真夏のピークが去った
「真夏のピークが去った」
仕事が終わって、車のラジオをつけた途端、流れた。 フジファブリック、若者のすべて。
鳥肌を立たせながら、窓を全開にして、大声で歌いながら帰った。 五時を少し過ぎた光が斜めに差す町に、下手くそな歌を響かせる。
最近は、夏の終わりに身を任せている。 本当に、この曲のままの毎日のよう。
「世界の約束を知って、それなりになって、また戻って」
まったく、ずっとそんなことを繰り返している。
また夢を描き始めてしまったから、世間から見たらそれなりになれた今の自分を投げ出して、再び夢想家へ戻ってゆく。
仕方ない。 それが心地いいのだから。
「同じ空を見上げているよ」
今年最後の花火は、もう終わってしまった。 好きな人の隣で、上ばかり見る夜は贅沢だ。
いつか一緒に見た人は、別の誰かと見上げているだろう。 あの頃の幸せは戻らないけれど、どこかでまた幸せに生きていてくれたらいい。
あの火薬は、人を殺して、人を存分に打ちのめすこともできる。 でも、こうして平和に、信じられないほどの幸福をもたらしてくれる。
すべてのことが、みんなの幸せになれたらいいのに。
なんだか近頃は、ソラニンみたいな毎日だ。 浅野いにおの世界で、いつも生きてきたような気がしていたけれど、これは本当にソラニンだ。
なんでもない、ありふれた、当たり前のような、恋人がいて、なんとなく過ごして、体温を感じて、みんなでぼんやり音楽をして、くだらないことで騒いで、すごく普通のことが、すごく幸せなような、でも、本当にそれでいいのか、わからないような。
若者のすべても、ソラニンも、出会ったのは中学生のときだから、もう10年くらい前のこと。 そんなに長い時間が経ったって、さっぱり自分っていう人間が変化していないようで、ちょっと笑える。
あのときの彼とは、10年後の約束をしたけど、きっともう忘れてしまっただろう。 たまに思い出して、くすっと笑って、青春だとは知らずに恋した日々を懐かしむ。 もう終わってしまったことだから、二度と戻れない日々だから、こんなに愛しい。
もうすぐ彼に会えるのに、今すぐ会いたくなってしまった。 夏の終わりはいつだって、大切なものを抱きしめていたい。
















