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65daysofstatic: "Wild Light"
※この記事は Drowned in Sound に掲載された 65daysofstatic のメンバー Paul による、新譜『Wild Light』の全曲解説を、創設者の Sean 氏の許可を取って掲載しております。
ライター:Paul Wolinski 翻訳元:http://drownedinsound.com/in_depth/4146880-dissection--65daysofstatic-wild-light-track-by-track 翻訳者:may6512
65daysofstatic の Paul が、新しいアルバムについて語ってくれた...
"皆は僕らの心の内を知ってくれていると思うんだ。大抵の場合、全曲解説なんて広告の隙間を埋めるようなものだってことに。バンドをメディアに取り上げてもらう為の無報酬のコンテンツと、広告をクリックさせようとする音楽業界。多分「無報酬」っていうのはちょっとひどい。一番良いのは、美術館の中でアートワークの横にプラークを付けて素材を飾り、まず第一に何故それが存在することになったのかの、ちょっとした洞察を付けてみたらいいんじゃないかと思う。
ただ、これをする時の僕らの問題点は、そもそも音楽を作る事が、言葉で説明できないアイデアを交換する最も良い方法だとメンバー全員が思っている点だ。だからこれは、薄めに薄めたジュースみたいなものだよ。
とは言うものの、新しいアルバムに入っている全ての曲の、正確に意味する事がここにあると言っていい。"
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1. HEAT DEATH INFINITY SPLITTER
始まり:2011年9月23日
素材:Maschine、65HQ(訳注:彼らの事務所)でのリバーヴ、シェフィールドの2flyスタジオでのデモ、アナログシンセサイザー、全てのアンプを通したギター、ドラム無し、最後に少し追加
Bruce Sterling はこう言った。「ミュージシャンに起こる事は、全ての人にも起こりうるだろう」と。もしそうならそれは悲しい未来だ。最前線に立つ事は不思議なまでに気分が高揚するけれど、自らの基盤を砕く経験をする為に人生を賭ける。もちろんそれは全て比喩だよ。食糧供給網が崩壊しつつあるとか、政府によって爆破されているとかじゃない。でも自分を甘やかす方へ迷い込まなければ面白い考えだ。
だからもし、音楽業界が世界の象徴だとしたら、世界は宇宙の象徴ということになって、それはつまり、最終的には全員死ぬって事だ。
少なくともこれくらい無限に意味がある。他に何があるか想像してみて!
2. PRISMS
始まり:シェフィールドの2flyスタジオの床の上、形を整えるノイズの中へと連なるペダル
素材:Logic、落ちぶれたDAW、オフラインのMIDIプログラミング(山ほど失敗したテクノの試み)、16ヶ所のバーで過ごした完全に不釣り合いな量の時間、アイスクリームの容器とゴミ箱でできたドラムキット
時間の限りのない地平線の輝き。ゴシックなハイテクと上品な貧民街の上にあるガラスの天井、その下に捕えられた僕ら。この状況の中でできるベストな事は、横に逸れて未踏の隙間を埋める事だ。このギターのトーンが堪らない。オープニングのサブベースは、きちんと正確に聞こえるようPAに要求している。この曲は、オンライン上あらゆる場所で監視している PRISM と呼ばれる機械が有名になるずっと前から Prisms と呼ばれていたんだ。デモのスワッピングにドロップボックスは頻繁に使われていたよ。だからもし運命というものがあるのなら、近い内にユタから僕らみたいなインストゥルメンタルテクノが現れるんじゃないかな。それは多分、クラウドベースの貯蔵方法を切り替える時だ。
3. THE UNDERTOW
始まり:こういった曲を書くことを自分達に許す為に、濃密な十年間を必要とした。だから2003年と言えるね。
素材:フェイクピアノ、不親切な拍子記号、e-bowを搭載した完璧なコンピューター、3ヶ所のスタジオでレコーディングされたオーディオの統合、シェフィールドの小さな集合住宅でのノイズの一日
これはアルバムの中で唯一の変拍子の曲で、そしてそう気付かれないようデザインされた。 曲を書いている時皆かなり苛立っていて、そんな時ちょっとした65HQでのアクシデントで偶然できたんだ。大抵のオーディオソフトウェアは29/8用のグリッドを扱うようにはセットアップされていないんだ、本当に。
この曲は極めて悲しい曲だと思う。若い頃、好きなバンドが悲哀溢れる曲を書いた時、何を思ってその曲を演奏するのか、その曲を書く時メンバー間でどう話し合うのかいつも不思議に思っていた。その答えは「拍子について話し合うこと」「どうやって土星からブロードキャストされているようなギターサウンドを作るかについて話し合うこと」だった。この曲を真っ向から見た事がないんだ、まるでちょっとメドューサみたいだね。砕け散る石に変えられるかわりに、残りのメンバーは再びコミュニケーションを取る準備ができるまでの間、冗談を言わなければいけないのを除いては。
