コークは想像以上に港町だった。ダブリンは市街地中心部にリフィー川という大きな川があり、そこを境に南と北に分かれているが、コークもシティーセンターに大きな川があった。
ダブリンから4時間ほどバスに揺られて到着。エアビに行って荷物を置きに行ったけど鍵が開けれず大苦戦し、なぜ開いたかわからないけどとりあえず開けれたので荷物を置いて再び街に出た。ヨーロッパの鍵は個人的に結構死活問題で、アイルランドに来てすぐの時もかなり苦戦したし旅先でなかなか開けられないというのもよく起こる。キッチンで居合わせた住人らしき方に開け方と閉め方をレクチャーしてもらった。
それから再びバスに乗ってキンセールという街へ。こじんまりした街だけどとにかく建物がカラフルでかわいかった。
歩いて40分かけてチャールズフォートという遺跡にいく。コークまじで暑くて日差し強くてそれなのに海沿いの暴風で日傘が壊れ、さらに徒歩40分くらい余裕だと思ってたのにまさかのひどい坂道でほとんど後悔しながら向かってた。が、ひどい坂道のおかげで道中からありえない素晴らしい景色を見れた。チャールズフォートはこれぞアイルランドの遺跡って感じでバンコクのアユタヤやローマのコロッセオを思い出させた。コーク向いながら思ったけど新しく出会う景色に対してつい〇〇みたいって過去に見た景色を重ねて捉えてしまう。コークに向かう道中はいわゆる郊外の国道って感じで、地元や横浜郊外の道を思い出していた。
キンセールからコークに戻り、フィッシュ&チップスが食べたかったのでどこかのパブにでも行こうと思ったけどどこもあんまりにも高いのでやめた。ダンズストアというアイルランドのローカルスーパーで割引になったハッシュポテトとチキン、BREWDOGというクラフトビール缶を買ってエアビに帰宅。キッチンで鉢合わせた人に「きみ2週間前にもいたよね?」と話しかけられ若干ビビる。おそらく他のアジアの子だと思うよと言いながらついでに少し話した。
彼はセネガル出身でフランス語を話すがイタリアで育ったらしい。どこから来たの?と聞くとベネチアだというのでおったまげた。あそこに本当に人って住んでるんだ、と思った。あんなに美しい街にいたのにコークが好きになって住むことを決めたらしい。ジャポネはよく教育されてて賢いだろうになんでわざわざここまで?と聞かれた。彼の中で日本人は真面目で賢くて働き屋でポライトらしく、今まで会ってきた人たちはみんないい人だった、いつか行きたい、と言ってくれた。みんなこうして知らない人と何気ない会話をするのをためらうけど、人はいつか死ぬんだからせっかくの機会を楽しくしないと勿体無い、とも話していた。典型的な旅先で出会う会話、と描写するとあまりにも一人旅をメタ認知しているようで自分の小賢しさに嫌気がさすが、それでも久々に旅先を感じる会話を見知らぬ誰かと紡げたことは嬉しかった。
私はもうスレまくった大人なので、彼の言葉を聞いて「そうだ!人間はいつか死ぬからやりたいことしなきゃ!」と感銘を受けまくって明日にでもフライトとってどこか行きます、みたいな勢いはないのだけれど、確かにそうだよな、と思った。それはもしかしたら私が、彼と同じような気持ちで今を実際に生きているからかもしれない。ハッとするのも行動を起こそうとするのも、それは自分が意識していなかったことや気づいていたけど目を背けていたことに改めて気付かされるからであり、私はむしろ彼の言葉通りに今を生きている状態だからこそ、彼との会話を静かに共感しながら享受していた。結局彼とはその後顔を合わせることなく、エアビを後にした。いろんな人生がある、と思う。もう2度と会えない人と紡ぐ会話があることに、そうして国や言語を超えて話ができることに、ちょっと泣きそうになる。