酷暑の日々に思う ドイツ人がエアコン不支持な理由
前回の投稿で、「猛暑」と書いたのは間違い。35℃以上の「酷暑」でした。およそ1週間の熱波では、ドルトムントの気温はジリジリと上がって、後半の2日間は紛れもない酷暑。39℃とはいえ少しでも日向に出ると、ガーデン小屋に設置された温度計が示すとおり46℃。室内温度は30℃に達し(何度も書きますがドイツには基本的に冷房はありません)、寝苦しいどころでは済まず、ブルーの特大保冷剤を抱えて寝ました…。
冷房設備なしの日本の夏を想像できないわたしは、断然冷房支持派。けれどそれは、冷房普及率6%と明らかなように、ドイツにあっては極めて劣勢意見なのです。冷房不要論のトップ3は、わたしの感覚として①電気料金がかさむ、②地球環境に悪い、③無駄な投資である――といったところです。ドイツ人がそう考える理由は、わたしにも良く分かります。特に②は、室外機から吹き出される熱風を知っている分、否定できません。
住まいの様式をとっても、日本とは事情が異なります。例えば、我が家は分厚い石造りの壁のアルトバウ(※)集合住宅、地上4階部分。室温上昇は、前述のとおりどうにか30℃で止まりました。同じくアルトバウ住宅(戸建て)の友人宅は、我が家よりも室温が更に2〜3℃低いと話していましたし、アルトバウをリノベーションした知人宅(戸建て)での地下階は、なんと我が家マイナス7℃という耐熱効果! 素晴らしい避難場所です。
※アルトバウ(旧式建築)は、その状態や特定の時代に一般的だった工法から、主に住宅建築物として定義されます。これは基本的に、第二次世界大戦までの住宅建築物で一般的だった工法を指し、通常は石積みの壁、木製の梁天井、箱型の窓が用いられていました。その意味では、コンクリートの壁や天井、複合ガラスや断熱ガラスの窓の建設が始まった時期は、一般的に古い建物の時代の終わりを告げるものであり、ドイツでは通常1949年とされています。〜Wikipediaより
一方でコンクリートが多用された近代的な集合住宅では、今回の熱波襲来中「35℃の室内で家族全員ぐったり、救急搬送」というようなニュースも見かけました。ドイツ国内にアルトバウをリノベーションした住まいや施設は少なくないものの、気候変動の危険度を鑑みるに、特に賃貸住宅や病院・高齢者施設では冷房設備を設置する基準がこれからはあっても良いのではと思います。この熱波中、近所の老人ホーム前には毎日、一日にいちどならず救急車が来ていましたから…。
とはいえ、冷房を稼働させなければならないような暑い日々が年に何日あるかというと、合わせても1カ月ないのでは… というのが正直なところ。扇風機でさえも、2025年の夏を振り返るに2〜3度回したくらい(さすがに今回の熱波では、就寝時を含め初めての連日回しっぱなしを経験しています)。つまり冷房は、設備の使用頻度から考えれば投資対象となり難いと言えます。そういえば、扇風機を購入すると決めた時に、夫と議論し必要性を説いたことを思い出しました。
尚、暖房については、セントラルヒーティングの稼働期間が一般的に10〜3月と圧倒的に長期間。ドイツでの住まいづくりの焦点は、伝統的に暑さよりも、寒さに対する課題解消にあるのです。
さらに、こういった事情で市場が成熟していないこと自体が、冷房設備普及のボトルネックといえるでしょう。近代住宅や個人宅の屋根裏階などで、冷房設備を見かけるようになったのはここ最近。冷房設備を取り付けたいと思っても、メーカーや業者が限られ、容易には運びません。試しに、「Klimaanlage(エアコン)」のキーワードでぞろぞろと出てきたホームセンター購入→自力で設置型の検索結果を除き、初めに出てきたメーカー「三菱電機」を見てみると、ドルトムント市内の取扱業者はひとつ。個人として業者の確保ができるとは到底思えません。
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力強い日光に焦がれ、暑さを「楽しむ」文化がありこそすれ、恐れることを知らぬ人々。日本で育った身としては、この暑さがただ事では済まないと理解しているので、もどかしい想いです。あと30〜40年後のドイツの都市の夏は、老齢のわたしに耐えうるものなのでしょうか? 冷房に代わる、熱波をやり過ごす住まいや環境の工夫・テクノロジーが生まれているでしょうか?
室温にあえいで窓を開けると、夕暮れ時の空には、夕日を受けた巨大な入道雲と、元気に舞うツバメの群れが見えました。暑いけれど、とても美しい景色です。















