本当は、近況報告をさせていただきながら、緩やかに本題に入っていくのがブログのお作法だと知りつつ、 今回はただでさえ長くなってしまいそうなので、敢えて手短に進めさせていただきます。
タイトルからお察しの通り、今回のテーマは靴ブラシです。
店頭での会話で、特にお客様の目の前で磨く「その場磨き」の最中に、お客様から職人が使っている道具についてのご質問をよく受けます。
中でも多い質問が、靴ブラシについて「3種類あるブラシのうち、どれを買えば良いですか?」というものです。
豚毛、馬毛、山羊毛、どれも靴磨きには欠かせないなので、本当は全て揃えるのがベストですが、
「自分ではあまりメンテナンスしない」という方や、「ゆっくり靴を磨く時間がない」という方も多くいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、①「メンテナンスはお店任せ」という方と、②ご自身で靴磨きをされる方、それぞれに合ったブラシの選び方・使い方を簡単に紹介させていただきます。
革靴をお持ちの方ならどなたでも、1本あると重宝する万能選手が、山羊毛ブラシです。
素肌にも使えるほどの柔らかさが最大の特徴で、実際に高級化粧用ブラシにも山羊毛がよく採用されています。
一般的に、豚毛、馬毛と比べると入手困難で、弊社オンラインストアでも、毎回真っ先に完売します。
使い方は簡単。お出かけ前やご帰宅時に、ブラシを平行に動かして、軽くブラッシングしてください。
輝きを長持ちさせることが出来ます。使用頻度にもよりますが、履く度に山羊毛でブラッシングするだけで、鏡面磨きが1.5~2倍長持ちします。
弊社ウェブサイトで靴磨きの工程を紹介しているので、そちらと照らし合わせながら読んでいただくとわかりやすいかもしれません。(下記ページ、靴磨きサービスの流れ)
https://www.twtgshoeshine.com/menu
革の表面に乗ったクリームを均し、クリームによる光沢を均一にする。
クリームを指で塗り広げた後に豚毛ブラシでブラッシングをし(この部分は豚毛ブラシの項目で)、汚れ落とし用の布で余分なクリームを拭き取った後
水を2滴ほど山羊毛ブラシに馴染ませ、強めにブラッシングしてください。
鏡面仕上げをしている部分としていない部分の境目をぼかす。
ワックスを指で塗り込み、磨き用布で塗り広げた後に使います。水を2滴ほど山羊毛ブラシに馴染ませていただき、ワックスの油分を全体に広げるような感覚で、強めにブラッシングしてください。
※山羊毛ブラシは、豚毛ブラシのように色ごとに使い分ける必要はありませんが、濃い色味の靴に何度も使ったブラシを薄い色味のものに使うと、色が暗く仕上がる可能性があります。濃い色味と薄い色味での使い分けをお勧めします。
デイリーケアに使う方法もありますが、鏡面磨きを施した靴や、 革質や革の状態によっては、馬毛ブラシを使うと艶が曇ってしまう場合があるので、今回は割愛し、別の機会に紹介いたします。
ただし、スエード靴には有効的にご利用いただけます。
毛並みに沿って、手首にスナップを効かせて掻き出すようにブラッシングしてください。
馬毛ブラシに関しては、クリームのみで仕上げる場合も鏡面磨きの場合も同じです。
埃を掃う。コバ周りは特に埃が溜まりやすいですが、馬毛ならそういった細部の埃も落とすことが出来ます。
ブラシを平行に動かして、靴全体を掃うように軽くブラッシングしてください。
コバと羽根の内側は、手首にスナップを効かせて掻き出すようにブラッシングしてください。
適度な弾力が特徴。山羊毛、馬毛と比べると、固いです。
豚毛は磨きの工程以外で使うことは無い、と考えていただいて問題ないかと思います。
豚毛ブラシにつきましても、クリームのみで仕上げる場合と鏡面磨きの場合で違いはありません。
豚毛で均一に伸ばすように強くブラッシングすることで、クリームが革に浸透します。
磨きの中盤。馬毛ブラシで塵を掃い、クリーナーで汚れを落とし、指でクリームを靴全体に塗り広げた後(ウェブサイトでは工程⑨)
クリームを浸透させるため、押し込むように力強く、ブラシを平行に動かしてブラッシングしてください。皺の入っている部分を重点的にすると、ひび割れの予防になります。
※豚毛ブラシは、クリームの色ごとに使い分ける必要があります。(例)黒のクリームが付着したブラシでライトブラウンの靴をブラッシングすると、色移りしてしまいます。
冒頭でも書きましたが、ブラシについては頻繁にお客様からご質問をいただくので、いつか纏めたいと思っておりました。わかり易く解説できていれば幸いです。
野球選手がグローブを、料理人が包丁を、書道家が筆を選ぶように(大口を叩いてしまいましたが)私も靴磨きのプロとして、ブラシに拘りを持っています。
お気に入りの道具はモチベーションを上げてくれますし、何より、靴磨きをより楽しいものにしてくれます。
皆さまも、ご自身にとって理想の靴ブラシを探されてみてはいかがでしょうか。