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どうぶつえんvol.18 後記
2025年7月21日(祝月) 場所:代々木公園
発表者:
中村梓希(アート) 齋藤直紀(建築) 阿部優哉(大正美術研究) 青柳潤(ダンス) 稲田栞里(宇宙研究) 美秋(Meerkat) 佐藤海(編集的) Aokid(企画、どうぶつえん)
記録:石原新一郎(写真) 記録映像:Aokid、美秋、青柳潤 2016年に代々木公園で始まった”どうぶつえん”も18回目となりました。始めた当初は模索しながら大体3回目くらいで今の形となり、その当時は今と違った勢いを持っていたが、最近は1年に一回程度の開催に留まっている。しかし実施すればいつも手応えがあり、今回も充実した1日となりました。 海の日の開催というのもあり、代々木公園にはむせかえるくらいの人がいるのでは、と想像していたが噴水のあった場所を中心に大部分を工事しているためか、あるいは暑すぎるためか公園にはいつもより全然人がいなかった。 この日は発表者を除いて10人ほどのお客さんが集まってくれた。
最初、どうぶつえん全体の概要を説明する段階で発表者の稲田さんにより、ビニール袋を1人ずつにお渡ししていき、その袋の中に公園の地面などからそれぞれ何かを拾い集めて、最後にそれを並べて見ていく、という事前の説明があった。 さて暑い代々木公園の中へ、中へ、と出発進行。いつもであれば進行は大体僕が行うが、今回はとある目的のため僕の先には齋藤さんの体がある。 “オリンピック記念宿舎”のあった場所の前を通り、左側へ折れていくと夏に咲く花たちがやや枯れた状態で色とりどりに道を彩る。少し抜けていくと右手には人間2人分の銅像、左手にはケッツァコアトル像。この像はメキシコからのプレゼントだそうだが、数年前のどうぶつえんではこの象の周りには仕切りなどはなかったのだけど今は登れないように柵がある。 その横の茶色と緑の境目の地面の上でこの日、初めての発表としてワークショップを行った。 体の呼吸による身体の浮き沈み、伸び縮みや、体を揺らした後に止まることで感じられる静寂や呼吸くらいのささやかな動きみたいなことを確認するようなことから始まって自分の体のエクササイズからだんだんと人を交えながらの掛け合いになっていく。小さな丸い人の輪からぞれぞれに遠ざかり、その離れたところから互いに指を指し合い、向けることやそれを受け取る体になり手を繋ぎ、そして最後は1人一本の木との掛け合い。関係を作るためのダンス、また体を起こしていくエクササイズ。それらが不可分に存在している。 それを終え、一瞬コンクリートの床を横断しさらに広い森の中へと入っていく。 やがて緑の原っぱのところで、阿部優哉さんによるトークを行った。普段は大学院生として大正時代の美術を研究対象とする彼は今回、尾竹竹坡という作家を紹介した。過去に珍しく行われた展覧会の図録とコピー用紙に少し拡大した3点の作品画像。それだけを頼りに話をしていく。 Aokidによって楕円形に切り取られたブルーシートの上に各々座ったり立ったりしながら、資料を片手に持つ彼の話に相槌を入れながら話に聞き入る。 時折、客席の方から質問などが出ながら止まらない話が、竹坡の様々な分野へと分散していくエネルギーのごとく駆け巡っていく。一人の物故作家でありながらも、そこで話されることは現代をも挑発するかのごとく。 選ばれた3点の絵画は発表者に宇宙を研究している稲田さんがいることへの意識もあったと言う。それらの作品は日本画の掛け軸として長方形に広がる。その高さは空への想像を可能にする。またここ最近見つけたと言われる、彼が描いた蜂、ダンス、のような作品があり、バタバタ動かされているであろう手足、彼の描いたそれぞれの絵や当時の演劇への取り組みなど、全てそれらはどうぶつえんへのフィードバックでもあるように感じられる。この原っぱで話していると木に囲まれていて、どうしても木に目を移さずにはいられないしその先には空が広がっていると感じ、まさに縦の世界にいることも自然に確認しているような心地がする。 地面にプリントを置いて眺めた時、本来日本画は地面に向かって描かれるので、そういった見方が試せて良かった、と阿部くん。
