シンプルで伝わる文章を書くために。[結城浩:数学文章作法 基礎編(ちくま学芸文庫)を読んで]
● 結城浩先生の『数学文章作法』サイン本をいただきました
@hyuki メルマガプレゼントの数学文章作法届きました!無理言って為書きもありがとうございました^ ^ 手書きの分身?ユーレイ?に萌えました^_^ これからじっくり拝読させていただきます。 pic.twitter.com/Ub8H18CyXK
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 3月 26
数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)
結城 浩 筑摩書房 2013-04-11
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結城浩先生のメルマガ の100号記念プレゼントに当選し、『数学文章作法 基礎編』をサイン付きでいただきました。実は初めて読む著書です(なにせ数学とは縁の無い生活を送ってきたもので。。。。(^_^;)) 結果的にはたくさんの学びを得た大事な本になったので、御礼かつ御報告として感想記事をUPします。 (読書中にたくさんツイートしたので,それを織り交ぜながらの報告です。)
結城先生の数学文章作法読み始める。とにかく読みやすい文章。その秘訣は、一文に一つの明確な言いたいことが必ずあり、それ以上に書かないことだと思った。ら、2章に「一つの文に一つの主張」と出てきて我が意を得たり^ ^
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 3月 26
メルマガ告知文 やメルマガを読んでいて、結城先生の文章(とイラスト)は大変読みやすいなー。自分が読んできた著者のなかでもダントツだなあ(その極意を学びたいものだ)、とつねづね思っていました。その極意は上記のツイートに書いた,一文一主題にあるのではないか、と本を読んだ序盤で気づきました。
以下に、「これぞ、結城作法にのっとた文章」だなーと感心した部位(p22)を引用します。 (後ろの[ ]は,それぞれの文の役割を私が付け足しました。)
読者が「なるほど!」と感じるような文章を書くことは大切です。[主題] そもそも、あなたが文章を書くのは読者に対してあなたの考えを伝えたいからですね。[問いかけ、確認] 言い換えればあなたは自分の考えを「伝えるに値するものだ」と思っているわけです。[言い換え] おそらくあなたの考えの中には,あなた自身が「なるほど」と感じたものが含まれているのでしょう。[さらに言い換え] ならば、あなたが感じた「なるほど」を適切な形で読者に伝えるべきです。[提案:答え] そのためには、読者が意欲的に文章を読み続ける配慮が必要です。[さらに発展した提案。答えの言い換え] 適切な順序で提示されれば「なるほど!」を生み出す情報であっても,順序が良くなければよく理解されないままに終わってしまいます.[ダメな例の呈示] 読者に理解をしてもらうには、著者からの「問いかけ」が有用な場合があります。[”適切な形”の例の呈示] 第6章「問いと答え」ではその話題に触れます。[対応する例の存在*]
*【第5章:5.3 説明と例の対応】 『具体的な例は次の説で示します。』のように前もって書いておくと良いでしょう。そうすれば読者は『後で例が出てくるならがんばって読もう』と意欲を出してくれるからです。(p128)。
引用した文章は、まさに「一つの文に一つの主張」の集合体から成り立っています。 それに加えて、流れ、言い換え、対話、例示、道しるべなど、本書で書かれている多くの技法を実践して書かれているのがよくわかると思います。 間の四つの文では文頭に、そもそも、言い換えれば、おそらく、ならば、そのためには、という、“文章がこれから語る内容を示唆する道すじを示す接続詞” が適切に配置されています。
ほかにも、平仮名を多くする。丁寧かつ親しみやすい文体(「○○ですね」、という呼びかけ)等々、「すんなり理解できるシンプルな文章」にするための工夫がたくさん活用されています。
こうした「すんなり理解できるシンプルな文章」を書くことは、全くもって「すんなりシンプルな作業」ではないことを私達は知っています。ですので「シンプルな文章」の後ろにある、磨きの段階で削られた言葉たちの存在を感じ、なおさら生き残った文章が輝くのだと思います。 ▼
「頭の中だけで考えているのと、実際に書いてみるのとではずいぶん違うものです。多くの場合、全体をあらあら書いてから時間を掛けて整える方がうまくいくでしょう。それは近似値の精度を次第に上げていくのに似ています(結城浩:数学文章作法p73)」
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 3月 26
【第3章 順序と階層:3.4表現の工夫】 *それにしてもこの”近似値の精度”、という表現はめちゃめちゃカッコいいですね!
