“飲食店”が対象加盟店の中心となる全東信だが、実際にはその大部分(7~8割程度とも言われる)は広義の意味での夜職、水商売、風営法に絡んだ業態(※風営法1号)だったとされる。
そのルーツは1987年に設立された「大阪南飲食事業協同組合」で、大阪ミナミの歓楽街にあった飲食店や風俗店の経営者らの相互扶助を目的としており、90年代に入って米American Expressをはじめとする国際ブランドとの提携でクレジットカードの取り扱いを開始する。99年には名前を「全東信飲食事業協同組合」に変更し、ここで「全東信」ブランドを掲げて全国展開をスタートすることになる。
そんな全東信だが、全国展開にあたって基礎となったのは歓楽街における店舗ごとのつながりだ。一般に水商売や深夜営業の飲食店はカード加盟店の審査が通りにくく、加えて入れ替わりの激しい飲食を含む業態において、開業間もない店舗は実績となるものがないため審査もシビアになりがちだ。
ゆえに「全東信だったら審査を通してくれる」という口コミが広がり、「水商売や飲食店の最後の駆け込み寺」としての評価を得ることで、決済代行業者(PSP:Payment Service Provider)としては全国でも大手の地位に押し上げることになった。
他方でこの加盟店審査が今回の破産にいたる死角になった側面がある。特に風営法にかかる業態や酒類を提供する飲食店において、いわゆる「ボッタクリ」や「泥酔中の注文で覚えていない」といったトラブルが多発するため、後の返金トラブル(決済用語で『チャージバック』)につながりやすい。
チャージバックは本来、カード利用者からカード会社を介して最終的に加盟店に入金される売上金をカード利用者に返金する仕組みで、こういったリスクは加盟店を抱える全東信がある程度受け持つことになる。もともと水商売の加盟店審査が厳しい理由の1つがこのチャージバックにあるわけだが、それも踏まえて「駆け込み寺」となっていたのは、全東信がそれだけリスクを内包していたことに他ならない。