そこからもう少し進んだところで今度は青柳潤くんの発表。 2本の木の間、だいぶ片方の枝が垂れ下がっていて木陰になっていてそれで太陽が間に射し、見える場所。微妙に曖昧で、それでいてはっきりしているスペース。観客席は反対側の木陰から陽の中にひょこっと体を傾けて潤くんの体を眺める。少し、少しと動く体。帽子や手袋、マスクなどで肌を隠し太陽を受け取るというよりは遮断した体が少しずつ風に揺れるようにも見え、踊りがほんのり見えてくる。少し集中して見ていく時間が経って、彼の掛け声で一時的な休憩を挟んだ。 みんなに水がコップで配られる。その動作もどこか身体的な負荷を自ら意図的に起こしているような強さも時折、発生していると見受けられる。 そして水を飲んだりしながら再び元の場所へいき、今度は頭にペットボトルを縦にさし、こぼれないようにする。頭の上にペットボトルの透明の塊と揺れる水が太陽を二重に反射し美しい。この頭の上のペットボトルの水がこぼれると、こぼれた分を別の小さなペットボトルから給水し、再び取り組む。今度はうまくいったようで(何が)、ゆっくりとその頭ごと立ち上がる。顔の輪郭から顎を伝って落ちる水滴が美しい。この先の展開を想像できない。どっちにいくのか。今度は原稿用紙をリュックに取りに戻り、それをまたアクションの中で一枚ずつ引きちぎっていく。風に揺られたりすぐ地面にいったり、その動作にダンスを見たり。そしてその紙の上に立ち上がっていく、さっきは体が隠れていたのに脱いで行った身体が水に透けて見える。でも人間的な水を裸に被った時のいやらしさというより、体を途中で通過しつつも植物や地面に水を返すようなイメージがある。風で紙が飛んでいくのもある。水でくしゃくしゃなのもある。ペットボトルの水がこぼれ切り、少し体が踊っていく。何度も繰り返される座った状態での膝の反復による立て直し。体を流れ落ちる水滴と、風に揺れる地面の紙が、そこに起きているスケールの違う現象を表していくようなパフォーマンスに見えた。 片付けをしながら今度は中村梓希さんの発表。 さっきから中村さんと青柳くんは緊張していた様子。 そして潤くんの発表の後に残った紙などを集めたり片付けをする一方で、ブルーシートの端っこで風船を膨らましながら中村さんの発表が始まりました。
緊張しているということが最初の段階でこれからやることと一緒に話され、みんなでなるべくそれをサポートしてもらいながら進んでいきます。ということで、さっきまでじわじわとなんとか2つ膨らませておいた風船でしたが、萎んでいる風船の方をそれぞれに配ると次々と率先して1人一個という感じに楽しそうに膨らませていく光景がありました。 そしてそこで話されるのはこれから風船を手で叩いて飛ばす時、「最近のモヤモヤ」をその叩いた時に声にして発することでそのモヤモヤを外に出すというものでした。 最初、説明されたもののモヤモヤを人の面前に出すのは一種のハードルを感じていましたが、中村さんが自分の例を話す中で、その言い回しの中に彼女のリアリティみたいなものが感じられて、それがぐっと聞いている人の心を引っ張るような感じがヒントとなり、自分の中のモヤモヤを探すように逡巡が始まりました。 そして風船の用意が整い、風船が空に風を受けながら放たれます。中村さんの方からたとえば、職場の給料を上げて〜!とか、もっと女性の生きやすい社会を〜!とか放たれる中で、自分にとっての直近のリアリティとしては、、、このどうぶつえんvol18にあと5人くらいのお客さんが集まってほしかった〜、というようにしていくつかの声が上がっていきました。 