第1章 読者 第2章 基本 第3章 順序と階層 第4章 数式と命題 第5章 例 第6章 問いと答え 第7章 目次と索引 第8章 たったひとつの伝えたいこと
本を読む前は,「後半は数学的な専門の話なんだろうな、4章からあとは理解できなくてもしょうがないや」と思っていました。 が、後半になればなるほど新しい発見がありました。
『数学文章作法 基礎編』を読み始めたとき、数学文章に限定しないでもいいのに、と感じた。でも、数式と命題の書き方、例の作り方や問いの立て方の箇所(4〜6章)を読んで、数学文章という特殊な文章を掘り下げることで文章一般に通じる秘訣を伝授するのがこの本のすごさだということがわかった。
— 彩郎 (@irodraw) April 5, 2014
私が特に印象に残ったのは、 【第4章 数式と命題】4.3 読者に手がかりを与える(メタ情報)です。 “数式と命題”、というタイトルから、どうも自分とは違う専門性(苦手意識)を呼び起こしてしまったのですか、実際に書かれている内容は ・メタ情報(情報の為の情報)の意義と上手な使い方 ・接続詞は道案内 と、すべての分野に応用できるものです。 そして専門性のある文章を読みやすくする究極のコツ ・文章中の数字(専門用語)を「ほげほげ」と置き換えても構造が通るか確認する, に、笑っちゃうとともに、「たしかにその通りだよなぁ」、と感心しました。 ですから、この章は数学関係者以外の一般向けには “数式と命題”を、”説明文と専門用語”と置き換えて読むべきかもしれません) (そして今回の著作の数式の例題はすべての脳内で「ほげほげ」に置き換えて読み終えたことをここに告白しておきます、、、^^;)
「慣習はあくまでも読者の負担を減らすためのヒントにすぎません。文字が何を表しているかは明示的に表現しましょう」(結城浩:数学文章作法 4.3読者に手がかりを与える(メタ情報)p104)
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 3月 28
*ここでいう”慣習とは” 「a,b,cは定数、x,y,zは未知数をあらわす」、といったような想定される読者が共通認識として機知であろいうという表現を指します。
「文章中に「たとえば」と書かれていれば、読者は「この次には具体例が書かれたいるのだな」と思います。「以上のことから」と書かれていれば、読者は「この次には結論が書かれているのだな」と思います。つまり読者は、接続詞の後に書かれている文を読む以前に、心の準備ができるのです(結城浩)」
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 3月 28
『接続詞は道案内』より。この文章はこう続きます(p107)。 「逆に、著者が接続詞の使い方を誤ると読者はすぐ道に迷ってしまいますので注意が必要です。」
では、書かれている単語の取り扱い、文の構造、文章のつながり、(これも小単位から大単位への順列の法則にのっとっていますね)についての解説です。 これは、基本中の基本で、参考文献にもでてくる木下是雄先生の『理科系の作文技術』や,その他の多くの本に書かれていることです。 『事実と意見を意識する (44p)』などという表現を目にすると、即座に中公新書のあの信号機みたいなブルーグリーンの表紙を思い浮かべるひとも多いことでしょう。 だからと言って、ほかの書籍に書かれているから価値がないとかいうことではなく、それだけしつこく繰り返すほどに大事な原則であり、その原則はブレない、ということだと思います。 たまたま私は以前に読んだことがあっただけです。 逆にいえば、過去に作文技法の本を読んだことがない人、これ1冊で済ませてしまおうと言う人にとっては、文章の基礎体力をつけるうえで外せない基本中の基本の部分です。 とてもわかりやすい具体例がでています(数学の文章ですが、法律、社会、化学、どんな分野にも応用できる基本原則です)
「文章は形式よりも内容が大切だ」というのは不正確です。正確には、以下のようにいうべきでしょう。 文章は内容が大切だ。 だからこそ 形式をきちんと整えなければならない. 【第2章基本:2.2形式の大切さ】 (p27)
