護士 日本のデータセンターを使っているので、日本で訴訟ができるはず。業界の人たちはそれくらいは検討すべきだったのでは。
村瀬弁護士 検討はした。措置を行う前に自体が動いた。 檀弁護士 緊急避難の補充性が満たされなくなるが。
村瀬弁護士 緊急避難の法的構成をお願いしているわけではない。実効性がある程度、期待される方策であればお願いしたいということ。児童ポルノのときの民間対応を求めているわけではない。
檀弁護士 緊急避難が成立したのはピストルを突きつけられた時ぐらい。
立石氏 ブロッキングのコストをISPが負担するということは、ユーザーが負担するということ。権利侵害のうえ、コスト負担を押し付けられる。
丸橋氏 ブロッキングの有効性について、児童ポルノの場合、実際に効果があったのは児童ポルノのDVD販売サイトをブロックしたことで流通ルートに打撃を与えたこと。販売業者の宣伝が停まった。今回の知財についても資金源を断つのが効果的。
石田氏 ネットワークを運用している人の立場で言うと、DNSブロッキングはオーバーブロッキングやブロッキング漏れが発生する。リストの正確性が精度を担保する。表示やカスタマーサポートも必要。海賊版サイトに繋ぎたい人たちを止めるにはうまく動くか疑問。 ブロッキングの抜け穴 パブリックDNSをグローバルプラットフォーマーが提供している 抜け穴をふさぐための手法がなくはないが、致命的。 すり抜ける技術が提供されている。提供者はグローバルプラットフォーマー。コミュニケーションチャネルを作る必要がある。 DNSを自分たちで運用せずに肩代わりを提案しているのもグローバルプラットフォーマー。
上原教授 ブロッキングの前提となる技術 HTTP。ホスト名で止めるかファイル名で止めるかの問題。ホスト名で止めるのがサイトブロッキング。
森弁護士 立法に向けた議論が前面に出て、着地点のようになっている。立法すれば正当行為として犯罪ではなくなるのではないかとあるが、法益権衡論が同じ形で問題となる。国民の権利を広く侵害して、一部の著作権者を守るのがいいのか、公的に被害を補てんするのでもいいのではないのかとの声もある。 インターネット上には権利侵害事例が数多ある。名誉毀損やプライバシー侵害も数多いが、ここではブロッキング問題は出てきていない。侵害が存在するのに、一部の侵害のみを立法で守るのか。
上原教授 HTTPコマンドは複数パケットに分割されている。これを見るにはDPI機器が必要。HTTPSなら中身が暗号化されて、さらに難しい。ISPの一番の仕事はルーティング。バラバラになっている DNSサーバーは現在、各プロバイダが持っている。自分が持っているものについては制御できなくはない。 IPアドレスとWebサーバホスト名は1対1対応ではない。 比較的運用コストの低いはずのIPアドレス/ホスト名ブロッキングも実運用は簡単ではない。 運営者はホスト名をころころ買えたら逃げられる。利用者はパブリックDNSの利用で逃げられる
曽我部教授 憲法の観点からすると、一つのポイントはブロッキングの義務付け。論点としては、検閲該当性の問題、もう一つは義務付けるとすると、補償の問題が発生する。義務付けをしない場合、ショートカットの問題。 ブロッキングは既に存在しているサイトを事後的に行われる。民間が政府の委託を受けて行う場合、憲法問題が再燃する。
丸橋教授 リスト作成に相当なお金がかかっている。年間2千数百万円。
野口氏 プロバイダとして求められているのは「自主的な」対応。プロバイダがすべてのユーザー対象とするのは権力の濫用では。児童ポルノの時は、被害者が声を上げるのが困難だった。声の高い被害者には対応するのか。技術的に全ての中間者が信じられないという状態になる。ネットワーク側が対応すべきなのか。
檀弁護士 通信の秘密は刑事法制で扱っている。民間が自主的に対応するような法文を作るのは難しい。裁判所が判決した場合、止めることができるか。訴訟には相手の名前が必要。相手側が匿名でも訴えられるような方法等が必要では。
上沼弁護士 英国での訴訟はプロバイダ側の負担(ブロッキングするための費用)について不服あり。最高裁判決が間もなく出る。