しかし中々沈黙の時間も多く、ただ風船を空で眺めたり打ち返したり、遠くへ風で流れる風船を追う時間も多くなります。 けれど、沈黙の中で風船を待ちながら体の中でそれぞれのモヤモヤを探すような、まさにモヤモヤの時間が体に生成されるように広がっていったのではと推測します。 だんだんと地面に落ちた風船が割れ、タイムリミットに向かいつつ、中々つぶれないので針のように尖ったもので風船を恣意的に割っていき、それで発表は終了となりました。 パフォーマンスかワークショップの発表で迷ったという中村さんですが今回は協力的そうな観客たちの中でのワークショップを選択した、ということです。 今度は再び、潤くんがさっきパフォーマンスしていた日差しの入るスペースの方で、布を広げ、その上に新聞紙を広げ丸く大きなスイカを、先ほどまでの移動の際ずっとその重いスイカを抱えた赤い布のドレスを着た美秋さんのアイディアでスイカ割りの準備になりました。 一応、スイカを人に持ってもらってスイカを水洗いします。
そして再びスイカを真ん中に置いて、稲田さんのワークとしてそれぞれが広い集めていた物の中から大きくて長い木の棒を、スイカを割るために使います。
潤くんのパフォーマンスで出た余分の黒いゴミ袋を頭にかぶって正面が見えないようにし、木の棒を持った状態でぐるぐるとまず一周させて周りからスイカに向かってのディレクションを口々に言い、それを頼りにスイカに向かって進んでいき、止まり、木の棒を振り下ろします。
一発目からうまくまっすぐにヒビが入りました! 次の人もそれに続いてヒビが入り、3人目は観客で来ていた羽鳥さんが振り下ろしたそれで一定以上割れたのでそこからは包丁を使ってきれいに切り分けていきます。大きなスイカの片割れをそれぞれ手にしてみんなでびしょびしょとスイカを頬張っていきました。 みんな美味しそうにワイルドに食べています。 いくらか残った分もおかわりしようと隣を見ると向こうには中国語を交わしながら遊びに興じるグループがあり、彼らにスイカ食べるか聞いてみようと美秋さんと僕で聞きにいきました。 カタコトの日本語で頷き、それで改めて彼らにスイカをあげることになりました。大きかった片割れを包丁で人数分に切り分けます。彼らは中国人のグループだそうで出身も四川や上海とバラバラです。喜んでスイカを受け取るとすぐにミニトマトやミニみかん、バナナを交換にと、くれました。それを僕らも喜んで分け、食べていました。少し運動もしたあとだったし暑かったのでフルーツの健康的な甘さやすっぱさが身に染みたようです。 思わず様々なアイディアが浮かんで交換されるようなとてもダイレクトに届くようなパフォーマンスとなりました。 ちなみに新聞紙には前日に行われた衆議院選挙の候補者たちの乗った新聞紙が、スイカ(パレスチナ)割りに使われてしまったというのは計らずも意図していなかったけどと本人から弁明されていた一方で、事前に聞いていたアイディア候補の一つとして、このどうぶつえん集団とは別の外側で外国から来たであろう観光客にインタビューし続けるという美秋さんのアイディアが話されていたところでのこういったコミュニケーション系のアクションが起きていきました。
いつもであれば噴水のあったスペースが工事で見えなくなっていて、そこを左にしてぐーっとまっすぐ進んで行ったところにトイレがあり、そこに寄ってから再び道に戻って藪の方へと進んでいきます。その途中、僕はもう一度今度はパフォーマンスをしました。 その土の地面の箇所で拾った大きな木の棒を振り翳し、集団をサインで誘導しながら即興的に大きな楕円を地面に描いたり、いっせいのせで横一列になり正面に向かって歩き出したり、あるいは再び円のような形をとってもらったりしながらそのその中でのパフォーマンスを展開していきます。