第2章3章を読みながら、自分がこれまでたくさんの文章を書きながら何となく取得してきた経験則は間違っていなかったんだなー、と思いました。 それと同時に、高校や大学の学び始めの頃、論文を書き始めたころいこの本に出会って読むことができていたらなぁ...何度も読み返して本と一緒に成長してみたかったなあ、とちょっと残念な気持ちもしました。
いちばん好きなページはこれです。(ついでにこの本からどれだけ影響を受けたかも載せてみました)
「読者のことを考える」というメッセージとそれを端的にあらわした絵。 よく考えると、ひし形2つ、ひし形2つとと丸とてんてん、だけです。 なのですが、これが左の無人の「本」から突然読者がにゅっと顔をつきだしたように見えます。 そうなると、無機質な物体(本)から、「ふむふむ、くふふ」と「本を読んで考えている相手」が浮かび上がってきます。 それはふだん自分が本と対面した時に感じる、「この本は私にどんなワクワクを与えてくれるかな?」という、本を開いた時の期待や興奮を思い出させてくれます。 思えば私達は文章を書くときに、“自分の言いたいことを自分が理解できるように書き付ける” ことばかり考えていて、“相手が理解できるように”という観点を忘れがちなようです。 読者不在にしすぎるような気がします。 形式を学ぶのは、カッコいい文章を書くためではなく伝えやすい文章を書くため。 そして伝わりにくい文章は、文そのものを理解するためにエネルギーを費やしてしまい、書かれたメッセージを理解するためのエネルギーが奪われてしまう。 作法の本の一番の主題が目的であること,これが本の背骨となっているのです.
『数学文章作法 基礎編』が、ちゃんと読者さんに読んでもらえているなあと感じるのは、読者さんがいつも「読者のことを考える」というあの本のテーマを語るから。少なくとも「たったひとつのこと」は伝わっている! (^^)http://t.co/DquLgI8dZI
— 結城浩 (@hyuki) 2014, 4月 4
● 読書中に心に響いた部分 そのほかの引用ツイートです。大勢のかたからリツイート、ファボいただきました。 結城先生にも引用の程度の確認、応援いただいています(後述)。 140字で書ききれなかった該当ページなどを一部捕捉しておきます。 ▼【第3章 順序と階層:3.4表現の工夫】
「一つのものを複数の方法で表現した文章を読んだ読者は、自分の理解を無意識のうちに確認しながら先へ進むことになります。これは「自分は正しい道を歩いているな」という安心感につながり、読書の意欲を増す効果があります。(結城浩:数学文章作法基礎編p78)」
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 3月 27
▼【第3章 順序と階層: 3.5 この章で学んだこと】(p82)
「著者は、読者の代わりに内容を前もって整理しましょう。読者は、心の中でジグソーパズルを組み立てている人のようなものです。もしも著者が、パズルのピースを順序立てて読者に渡すなら、読者はパズルを容易に組み上げることができるでしょう。しかし、読者に対してでたらめな順序で渡すなら、読者はパズルを組み上げることが困難になりますね。」
これは140字におさまらなかった。 形式を整える重要性を「欠けたカップで出されたら、いくら美味しいコーヒーでも台無し【第2章基本 2.2形式の大切さ】(p27)」と表現したのと同様に、とても理解しやすい例えです。 ▼【第5章 例 5.3 説明と例の対応】(p128)
「説明と例の対応をきちんと確認しないと読者は「具体的なので書かれていることの意味はわかるけれど、そもそも著者の言いたいことは何なのかわからない」という状況に陥ってしまいます。著者にとっては「何を説明する例なのか」ということは自明に思えます。しかし読者にとっては自明とは限りません」
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 3月 29
▼【第6章 問いと答え 6.4 何を、いつ問うか】
「Aとは何でしょうか」と問い、「Aは〜です」と答えます。これは一種の対話だといえます。読者はこのような対話を読んで「ああ、そうだった」や「ふうん、そうなんだ」などと考えます。文章の最初に書かれた対話が、これから始まる説明への良い導入になるのです。(結城浩:数学文章作法p153)
