同性婚を待たないまま、彼は亡くなった。 残されたのは、ひとりと、一匹。
朝の散歩も、呼べば飛んでくる名前も、 二人と一匹の、10年だった。
四十九日も待たずに、親族が来た。 「犬も、相続の対象ですから」 犬は首輪ごと、連れて行かれた。
法律で、犬は「物」で、物は相続人のもの。 10年隣にいた人は、相続人ではない。
知らない家で、玄関の音に耳を立てる。 待っている足音は、二つとも、もう来ない。
あなたの家の子も、法律では「物」だ。 コメント欄に、その子の名前を。昔の子でも。 足音の消えない国になるように。














