日本文化にとっての Great Books
日本人のための Great Books を求めて
日本人が自国文化理解するための Great Books を求めて、中央公論の「日本の名著」「世界の名著」をはじめとして色々な叢書を見たのですがあまりにも規模が大きくて、全体を見通す目次や索引、解題が見つからず行き詰まってました。ゴールが見えないと取り組みにくいですからね。
そこでふと気がついたのが国語便覧。日本の古典については、重要な作品を網羅し、作品間にまたがって理解するための解説、キーワードが用意されています。 古文漢文はこれを頼りに、個別作品を当たれば良いでしょう。国語便覧に取り上げている量なら無理のない分量です。
思想宗教系が抜け落ちます。高校の倫理資料集をガイダンスにつかって日本、中国、インドまでみていけば主要な作品一覧を作れます。
インドの古典作品がこれでも捉えきれないです。 Wikipedia サンスクリット 著名な文学・哲学・宗教文献、インド文学史にお世話になるしかありません。
高校の古典や倫理の教材を使えば、日本文化の規範を形成する古典の多くを見いだすことができます。
児童文学全集には東洋の古典を収録していて現代語訳でザックリ内容を押さえることができます。岩波少年文庫は、日本、中国、インドの古典まで収録しています。
「岩波少年文庫」
日本文学の古典については、全体をよみ通すことも可能な量の文学全集があります。
「21世紀版少年少女古典文学館」全25巻 講談社
「日本の古典をよむ」全20巻
「日本の古典をよむ」なら原文と現代語の両方を読むことができます。 実は自分はココまでクリアしました。
ここから先は、東洋文庫、新釈漢文体系、日本思想大系、日本古典文学大系など叢書や岩波文庫、個別の翻訳書を自分で探してよむことになります。 中国やインドの古典をまとめて簡単な現代語でよめる古典全集があればいいのですが。
インドの仏教教典が、漢訳仏典に翻訳した時どんな変化が起きたか基本知識として理解しておいた方が良いでしょう。インドと中国の教典の扱い方の違いが問題になります。 古典的な日本の仏教は、漢籍経由ですので。
仏典はどう漢訳されたのか――スートラが経典になるとき
現代の日本は、明治維新以降150年間、西洋からの価値観に影響を受けて、文化規範を形成しています。 意識的に日本文化を形作った古典 Great Books を読めば、江戸時代以前の東洋の伝統に立脚した規範と、明治維新以降日本に輸入したヨーロッパの基準、そして第二次世界大戦後流入した米国由来の価値観を分別して理解できるようになります。
ガチなアングロサクソン系 Great Books だってあながち今の日本に暮らしている人にとっても無関係ではないんですよ。
外から見たらどうなるか
実は前回紹介した Great Books College の一つセント・ジョンズ・カレッジには東洋文化の古典を理解するための大学院修士課程Master of Arts in Eastern Classics (1994年開設)があります。
英語翻訳ですが、中国、インド、日本文化の古典を学びます。課題図書Eastern Classics Reading Listが公開されていますので参考になります。
インド
リグ・ヴェーダ、ウパニシャッド、ニヤーヤ・スートラ、ヴァイシェーシカ・スートラ、サーンキヤ・タットバ・カウムディー、ヨーガ・スートラ、バガヴァッド・ギーター、クマーラ・サンバヴァ、アビジュニャーナシャクンタラー、ドヴァニ・アーローカ、ミーマーンサー学派、チャールヴァーカ、 ブラフマ・スートラ注解、シュリーバーシャ、ギータ・ゴーヴィンダ、経蔵(スッタ・ピタカ)、金剛般若経、ラーマーヤナ
中国
孔子、墨子、孟子、荀子、韓非子、荘子、老子、大学、朱子、王陽明、六祖壇経、紅夢楼
日本
平家物語、空海、源氏物語、枕草子、方丈記、道元、吉田兼好、松尾芭蕉
西洋から東方を見たときの東洋理解の視点で古典が集められています。 ヨーロッパとの交流の歴史が深く、影響力の強いところから順番に見ていこうという内容です。テキストの量や分野の広がりでも偏りがあります。
インド >> 中国 >> 日本
例えば、日本と中国の詩歌は取り上げてないんです。
日本人が英語で Great Books を読むと、その視点から東洋文化を理解するとどう見えるか教えてくれます。 つまり日本から東に向いて、地球一周したら日本はどう見えるかという視点です。
アメリカ -> ヨーロッパ -> アラブ -> インド -> 中国 -> 日本
日本から西方 (天竺) を見たとき、日本で伝統的なインド文化の視点とは反対の見方を提供してくれます。
日本文化に影響を与えながら見えにくい、広く読まれていないインドの古典が分かります。その古典は同時に反対方向の西洋文化に影響を与えているものだったりします。 明治維新後、ヨーロッパ文明の情報は日本に大量に入ってきていますので、日本人にとって見落としがちだけど重要な知識を教えてくれます。
ただし、これは外部から見たときの視点なので、もしインド文明圏の人たちが、自分たちの文化規範となっている古典を選んだら、ちょっと違うものになってくると思いますが。
逆向きで見たらどうなるか
実はアメリカの大学なので、太平洋越しに西を見みて日本がどう見えるか期待しました。更に地球一周するとどう見えるか。 ニューメキシコの大学は無理でも、カリフォルニアなどの太平洋岸の大学にはそんな視点を持った人がいるはず。どこかで誰かが書いているはずなので、これから探しにいってきます。
















