記憶に残る【QSO外のQSO】
2025年いっぱいで横浜ランドマークタワーの69F展望フロアがしばらくの間メンテナンスのため閉鎖される。
そんな情報を知り展望フロアでのQRV計画をひそかに考えていました。
静かに始めた計画
そこで念のためランドマークタワーへアマチュア無線運用について問い合わせをしました。
掌に入るくらいのハンディトランシーバーでの運用です。音声はイヤホンを使い、携帯電話で通話しているようなイメージを伝えました。
すると、さっとご回答いただきました。その内容は、アマチュア無線自体は場所の占有をしない範囲で混雑状況を勘案して運用してほしい。平日の午前中ではあるが、学校も休みの時期に入り、閉鎖時期を前に混雑し始めているので、状況によってはご遠慮いただく可能性もあること。
そして、フロアについたら、そこにいるスタッフに一言声をかけてほしいこと。を伝えられました。思ったよりスムーズに許可を頂きました。
年末の折、やっとスケジューリング出来たのが12/26の午前中でした。
展望台に上がるには1000円の料金がかかるので、チケットを買う際に混雑状況を確認することにしました。
前日の機材の準備では、予備のバッテリーやアンテナやスピーカーマイク、おっとイヤホンを入れ忘れそうになりました。動作確認と充電確認をしていつものSHUREのポーチに入れます。
今回も閉鎖前に運用に来ることはローカル局と話していましたが、毎度のことで運用スケジュールは公開しませんでした。
告知なしでどれくらい出会えるか、誰とつながるかが楽しみなのです。
私にとってQRVとは冒険の一つ。いまだにCQを出す時はもちろん、応答するときも、その緊張感を楽しんでいるのです。
当日、時間がギリギリにランドマークタワーへ急ぎます。
3階に上がり入場フロアへ下ります。そう、来られた方はご存じだと思いますが、展望フロアへ上がるには3階へ行きそこから専用エスカレーターで下の階へ下りる仕組みです。
入場券売り場は大変空いていました。2~3人がチケットを買い求めていました。これは良い予感です。
チケットカウンターで混雑状況を尋ねると、余裕をもって景色を楽しめる状況とのこと。
これは“良し”ですね。早速チケットを買い日本最高速のエレベーターへ向かいます。乗客は6人ほど、これは期待できます。
エレベーターの扉が閉まり、上昇が始まります。体が重くなり上の方にある速度表示の数字がどんどん上がります。
あくまで静かに、ちょっとだけ“かご”がプルプルして、次第に耳が遠くなりました。そして、あっという間に減速し到着です。
ドアが開くと目の前は、がらがらに空いています。
早速フロアスタッフに一言声を掛けます。すると「はっ?はあ」とお返事をいただきました。「イヤホンを使用して行います。携帯電話の通話のようだと思ってください。何かありましたらお声がけください。」と伝えまずは東側の方へ移動しました。
69階、最初のCQ
ここが一番のダイナミックさを伝えられそうな景色です。若干雲があるものの見事な青空が広がります。正面に横浜港を見下ろし右手にはベイブリッジ、そして左の遠くに小さくスカイツリーが見えます。
とりあえず目立たないよう右端の方へ立ち、Berghausのザックから機材を取り出します。VX8DにSRH940をねじ込んでイヤホンをジャックにさし、耳に装着。準備完了、Powerボタンを押しました。
チャンネルを探っていると平日おなじみのトラックドライバー風のQSOが聞こえましたが、思ったほど混んでいる様子もなく、サブチャンネルのチェックは苦労しませんでした。
サブチャンネルも決まりメインチャンネルでCQを出します。
「CQ, CQ Fore Thirty. こちら・・・横浜ランドマークタワー69階展望台東側1W運用中・・・受信します」。
早速コール頂きました。世田谷から59です。
次にコールしていただけたのは、南区ローカルの局長さん。「ランドマーク来ましたね」と言われました。この方には年内に移動QRVする事だけは伝えていました。そしてもう1局コールが来ました。調布から57で入感です。
あたりに人がちらほらしてきましたので、空いている場所へ移動。
場所を移動しながら、電波を探す
次は南です。磯子方面や房総半島、そして遠くに三浦半島まではっきりよく見えます。こちらも雲がありますが見事な快晴。
ここでCQを出すと、先ほどの南区のローカル局からコール。それ以上は続かなかったのでいったん1局で終了です。
西へ移動するとこちらは富士山が見えます。そのためか人も多かったので通過し北へ移動。
調布から先ほどとは別の局がコールしていただけました。こちらも59です。そして横浜市緑区から59。
横浜市保土ヶ谷区からも59です。足元の神奈川区からは57、高さがマイナスに働いたかもしれません。また別の保土ヶ谷局からも59をいただきました。
残すは西です。
西はファーストフードのお店や壁の方では階段状のベンチがあります。その前の窓からは、箱根~富士~丹沢のダイナミックな眺望が広がっています。
なるほど、人気になるわけです。無線ができない雰囲気ではありませんが他の場所と少し違う感じです。
観光を楽しむ皆さんの中で、私が一人のアマチュア無線家としてその空間を壊すことは避けたいものです。アマチュア無線の評判を落としては元も子もありません。
そこでランチタイムにしました。
無線をしない時間
売店へ行きホットドッグとコーラのセットを頼みます。
少し待つとホカホカのホットドッグとコカ・コーラが載っているトレーを渡されました。
壁際の階段上のベンチの一番隅の一番上に陣取ります。ここからだと全体が見渡せるのですいている場所のチェックしながらランチが取れます。
食べ応えのあるホットドッグとコーラも頂きました。
トレーを返却し、あたりの様子を見ていると、窓際には景色を楽しむためのソファがいくつかあります。カップルシートサイズで、ちょうど良いテーブルまであります。
このソファに座りQRV出来たら快適そうですが、中々空きません。
そうこうしていると、一番左端のソファが空きました。
その横で外国人観光客風ファミリーが窓を背中にワイワイ写真を撮っていました。とっても楽しそうで幸せそうな3人家族です。
ソファは使っていないのですが、すぐ横の窓際で楽しんでいます。
これは今のうちに確認して、使えそうなら使わせてもらうのが良さそうです。「Excuse me」と話しかけたら、お父様ぽい方が反応しました。彼に「Can I Use here?」と尋ねると快くOKをもらいました。
雄大な景色を目の前に贅沢なQSOを1局だけしました。
お隣のファミリーはまだ写真を撮っていたので、お礼を伝え、少し会話を試みました。
QSO外のQSO
彼らはアメリカの私の知らない町から、旅行で来ていることがわかりました。
お父様の風貌がカール・ゴーン氏に何となく似ていて(失礼)印象的です。
ほんの少しの会話に、なぜかお父様から強い目線で熱く握手を求められ、がっつりと固い握手を交わしました。
別れ際に「Have a nice trip!」 と一言添えました。
名前を交換したり写真を取り合ったりはしませんでしたが、
心に残る特別なQSO外のQSOでした。