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 3月 29
「良い見出しを作ろうとすることは良い文章を作ることにつながります。なぜなら、良い見出しかどうかチェックするためには、自分の文章を客観的に振り返らなければならないならです。つまり、読者の要望に応える目次を作ることは、正確で読みやすい文章を作るのとにもつながるのです(結城浩)」
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 4月 3
「繰り返しますが、目次は目次作成機能を使って作ってください。それは「手間を減らす」および「間違いをへらす」ためですが、それに加えて「納得いくまで見出しを書き直せるようにする」ためでもあります。」(結城浩:数学文章作法p167)
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 4月 3
「参考文献を挙げるのは、読者が検証する気になれば検証できるようにするためという目的があります。自分の記述の根拠を述べるためでもあります。決して、自分がどれだけ勉強したかを自慢するためではありません。」(結城浩:数学文章作法p178)
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 4月 3
*最後の文章が痛烈です.自慢するために思わず書いてそうになるとき,ありますよね・・。それは「読者のためにはなりません」 ▼【第7章 目次と索引:7.4トピックス】
「参考文献は、想定する読者によっては読書案内になる場合もあります。その場合は、参考文献についての付加的な情報も読者の役に立ちます。たとえば、難易度、概要、必要な予備知識、良い点・悪い点、注意すべき点、翻訳の有無などです。」(結城浩:数学文章作法p178)
— るう@桜のモーツァルト (@ruu_embo) 2014, 4月 3
*まさに本書最後の参考文献は,文章作法の読書案内になっています。
@ruu_embo まったく問題ありません。というか非常にすばらしい抜粋だと思います。感謝しています。またときどきツイートお願いしたいほどです(^^)
— 結城浩 (@hyuki) 2014, 4月 4
● さいごに 数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)は,人に伝える文章を書くすべての人に役立つ本です。なるだけ年齢の早いうちから読み込んで、自分の文章力の糧にされることをおすすめします。 これが文庫であるというのも素敵なことです。 結城先生、素敵な著作と指導をありがとうございました。 今後 メルマガ に連載中の 『数学文章作法 推敲編』も上梓されるでしょうから、そちらも楽しみです。 (メルマガ読者になれば出版前に読めますよー(^_^)) タイトルに反してこの記事はちっともシンプルではなくなってしまいましたが、これで終わります。(書き上がってよかった!) ● おまけ
結城浩先生(@hyuki )の『数学文章作法基礎編』を読み始めました。衝撃的に面白いです。私はいわゆる文系に属する人間だけど、抜群に役に立ちます(この意味で、タイトルに「数学」が入ってるのがもったいない、という意見に賛成)。
— 彩郎 (@irodraw) 2014, 4月 3
実はサイン本をいただく前にこの本を購入していていたので、ブログ単純作業に心を込めての 彩郎@irodrawさんに嫁入りさせました。思った通り?気に入っていただけたようでなにより(しめしめ?)です。 そんな彩郎さんの書いた書評はこちら ▼読者のことを考えるって、こういうことだったのか!結城浩著『数学文章作法 基礎編』(ちくま学芸文庫)
結城浩先生の『数学文章作法 基礎編』を読み終えました。例の作り方を、こんなにもわかりやすく、かつ理論的に解説した本に、はじめて出会いました。典型的な例、極端な例、あてはまらない例など、狙いを持って例を配置すると、それだけで、読者の思考を導けるんだなあ。これは、練習したい!
— 彩郎 (@irodraw) 2014, 4月 5