伊東篤宏 来福3days
ライブパフォーマンス&トークセッション「誤用のススメ」
九州大学大学院芸術工学研究院音響設計コース音文化学講座では、この度「芸術×科学による分野横断型高度クリエイティブ人材育成プログラム」との共催により、伊東篤宏をゲストに迎えたライブパフォーマンス&トークセッション「誤用のススメ」を開催します。
伊東篤宏は、1990年代初期より美術家として活動を開始し、その作品形態は平面絵画作品から蛍光灯やサウンドオブジェを使用したインスタレーションまで多岐にわたります。90年代末より自作音具OPTRONを使ったライヴパフォーマンスを自身の個展やグループ展と並行して開始し、2000年代より国内外のライヴツアーを精力的に行ない、身体パフォーマーやミュージシャン、サウンドクリエイターとの共演・共作も積極的に行ないながら現在に至ります。 美術作品制作、ライヴパフォーマンス共に、視聴覚の拡張 ひいてはその新たな在り方をテーマとし、模索し続けています。 また、ライヴパフォーマンスはソロ以外にも、ZVIZMO、entangle、今井和雄トリオ 等のバンド?ユニット活動も行っています。 Instagram : @ito_atsuhiro X : @ito_atsuhiro
今回のライブパフォーマンスでは、伊東によるOPTRONに加え、本学学生の相崎玲穏による光のフィードバック、本学教員の城による自作のレコードとテープによる演奏をおこなうと共に、続くトークセッションでは、伊東による同名のテキストを踏まえ(会場で配布予定)音楽をその起点とした「誤用のススメ」について、来場者と共に話し合います。
日時| 2025年10月31日(金) 出演・登壇| 伊東篤宏 相崎玲穏(本学 音響設計コース 学部4年生) 城 一裕(本学 音文化学講座 准教授) プログラム|
・18:00 開場 ・18:30 ライブパフォーマンス 開始 ・20:00頃 トークセッション 開始 ・21:00頃 終了予定
場所| 九州大学 大橋キャンパス 音響特殊棟録音スタジオ
料金| 無料
九州大学芸術工学部・大学院芸術工学府 音響設計コース音文化学講座では、このたび「芸術×科学による分野横断型高度クリエイティブ人材育成プログラム」との共催により、伊東篤宏氏をゲストに迎えたライブパフォー
ー 誤用のススメ ー
時は1970年代後期~1980年初頭、CDの本格的な商品化により、アナログレコード並びにレコードプレーヤーは時代遅れなモノと見なされていた。 商業化され巷に溢れていた当時のディスコミュージックに飽々していたスラム街の若者達は、世間からは今や価値無しとみなされていた そのアナログレコードとレコードプレーヤーを使って自分達のニーズに合った新たなダンスミュージックを模索し、自らのコミュニティでプレイし始めた。レコードを擦る、テープを貼ったり傷を付けてあえて針飛びをおこす、同時に複数枚のレコードの音を重ねたりスピードを変化させる、等々の技術を駆使し技を磨いた。それまでは極一部の実験音楽などでしか試されていなかったスクラッチやループをストリートで発展させ、更にはそこに自分達のコトバを乗せて新しいダンスミュージックを発見?発明し、ラップ~Hip Hop という新たなポピュラーミュージックの 1 ジャンルを構築する一要因となった。
時代遅れになったターンテーブルとレコードの新しい使用法をスラムの若者達は自分達のニーズによって発見、発展させ、DJカルチャー、Hip Hop カルチャーの拡大と呼応し、世界中に影響を与えた。そしてその結果として、一度は役目を終わろうとしていたレコードとターンテーブルは見事に文化のど真ん中に帰り咲いた。 ここで改めて考えてみると、今やついつい忘れられがちな事だが 当時のレコードプレーヤーはそもそもスクラッチプレイを前提に設計されていないし、回転数を途中でスイッチングする事もメーカーサイドは間違っても推奨していない。スリップマットなど どこにも売っていない時代だから、フェルトや様々な素材でレコードが上手くスリップするかを日々試した。 アナログレコードが傷や何らかの走行障害物による針飛びを起こす事は、リスニングの観点からはNGであり、通常のレコードとしての商品価値に影響する。しかし彼らはレコードに傷を付け、テープを貼り、スクラッチしまくった。
彼らはつまり、既存の価値観やマニュアルに従わない事、NG とされる行為をあえてやる事で、自分達のアイデンティティを主張?確立し、ポピュラリティーを得た事になる。 つまり今日 我々が当たり前に見聞きするDJ~Hip Hop カルチャーの数ある源流のひとつは実は、素材に対する積極的「誤用」によって生み出されたと言って過言ではない。 (念の為 補足すると、現代音楽家や極一部の現代美術作家の中には、こういった試みを古くは60年代~70年代から行なって来た歴史も存在するが、ここでは省略させてもらう)
我々は当時(80年代初頭)のスラム街の若者達から学ぶべきコトが(今だからこそ)実は数多くあるのではないか? 新商品の名の下に、旧式となり世の中から足速に消えていくモノや事象に対して我々は果たして、それらが有するポテンシャルを本当にフルに引き出せていたのだろうか?そして積極的誤用による、新たな使用法や楽しみ方は果たしてなかったのだろうか? それを美術や音楽の文脈で再考し、実践実行する事は、既存の価値観を疑い見直し、モノやコトの未知の側面を提唱する事に他ならない。 これは時に温故知新ではあったとしても復古主義 /ノスタルジーではない。
そしてこれは時代的に役目を終えたとされるオールドテクノロジーや消費の最前線にあった商品だけにとどまる話ではない。 日々更新され続ける最新の技術やその応用商品、更には洪水の様に溢れ出て蔓延するSNS上の情報にも実は適応可能である。それらにすっかり毒された、今現在の我々の状況にこそ「誤用」は必要な視点であり、常にそれを試みる必要と価値がある様に思える。
大量生産・大量消費 時代が終わった今、我々が生み出して来た様々な事象(それは文化・芸術、哲学や宗教に限らず、科学や医療、そして何なら現在の政治体系をも含めて考えて構わない) を改めて問い直すべき時期に突入している事は逃れようのない事実であろう。 そんな時代にあって もし美術や音楽の中に改めて見出すべきモノゴトがあるとすれば それは、今までの価値観や尺度では測れない?数値化や定量化出来ない"豊かさ" や"希望"であるべきであり、その時「誤用」という一見 馬鹿馬鹿しい視座や行為が、実はその鍵のひとつになり得る と私は感じている。
伊東篤宏
伊東篤宏/OPTRON福北ライヴツアー '25
福岡篇 11/1(土) IAF shop open 19:00 start 19;30 ¥2000(1ドリンク別)
出演 伊東篤宏(optron) ゲスト シェーン・ボーデン(electronics) サネマツアキラ(Voice,etc)
オオクボ-T(Vo,Gu)
北九州篇 11/2(日) Gallery SOAP open 18:00 start 18;30 ¥2000(1ドリンク別¥600)
出演 伊東篤宏(optron) ゲスト サネマツアキラ(Voice,etc)
諸岡光男 Morooka Mitsuo (electronics)
Alleinganger (electronics)
DJ AKASEN(BGM)
















