東南アジアではバナナの葉で包んでテンペを作るという。
バナナの葉やハイビスカスの葉に着くクモノスカビでテンペを作るとあったので天然菌好き・自称食のルーツ探検家の私としては猛暑の時期にトライしなければとおかしな使命感に駆られ、いそいそと大豆の皮を高速で剥くのでした。(笑)
通常テンペを作る時は浸漬中も煮る時も酢水を使いますが、それはテンペ菌以外に忍び寄る雑菌繁殖を抑えるためです。
こんな時、ちょっとなんだかこのボトルは美味しくないかも。なんて思う柿酢を消費するのに持ってこいなのですよ。
バナナの葉だけでは心許なく、かと言って岩手にハイビスカスは園芸店に行かない限りお目見えしません。
餅麹を作る際にシダの葉を使うことを聞いたのでシダの葉を挟み込み実験を開始しました。
餅麹と言われてもピンと来ない方の為に簡単にご説明致しますと、日本のコウジは糀と書かれるように蒸した米粒に黄麹菌(アスペルギルス・オリゼー)をつけて作りますが、東アジア・東南アジア諸国は生の麦や米、高粱などの穀類を粉砕しブロックや玉状に固めたものに、クモノスカビや毛カビを育て作ります。
お隣韓国のマッコリを例にしますと、ヌルッとかヌルックと呼ばれる大麦で作った餅麹を使います。麹を作る時は板状でも完成後は乾燥させ粗く砕いて売られていますが、これを蒸した餅米と水に混ぜて置けば麹の酵素がデンプンを糖化してお酒になるわけです。(めちゃくちゃ端折ったっ)
数年前にテンペ菌をライ麦全粒粉と米粉に付けて実験したことがありますが、糖化力はかな〜り乏しいけれどそれらしきものが出来上がりました。(写真は米粉団子に生えたクモノスカビ)
蒸した大豆にシダを乗せバナナの皮に包んだものには確かにクモノスカビっぽいものが生えました!が、私の野生の感が「食べるな危険」と申しましたので、庭に設置した微生物群の住処へ仲間入りをしてもらうことに致しました。
失敗に終わった野生のクモノスカビでテンペが作れるか実験でしたが、これが学びにつがるパスポートです。
アジアの発酵に詳しい方々にお聞きしたところ、バナナの葉はクモノスカビがついているのではなく、包材としての役割であることと、テンペに使うクモノスカビは、ハイビスカスの葉ではなく、アオイ科のオオハマボウという葉でテンペ菌のクモノスカビを培養していたことがわかりました。https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%83%9C%E3%82%A6
そしてインドネシア諸国でも今では日本同様皆、培養されたテンペ菌を使っているそうです。
ジャワ島でテンペ菌を培養している貴重な写真です。(草場様より許可を得て拝借致しました。)
これは黒麹を連想させるものになった感じです。クエン酸をほのかに感じさせる酸味と薄らとグレーの胞子が出没。
(追記 黒麹を作ってみたところ、見た目も酸味もこんなものではなかったので、この酸味は雑菌だったのかもと思うに至っています。
いずれ検体に掛けないと確かなことは分かりかねますゆえ、言及には気をつけなければと思っております。2021.3.7)
黒麹は焼酎や泡盛を作る時に使用する麹(アスペルギルス・リュウチュエンシス)。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/amp/229854
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/amp/229854
これも後で聞いたことですが、東南アジア諸国では大豆以外のテンペ材料としてよく知られるひよこ豆の他、餅米や小豆などのデンプン質の多い穀類でもテンペを作るそうです。
お米にカビを付ける=ばら麹の頭になっていた私。そのまま食品として美味しく食べる発想。それがテンペなんだと気づく良い学びとなりました。
今回、様々な学びをいただいたFacebookグループ「アジアの発酵食」の代表大西さんをはじめ、情報提供を下さったメンバーの皆様に心から感謝申し上げます。
こうして岩手の短い夏は終わりを遂げるのでした。いや〜暑かった!亜熱帯性気候さながらでした。
テンペばら麹でダメ元甘酒実験をしていたことを忘れておりました。
期待していた酸味は殆どなく、甘さ控えめながらもデンプン分解をしてました。