石田氏 運用にかかわる費用は地味にダメージ。固定系のISPはそれをやっても売り上げが増えるわけではない。会社としての判断を問われかねない。
楠氏 一桁億では済まない費用が掛かっている。繋いでいるホストが信用できるか分からなくなるというコストも。 やっていることがマルウェアと変わらない、それによってユーザーを危険に晒しているという認識が必要。
立石氏 インターネット全体の信用を損ないかねない。
宍戸教授 政治的決断には正しい情報が不可欠。権利のバランスを考慮する必要あり。
石田氏 DNSSecあるからブロッキングができないわけではない。真正性を検証する部分なので、そこが毀損するとリライアビリティを傷つけることになる。
玉井教授 知財侵害行為の一部分で行われている場合、日本の知財法で犯罪になるのか。海外のサーバーから送信され、利用者が日本にいる場合に、日本法の侵害になるのか。日本国内のみでやっている事業者と海外事業者がアンバランスになる。日本法が適用できるか(準拠法選択)、裁判管轄がどうかについては日本でできるはずの事案と考えられる。被告特定の課題はあるが。解釈よりは法で明文化する方が良い。広告を出しているのが権利侵害の幇助行為であるとするのは法改正が必要かもしれない。刑事法ならば被疑者不明でもできる。知財侵害の一部が国外で行われていることが問題なのは先進国共通。協力はできるのでは。フランクフルト地裁で米国事業者に対し、ドイツへの配信を止めろとする訴訟あり。相手は逃げ隠れするようなものではなかったので、そういう相手にはブロッキングは有効かもしれない。
檀弁護士 漫画村が日本の著作権違反かどうか。海外法人がダミーであれば、何を言っても日本法の対象。 板倉小倉AV訴訟(俗名よ) リンクによる権利侵害は間接関与(大阪地裁) カラオケ法理 相手を日本に持ってくれば勝てる。 刑事事件は国内犯の解釈が広がっている。 広告事業者に対する請求 詐欺商法 限定されている ユーザに対する責任 アップロードを助長している DLを行っている 受動的DLは?
森弁護士 最高裁判決 (忘れられる権利判決) 検索結果に権利侵害情報を掲載することは法的な責任を問われることがある。
上沼弁護士 フィルタリング導入を再度検討してほしい。フィルタリングであれば法的問題はクリアしやすい。DNSブロッキングと比べ、実効性はトントン。フィルタリングは同意の下であるので、通信の秘密の問題をクリヤしやすく、端末側であるので、通信に手を付けなくて済む。 スマホになってからフィルタリングの利用率が落ちており、6割程度。スマホでフィルタリングをしないと公園デビュー前に世界デビューになってしまう。 無料サイトのいかがわしさを感じる感覚を養ってほしい。ブロッキングの流れが加速したのは低年齢層の利用が急増したから。そのうちのかなりの部分をフィルタリングで押さえられる。なお、問題の3サイトは既にフィルタリングの対象になっている。
上原教授 フィルタリングを外してほしいと子供が言うのは着メロ無料DLが使えないという理由が多かった。無料サイト利用がフィルタリングを外すモチベーションになってしまう。
曽我部教授 フィルタリングは事実上、選択制になっている。保護者、青少年に対する啓発が重要。 フィルタリングの設定はそれなりに手順があって難しい。人気のメッセージアプリが使えないなどの理由に保護者が毅然と対応しづらい。
野口氏 資金源対策については、資金の流れから操作できないのだろうか。
楠氏 それなりに大きい規模のサイトであれば、テロ対策の本人確認義務があるが、広告の出面の担当者を特定できるか。アドネットワーク事業者は通信事業者に相当するのか。相当するならプロ責使えないか。
檀弁護士 幇助が罪になれば発信者情報開示請求もできるか。
村瀬弁護士 最近の削除成功率は低くなっている。ドメイン差し押さえはやっていないが、ドメイン閉鎖要請はしている。漫画村は1年間に2回、閉鎖要請している。広告代理店には協力を要請しており、国内広告業者はある程度、協力的だが、国外業者には効果がない。被告の名前が分からないと裁判を起こせない、送達条約が結ばれていないと、裁判を起こすまでに時間がかかる。削除請求を送っても7か月はかかる。 サイトの違法性については慎重に検討する。著作権侵害はちょっと見、分からない。それをどう判定するか。 正規コンテンツについては識別のためのマークを作る検討をしている。業界としてホワイトリストを作るのが責務。法改正も重要だし、送達条約の改善も望まれる。フィルタリングにホワイトリストを提供できるような仕組みを考えていきたい。法律論、制度論で抽象論は避けて通れないが、知財権利侵害が重要であるという合意があるのなら、回避、乗り越える努力を行っていきたい。
