(一般社団法人Water Ground Mountain 代表理事)
長田らしい靴工場跡の5階にあるボルダリング専用のクライミングジム『WAGOMU Climbing Gym』を運営する一般社団法人Water Ground Mountain代表理事の吉川史浩さんにお話を聞きました。(2018年5月22日にインタビュー)
鉄板を4人で囲んで、料理が出るたびに各々がインスタ映えを狙って写真を撮りながら、美味しい美味しいと食べて飲んで、たくさんの興味深いお話を聞かせていただきました。
西宮で生まれ育ちました。子供の頃はサッカー選手になりたかったんですが、中学生で「ないな」と思いました。選抜だったけど、一番じゃなかったんですよね。その頃のサッカーって我が我がって感じのプレイだったんですが、引っ込み思案だったのでしっくりこなくて。そしたら、高校1年生の終わりにひざを故障してしまって。ひざに血がたまって、抜いても1回練習したらまたパンパンになるっていうのを4〜5回繰り返して、夏休みに入院することになったんです。それでくさっちゃったんですよね。で、退部届を出して、その日は受け取ってもらえたんですが、次の日、全校放送で呼び出されて。そしたら監督が、「絶対治るから退部じゃなくて休部にしろ」と。そして「筋トレでも、後輩に教えるのでもいいから、とりあえず部活に来い」と言われたんです。すごく尊敬していた監督だったので、そこまで言ってもらえるなら、と退部を取りやめることにして部活に顔を出していたのですが、そこで後輩に教えることに喜びを感じました。
進路を決める時にスポーツを教えるために専門学校に行くと監督に言ったら、めっちゃ怒られて。「お前、もっと勉強しろ。体育大学に行け!」と。ここが人生の転機ですね。一言で人生を変えるような存在の教師っていいなと思うようになりました。大学に行ってよかったです。いろいろ学んだ4年間になりました。
アウトドアやスポーツに興味を持たれたのは家族の影響ですか?
うーん、確かにお父さんがスキーやキャンプによく連れていってくれたので、その影響かも。キャンプは社会人になってからもずっと行っていて、それがなくて働くのはイヤって思ってる(笑)
5つ上と1つ上の姉が2人いて、末っ子長男なんですが、姉は2人とも元ヤンで。1つ上の姉は高1で学校に行かなくなって、親がこっそり休学にしてました。1年くらいで姉も更生して、自分が高校に行く時、私立のサッカーが強いところに…と思った事もあったんですけど、親の負担もあるし、姉と一緒の公立に行くことにして。年子の姉ちゃんなんで同じ学年になる事を姉は気にしてて、僕が「俺が姉ちゃんいじめる奴いたらしばいたるわ!」と言ったようです。それを聞いて姉ちゃんは部屋で泣いてたらしいですが、僕は全然覚えてないんですけど、飲みに行くたびに言われます(笑)
大学に進学するとき、姉ちゃんは英語がやりたくて、自分は体育大学に行きたかったんですけど、先生に姉弟2人とも限りなく無理に近いと言われて。それで「絶対受かって謝らしたる」って言って、2人とも受かったんですよね。姉ちゃんは本当に謝らせてました(笑)
そんな感じで、他人と違う環境っていうのがちょこちょこあったので、それが自分の性格に影響しているのかもなと思います。
障害者のスポーツに携わるようになったのはなぜですか。
大学を卒業して、北区の神戸特別支援学校に勤め出してからです。「余暇活動」の一環で、土日に何をしたかを連絡帳に書いてもらうんですけど、毎週レンタルビデオ屋にしか行ってない自閉症の子がいたんです。もっといろんなことに触れて、刺激があればいいのにと思って親御さんに伝えたら、「行くところがないんだ!」と怒られてしまって。それで、阪神間のいろんなスポーツ施設や団体に連絡したら、9割8分のところが障害者の受入れがNGだったんです、当時は。改めて調べていくと、障害者の余暇活動を盛り上げようとしている人がなかなかいないなと。自分が楽しんでいるのに、楽しめない人がいるというのはどうなんだと思って、学校を辞め、冒険教育という分野の指導者育成を行う『JALT・69泊70日』という長野での研修に参加しました。学校を出る時に、アウトドアスポーツをもっと広めるべきと思ったので。2009年、25歳の時ですね。この研修は、いろんなアウトドアスポーツを教えてくれるんですが、だいたい1つのスキルに対して10日前後で、ハードスキルもさることながら、ソフトスキル「ここを登ったらこういう気持ちになる」といった心のプロセスを大切にするプログラムのことを教えてくれるものでした。
そのプログラムの中で、ロッククライミングにも出会い、地元に帰ってきて次の週にはクライミングジムに行って、次の日には月会員になってました(笑) 西宮のスハラクライミングジムさんです。
