サイバーナビとBeatJamをめぐる死闘
車のナビとしてPioneerのサイバーナビを使っているが、音楽を聞くときはだいたいスマホからBluetoothで飛ばしている。ただBluetoothだといろいろ限界がある。音質が弱いのはどうせ運転中なのでさほど気ならないのだが、スマホの処理が重くなると音声がブチブチ切れるのだ。
サイバーナビはHDDを搭載しているから、音楽のライブラリをHDDに入れてしまえばいいのだが、その方法が問題である。何しろスマホに入れている曲だけで100GBを優に超えている。いちいちCDから読み込むなんてやっていられない。サイバーナビは一応USB端子を持っているので、USB外付けHDDを試してみたが、プレイリストを認識しなかった。SDカードはというと、小さいのしか持っていなかったので1回で取り込めない。それでしばらくはBluetoothでしのいでいたのである。
しかし、VAIOを買った時に256GBのSDカードを買った。VAIO pro13 mk2の構成は悩んだすえに結局i7、メモリ8GB、高速SSD256GBにしたのだが、SSD256GBでは少々容量が足りない。しかし高速SSD512GB(つまり最高構成)にするとプラス4万円となり、20万を超えてしまう。このため、さほど速度の必要ないストレージとして256GBのSDカードを購入することで価格を抑えつつ大容量を確保しようとしたのである。幸いVAIO pro13 mk2のカードリーダーはSDカードがほとんど飛び出さないタイプなので、突っ込んだままカバンに入れても全く支障がない。このためSDカードをVAIOの拡張ストレージとして使っていたのだ。
このSDをカードを一時的にサイバーナビへの楽曲転送に使おう、というのが今回の主旨である。サイバーナビのためだけにSDカードを買うのも勿体無いが、VAIO用に買ったものを一時借りるだけならコストもかからない。
というわけで、Pioneer公式から転送用のソフト、BeatJam(ジャストシステム製)をダウンロード。まずはライブラリに楽曲を登録しよう思って、「マイミュージック」フォルダを指定したのだが・・・
はっきり言ってショボい。ショボすぎる。しょぼすぎて涙が出てくるくらいショボい。何がショボいかというと、フォルダ指定してPC上の楽曲を登録しようとすると、半分以上失敗する。 ファイル名が長いなどの問題らしいが、既にMediaGoなどでプレイリストを200以上作成してあるので、今更ファイル名を変えたくない。当然ながら、m3uプレイリストの読み込みも半分以上失敗する。サイバーナビ自体はm3uに対応していない(おそらく独自形式)ので、他のプレーヤーで作ったm3uを使うにはBeatJamで読み込んで独自形式に変換してから転送する以外の方法がない。つまり他のプレーヤーで作ったプレイリストをサイバーナビに移植することは事実上不可能ということになる。
※フォルダ指定だけでなくitunesからのライブラリ取り込みも可能で、メニューにはご丁寧に「itunesからの取り込み」という項目まであるが、やっぱり失敗する上に、プレイリストの取り込みには対応していない。
つまりSDカードに転送する以前に使いものにならないのだ。
仕方ないので、とりあえず読み込めたファイルとプレイリストだけでも転送してみて、どういったフォルダ構造で転送するのかを見てみようと思った。すると・・・なんと全てWMAに変換してしまい、ファイル名はTRMTR0001_001などで拡張子もなし。 サイバーナビの仕様上はmp3もaacも再生できるから変換は必要ないはずなのに、なんでわざわざwmaで拡張子なしにするのか・・・。プレイリストも同様で、自力でプレイリストを作ることも無理なようだ。
ここに至ってBeatJamを使うのは諦めた。開発のジャストシステムさん、もうちょっとまともなものを作ってもらえませんかね。取り込みの失敗以外にも突っ込みどころ満載で、例えばCDを取り込んだ時に変換できる形式がwmaのみ、aacどころかmp3にすら変換できないっていつの時代の話だよ。最終更新2013年とか書いてあるし。これだけ手抜きの癖に、インストール時にシリアルナンバーの入力が必要というのも謎だ。こんなソフト無料でもいらんわ。むしろフリーソフトのほうがよほど高機能である。Pioneerが自前でソフトウェアを作れないのは仕方ないとして、なんでよりによってジャストシステムなのか。せめてほかのプレーヤーからの転送に対応してほしい。サイバーナビ自体がm3uに対応すればこんな苦労もしなくて済むのだが。
仕方ないので、今度はMediaGoからSDカードに転送してサイバーナビに突っ込み、曲が読み込めるかどうかテストしてみた。MediaGoで出力したプレイリストはm3uまたはm3u8なので、サイバーナビではプレイリストは認識できないはずだが、この際プレイリストは諦めて曲だけ転送する。ここまでは過去にUSB外付けHDDで試しているのであまり変わらない。のだが・・・なんと一部の楽曲しか認識していない。しかも一番よく聞くクラシック、ボーカロイド、ゲームのサントラ、アニソンがほぼ全滅している。なぜか?