森弁護士 抽象的な議論は避けがたいものではないか。立法化の是非すら疑問がある。国民的な合意がなければ進められない。
立石氏 立法化に際しては義務付けされるかどうかが大きい。700社一律にできるかどうか。ブロック対象が少ないとあっという間にできてしまうが、蟻の一穴になる。
野口氏 ブロッキングという重い問題で議論を避けたのが、今回の問題。権利侵害には泣き寝入りをしないのが大事。名誉毀損やプライバシー侵害などに対して戦う手助けを政府がすべき。 ブロッキング対象サイトを加えてくれという声までISPに来ている。議論をするプロセスを。
立石氏 マルチステークホルダー、知財権者だけではなく、通信業者、消費者も巻き込む。サイトブロッキングに賛成する人が多いのは通信の秘密が自分に関係ないと考えているから。ユーザーを巻き込む必要がある。
森弁護士 児童ポルノの時はあんしんネットワークづくり促進協議会は基本的には民間。役所の報告書はない。総務省の有識者会議で検討して緊急避難について決めた。
上原教授 大学1年生でも8割5分くらいがブロッキングOKとなってしまう。自分の「通信の秘密」に関係しているとは考えず、できることはやっていいとしか考えない。あんまり知恵を絞らないうちに結果を出そうとし過ぎ。
楠氏 イチヤ氏曰く、3年近く検討してきたそうだが、ここで議論された論点のどれくらいをカバーしているのか。マルチステークホルダーであること、最新の状況を踏まえ、効果的な方法は何かを考えるべき。今、違法でないから、分からないからやっていいという考え方ではなく、自分がこれをやったらどのような影響が出るかを若い人に考えて欲しい。
曽我部教授 背景にあるのは司法制度の限界ではないか。相手方の特定、送達の時間など。インターネット社会に司法制度は対応しているのか。
質疑応答
青山学院大学 内山教授 プレーヤーがどうやって誘因をもって行動するか。権利者はもろ手を挙げて歓迎したが、役所は違う。総務省は何年やれば解決するのか、知財本部も首を傾げている。行政サイドはむしろ後ろ向き。重さは理解している。 それを覆すくらいの権利者の声があったとも考えられる。スピードの問題もある。どうしても正規サイトを立ち上げるには時間がかかる。100の内、70を持っていかれる状態で手を尽くしてきたが、残る手段がサイトブロッキングだったのではないかと。違法流通に対して対策をしてほしいというのが権利者の最大の声。 司法だけの問題ではなく、技術だけの問題でもない。 資金流通に手を打ってほしいというのが経済的な観点。広告主がネット広告がどこに出ているのか把握していないことが多い。回数やアクセスには敏感かもしれないが、どこに出ているのかも意識喚起を。
中央大学 実積教授 この議論は日本だけのものか。海外に先例があるのでは。ネットワーク中立性の議論が海外ではある。止めることはやりにくい。いきなりブロッキングではなく、何が違法かをはっきりさせるべき。 投資適格の問題もある。日本のコンテンツ資源を他国に持っていかれるよりも、早く方をつけて。
(会場) 通信の秘密と著作権の利益衡量は抽象的に比べるのか、具体的に見るものか。
(会場) 村瀬弁護士への質問。DMCを利用して発信者特定をしようとしたことはあるか。
(会場) 緊急避難の論拠は示されていないという理解でよいか。技術としての難点は児童ポルノについても同じか。
石田氏 この状況下でブロッキングを決定した事業者に対し、違法性の指摘をしていいのか。実務者が違法性を認識して何らかのアクションを取れるか。
村瀬弁護士 実際にやったかどうかは情報がない。
森先生 比較衡量だが、種々の要素が考慮されると考える。長時間の閲覧による経済的損失も侵害されたユーザー数も考慮されるだろうが、財産権と基本的人権ということが大きい。