今まではスポーツやアウトドアの分野で自分のスキルを高めていたので、日々障害者とふれあう環境に身を置きたいなと思って、新長田で障害者の自立訓練事業をやっている『福祉事業型「専攻科」エコールKOBE』に来たことがきっかけです。エコールKOBEで働く中で、障害者の方々と動く時に、長田はめちゃくちゃあったかい町やなと思いました。外食で、注文1つ取っても「決まったら言うて~」って待ってくれるんですよ。障害のある方の中にはなかなか決められない人もいて、普通なら回転率とか考えて早くしてって雰囲気になるんですけど。そういうところを1つの性格として捉えるのを、僕たちは学んできたけどこの町の人は自然とそうなんやな、なんとおもろい町やと思いました。
そこから、もっとこの町のことを知りたいと思って、db(ダンスボックス)や地域人材支援センター(ふたば学舎)、スタヂオカタリストさんとかと何かできないかなとやってきて。エコールKOBEに7年いたんですけど、途中で『WGM』という一般社団法人を設立しました。Water Ground Mountainの略です。「水陸空」って言うじゃないですか、僕は「空」の指導はできないので、Waterが沢登りとかプールの水の指導、Groundが陸上とかサッカー、Mountain山や森、で「水陸山」です(笑) 障害者団体って、丸い名前が多いんですよね。それも良いんですけど、一般の人は入りにくいじゃないですか。だからカッコいい名前にしたろうと。さらに法人でクライミングジムを起ち上げる時は、そのWGMが入った名前にしようと思って「WAGOMU」にしました。つけてみると、伸び縮みできてみんなに合わせられるようにという意味にも乗り、気に入っています。
ダンスには対して、すごく苦手意識があったんです。体育教師になる時に、男性は武道、女性はダンスを学ぶんですが、年間2回ほど男性でもダンスの授業があって。レクとしてのダンスとかHIPHOPをやるんですが、鏡に映る自分を見て、「うん、センスない」って思って(笑) でも、長田に来てdbと関わるようになり、ダンサーの西岡樹里さんと一緒に授業や作品づくりをした時に、上手い下手ではなく今出てくるものを表現していいんだ、ということが自分の中にしっくり来てから、おもしろいと思えるようになりました。好きになったので今でもやっています。エコールKOBEでは12月に文化祭の出し物として、コンテンポラリーダンスのチームを組み、発表をしたりもしています。
支援学校の教員の時に同僚として出会いました。お互いに、将来の結婚相手に学校の教員は嫌だと思っていたのですが、冒険教育を勉強して帰ってきた後に奥さんが、「一人で富士山に登った」とか「学生の時にめっちゃキャンプしてた」という話を聞いて興味を持ち、何人かで一緒に屋久島に行ったのがきっかけだったかなあ。彼女は今も教員をしていて、結婚5年目。子供は3歳になる息子の六甲と、0歳の娘の花の2人です。「六甲」と言う名前は、2人でよく山に登っていたので、山の名前を付けたいなと思ったのですが、2人で登った山にあまりしっくりくる名前がなくて。よくデートで六甲山に登っていたので、おらが山は六甲山やな、六甲山はみんなに愛されているしな、と思って「六甲」にしました。もちろん、親には事前には伝えず(笑) やっぱり周りにはびっくりされました。
障害者のアクティビティを広めたいです。工夫すればできることは爆発的に増やせると思っています。そして、障害者も含めての皆にアウトドアの楽しさ、自然の中で遊ぶことの楽しさ、大切さを伝えたい。そして、皆自分が自然の中で何をしたいのかを感じて、どんどん発信するようになってほしい。もっと欲求してほしいと思います。一緒に悩み、実現していきたいと思っています。
若者、小学生から30代・40代くらいの人が「ここってめっちゃいいよな」と思える町にしたいですね。八百屋、魚屋、果物屋、肉屋…物価も安くて生活には困らない、けど遊び場は?と言った時に飲み屋以外なかなか出てこない。みんな三宮やら大阪へ行っちゃって、ここで完結してないんですよね。だから、ランチを食べたくなるような広大な公園とか出来てほしいですし、飲み屋以外の遊び場、アクティビティをどんどん作っていきたいと思います。
WAGOMU Climbing Gym 神戸市長田区菅原通7-41-1ゴールドウッズシューズタウンビル503
インタビュー会場はお好み焼き激戦区の中でもひと味違う!イタリアンな鉄板焼き屋さん
Teppan Rie 神戸市長田区腕塚町 3-3-2
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