劣等感にまみれた現実を乗り越えるための音楽 ircle
「心の準備もとい、覚悟はいいですか!?」と告げて、E.L.L.3daysの最終日のトップバッターとして登場したのは、人間味溢れる熱いパフォーマンスをしたircle。初っ端からトップギアの熱演を繰り広げ、会場のボルテージをどんどん上げていく。ボーカルの河内が「誰が偽物か、誰が本物か。そんなのどおでもいいわ!もっと心を奮わせたい」と声を張り上げると、夢を追い続けることの大切さを歌った「セブンティーン」をプレイ。まだ3曲目だというのに河内は汗だくになりながらパフォーマンスをして、オーディエンスの心に火を焚きつける。その迫真の演奏を観ていた後方の観客が、曲が終わると思わず「(ircleのライブ)カッコイイね」と漏らしていた。
「豪雨から綺麗な青色が見える空になった日は、夕日が綺麗に見えるんです。そんな空気を感じた時に思い出す人がいます」とプレイしたのは、美しいコーラスが印象的な「失敗作」。裏声を使いなから丁寧に歌を届け、メランコリックな感情をオーディエンスに感じさせた。曲を終えると河内がギターをかき鳴らしながら、TREASURE05Xへの思いを口にする。
「トレジャーは何かしらの形で俺たちにステージを用意してくれて“ありがとう”と思うけど、本当はもっと応えたい。ラグーナやダイアモンドホールでライブするとか、テレビのタイアップとかCMとか、そんなもんなくたってカッコイイバンドは山ほどいる。小さなライブハウスにだって大きなライブハウスにだって、路上にだっている。俺らがなんでここに今立っているか、その意味を噛みしめてライブをしてる。失敗して、劣等感のプールを泳ぎ続けて、もがき続ける日々。だけど、もっと良くなると信じてる。その可能性を信じて、今もあなた達の前で歌ってる。そんなあなた達と一緒に歌いたかった曲を」と熱い思いを伝えて「光の向こうへ」を演奏。ircleの直情的なライブを観ていると、ライブハウスは現実から逃げるために来るのではなく、その劣等感にまみれた現実を乗り越えるために来る場所なのだと感じた。だからこそ、ircleの音楽とパフォーマンスは人の心を奮わせてしまうのだろう。トップバッターにふさわしい快演をみせ、彼らはステージを去っていった。
text:菊池嘉人 photo:郡元菜摘