4. BLACKSPOTS
始まり:ロンドンから戻る深夜の電車の中
素材:たくさんのコーヒー、曲を書いていた当時のタフなダンスミュージックの欠如、燃え上がるようなギターのトーン、素晴らしいオルガンの新しいサンプルと、接続に失敗したキネクトマッピングビデオ
ブラックスポット。頼まれてもいないのに、時折心の内に現れる見たくないようなもの。もしくは Pinter が言ったように、遠く離れた場所で、誰かの身に起こっている事を自分の事のようにTVで見るようなもの。或いはお前はもうすぐ死ぬんだと、海賊によってもたらされた危険地域のようなもの。
これらには共通する何かがある。この不可思議で落ち目な日々の中で、試す価値のある迅速な対応と手段を迫られる何か。
5. SLEEPWALK CITY
始まり:2012年から2013年にかけての冬
素材:「Radio Protector」を書いて以来のベストなコード進行、どうやって考えを変えようかと、お決まりの65方程式を超えようと自分達にプレッシャーを与えること、ステップシーケンサー、テープにループさせた後アンプに送り返したドラム
友達の Digital Toy は、この曲を世界の終りだと表現した。これのインスタレーションバーションを組み立てたよ。このビデオを見て。この曲を書いた時までじゃないけど、8個のコードシーケンスを書くことの力を理解し、その内の6個を演奏した。初心者向けのジョン・ケージだね。
6. TAIPEI
始まり:2011年1月
素材:時差ボケ、台湾流熱い風呂、異邦人への優しさ、奇妙な豆腐
信じられないようなツアー日程のまぐれの果てに、やっと2011年の台湾で3日間の休みを手にした。それは永遠に続くかのような印象を与えた。全てが発展途上にあって、これまでに扱ってきた全ての電子機器に、小さな“台湾製”と書かれた卵型の金属のステッカーが貼ってあるみたいだった。ここへ来て何かを自分達で作る事が適しているように思えたんだ。活気があってタフな街だった。僕らが住んでいる所にある、見せなければならない十数年間蓄積されたゴミに比べて、資本主義/消費主義のしなやかなで見た事もないような輝きがあった。気分を高揚させるような、見るに値する素晴らしさ。台北のホテルで2つのピアノポリリズムを書いた。1つは6/4で、もう1つは5/4。その日の内にサウンドチェックで試してみて、結果、この曲になったんだ。
7. UNMAKE THE WILD LIGHT
始まり:それは終りから始まる
素材:作ろうとしていたレコードが遂に上手くいったという実感、わかりにくい粒子の粗いソフトウェア、全体的にざらっとしたコンセプト、死ぬ程美しいギター
このアルバムに名前を付ける事が、どれだけ大変だったか想像もつかないだろう。かなり後になってからようやく決まったんだ。自分たちが何を作っているのかずっと知っていたのに、それを何て呼んだらいいか解らなかったんだよ。明らかに自分達が作ったのに、呼びたい名前が見つけられなかったら何て呼ぶ事ができる?
もし『Wild Light』が思いつかないアイデアだったなら、ベストなのはある地点まで逆行分析することだ。全てを元に戻し、構成物質にまで分解するんだ。
もちろんそんな事は不可能だよ。それとももし不可能じゃないのなら、それは大抵の場合悪い知らせを持ってくる何かだ。原子を分解しようとするとかね。
だからこれはつまり、ノイズへと分解する曲だ。
8. SAFE PASSAGE
始まり:特定の時というよりも心理状態
素材:ハイパーシンセビル、見つけられる限りのディストーション、交差しない境界線の感覚、絶望的な距離、果てしない論争
どっちつかずの領域の音。非合法のビザ取引とブラックマーケットの旅行書類。データを失う事&ブラックボックスの捜索。使おうと試みて失敗した、大陸間にわたるコミュニケーションの荷を運ぶデジタルの糸の伸縮性の強さ(もしくは弱さ)。電気信号の異常と人工の物、そしてダイアルアップの未来。
編集後記
UKベースのウェブマガジンサイト Drowned in Sound に掲載された全曲解説。このサイトはボランティアで構成されていて、インタビューやレビューなど全てフリーで読めます。
そしてようやく発売される新譜『Wild Light』日本盤。発売は11月13日。初回生産分にはベースの Simon がデザインしたトートバッグが付くそうです(CUEさんとのコラボだそうです)。画像はこちら↓
バンドは現在、ヨーロッパツアーが終了して北米ツアー中。ほぼ毎日ライブ。合間にバスで移動して、本当すごいなって思う。(日程はこんな感じ http://www.65daysofstatic.com/) 1月にはアイルランド・北アイルランドツアーとロシアミニツアー、その後3月にUKミニツアー。日本に来れるのはその後、か?早く来日ツアーが決まればいいのに!