曽我部先生 裁判所でどのような判断がされるかは分からない。
閉会挨拶(丸橋 透氏 ICSA理事)
児童ポルノの時は多くの議論を行った。今回の問題についても多く議論すべきという認識を共有できたと考える。議論を深めるというプロセスを重要と考えるのが大事。フォーラムの在り方自体も議論して決めるべき。
提言等(順不同)
コンテンツ文化研究会 海賊版サイトの遮断要請についての声明 http://icc-japan.blogspot.jp/2018/04/blog-post.html
一般社団法人 日本インターネットプロバイダー協会 海賊版サイトへの対策として政府がブロッキング(接続遮断)を要請することについて(PDF) https://www.jaipa.or.jp/information/docs/180412-1.pdf
一般社団法人インターネットユーザー協会 主婦連合会 政府による海賊版サイトへのブロッキング要請に反対する緊急声明 https://miau.jp/ja/845
政府によるサイトブロッキング要請報道への当センターの見解 - JPNIC https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2018/20180412-01.html
著作権侵害サイトに対するブロッキングについて 2018年4月12日 Internet Society 日本支部 https://www.isoc.jp/wiki.cgi?page=20180412_Blocking_Statement
全国地域婦人団体連絡協議会(地婦連) ブロッキング要請に関する意見書(PDF) http://www.chifuren.gr.jp/180412opinion13th.pdf
公社法人全国消費生活相談員協会 著作権侵害サイト対策としてのブロッキング要請に関する意見書(PDF) http://www.zenso.or.jp/wp-content/uploads/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E4%BE%B5%E5%AE%B3%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E8%A6%81%E8%AB%8B%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%84%8F%E8%A6%8B%E6%9B%B8.pdf
一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構 インターネット上の漫画海賊版サイトのブロッキング要請に対するEMA の意見(PDF) http://www.ema.or.jp/press/2018/0411_01.pdf
一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会 著作権侵害サイトへの対策として立法プロセスを経ずブロッキング施策を要請することについて http://www.netsafety.or.jp/news/info/info-026.html
一般財団法人情報法制研究所 情報通信法制研究タスクフォース 著作権侵害サイトのブロッキング要請に関する緊急提言(PDF) https://www.jilis.org/pub/20180411.pdf
NGN IPoE協議会 海賊版サイトのブロッキングに関する声明(PDF) https://ipoe-c.jp/__assets__/pdf/blocking.pdf
WIDE Project 漫画・アニメの海賊版サイトに関するWIDEプロジェクトの意見
http://www.wide.ad.jp/News/2018/20180411.html
〔4月25日追記〕 主婦連合会 全国地域婦人団体連絡協議会 NTTグループ「インターネット上の海賊版サイトに対するブロッキングの実施について」に対する意見書(PDF) http://www.chifuren.gr.jp/180425opinion.pdf