サイバーナビが認識しなかったファイルは以下の2つのいずれかに該当する。
①ネットで無料配布されていたものや、それを再変換したもの
②自分で買ったCDをリッピングし、変換したもの(無料配布以外)のいずれかである。
このうち①はすべてボーカロイド曲で、ニコニコ動画で公開されていた動画から音声を切り出してmp3に再変換したものか、ピアプロ等で配布されていたmp3のいずれかである。
②の場合は、音質を優先して以下のステップを踏んでいる。
1. Exact Audio Copyを使って可能な限り正確にディスクを読み取り、cueシート+wavファイルを作成する。
2. wavをflacに変換する。
3. cueシートの指定するファイル名をflacに書き換え、同時に曲名を編集する。
4. cueシートをfoobar2000で読み込み、lameを利用してmp3に変換する。設定はVBR256kbps。
5. できあがったmp3のタグとファイル名をSuperTagEditerで編集する。
普通の人はここまでせずに、itunesなどでリッピングすると同時に変換して終わりだろう。ただ、いろいろとこだわり始めると、こういうお手軽なソフトでは物足りなくなってしまう。
昔はitunesを使っていたこともあるのだが、かなり前から使わなくなった。理由はタグやファイル名を勝手に書き換えてしまい(例:Chemistry→ケミストリー、Chemistry→ Chemistry )、検索機能がまともに使えなくなるからである。ケミストリーとChemistryが同一アーティストとみなされないのはまだわかるのだが、ChemistryとChemistryが別のアーティスト扱いってふざけてんのか。おかげでライブラリに登録した曲が迷子になってしまいiPodに転送できないというトラブルが多発した。この教訓でitunesは使わないと心に誓ったのである。
もう一つの理由としては、やはり音質である。itunesを含めて一般的なプレーヤーはリッピングのオプションが乏しい。mp3で高音質を求めるなら固定ビットレート320kbpsになるが、ポータブル環境ではファイルサイズが膨らみすぎて容量が足りなくなる。ポータブル環境で違いがわからないギリギリを目指した結果がVBR256kbpsだったのである。それ以上の高音質を求めるなら自宅で可逆圧縮のflacを聞けば良い。ちなみにかつては可逆圧縮としてMonkey’s Audio(拡張子.ape)を使っていたが、foobar2000のWASAPI排他出力を利用するためにすべて変換しなおした。フォーマットが変わっても音質の劣化がないというのはこういうときに役立つ。
こういうわけで、よく聞く曲ほど手塩にかけてエンコードし、また検索しやすいようにタグもきっちり編集してきたのである。
しかしサイバーナビのマニュアルを見るとこう書いてある。
「エンコードしたアプリケーションによっては、正常に動作しないことがあります」
またaacについてだが、「本機では、Windows版のitunesを利用してエンコードされたaacファイルの再生に対応しています」とも書いてある。
おそらくサイバーナビの開発者はitunesやWindows Media Playerでのリッピングしか想定せずに開発したのであろう。lameは優秀な無料mp3エンコーダで、世界中で使われてきたが、こうしたフリーソフトは対応しないということらしい。しかしlameで作成したmp3はきちんとmp3の仕様に則ったものであり、iPodやWalkmanなど多くのポータブルプレーヤーで普通に再生できていたのである。それを認識すらしないというのは、いくらなんでもひどすぎる。サイバーナビは音響性能が売りの一つであるはずだ。それなら様々なファイル形式に柔軟に対応できるデコーダーを搭載してほしい。
結論:音楽好きはサイバーナビを買ってはいけない。他のメーカーがどうかはしらんけど。