途中、裸足になって小さな円を囲んでいる中で地面を木の棒を横に倒してそれで何度かスライドさせると段々と落ち葉の塊が片方に寄せられそれが盛り上がっていくと同時に削られて地肌が見え、そこにいたミミズたちがのたうち回って出てきました。 偶然の出来事に思わず、ミミズたちに謝りながらもパフォーマンスを続け最終的にはギターで歌っているパートにたどり着きます。 集まったり何かを見せたり相談や解放などが一連に見えるような何かが出来ないかと始めたパフォーマンスでした。 開始からすでに3時間経って参加者の疲れが見えてくる中で、歩いていった先に飛行機の記念碑が見えてきます。人気のない公園の端っこですが、外国風の家族が日向ぼっこをしているのが向こうに見えます。また近くの茂みから覗いて見える2つの銅像が立っています。 齋藤さんが3枚つづりのプリントをそれぞれに配り、解説を始めます。
実は今まで時間をかけて歩いてきた公園のルートは楕円のような形をしていました。もちろん公園が工事中というのもあり、徹底して進むことは難しかったにせよ、なんとなく進んできたルート。 それはかつてここ代々木公園は飛行演習場で日本で初めて飛行機が飛んだ場所であり、そして歩いてきたのはまさに飛行機が飛ぶ際に用いたルートの上、ということでした。 それはもう今から100年ほど前の話で、プリントにはそれからのそれ以降の様々な公園の活用の変化が載っていました。たとえば90年代のブレイクダンサーたち、、など。
そういった歴史や銅像として横に建てられた2人のパイロットについても語られました。 そして解説を終えた後、改めてその石碑として広がるコンクリートの上に登って立ち石碑ごと観察をそれぞれ行います。この傾斜を持った像が実は体の途中部分から角度が違っているという指摘を齋藤さんがされていました。 基本的にはいつもどうぶつえんを進める際、僕が先頭になって歩いてきましたが今回は齋藤さんが先頭に立ち、それがこの飛行機の石碑に向かっての線を描いていきました。
このルートも辿ったので、一同は出口を目指して歩いていきます。その途中、歩いていると集中して蟻たちが集まっている地面や、YouTuberか何か自撮りしながら配信する人などとすれ違ったりしていきました。 ほとんど出口に近い広場で稲田さんの発表。 入り口で配られた後、公園の中の様々なものをそれぞれに拾い集めて入れたビニール袋の中身を確認してもらい、いよいよだだっ広い公園のその地面にそれぞれの拾ったものを分類しながら分け置いていく。 木の枝はこの辺、石はこの辺、ガラスはこっち、プラスチックはこっち、虫の抜け殻は、番号の書かれた紙片は、、地面にさっきまで散在していたそれらが改めて地面に並べられていく。それはどこかマッピングみたいに地面に別の星のルールを伴っているかのような予感を片隅に見せるような感じがある。 あまり口で互いに言い合って綿密に分けたりはせずになんとなしにまとまっていったそれら。
そしてその後、この中に”ヒト”を置くとしたらどこに置けるか、思いついた人はやってみて、と数人が自分の場所を配置していく。 ある人は人工物の近く、ある人は並べられたものから距離をとった場所、またある人は絶妙なポイントに立つ。理由を聞いていく。 そしてその後、改めて並んだそれらを稲田さんの解説で少しいじってみる。たとえばガラスは人工物だけど元々は石に近いということで石の近くへ、アルミも石の近く、みたいな感じ。 石などによってこの地球などの最初が形成されるとも言える?と思うけど。 まさに稲田さんの研究はそういったこの石などの由来を読み解いていくことなどにもあり、公園を構成する要素の由来を改めて考え直す経緯としてのワークが行われた。
その結果、公園というマップの上に新たに二重のマップが敷かれるよう分類が行われ、最終的にはそこにどのように人間が置かれるか、という部分はどこかライブ感のある選択のようにも思われるものでした。
このどうぶつえんの時間を通してメモをとり続けていた佐藤海さん。今度はそれと別に最初にも見せてくれた大きなページの見開きの本をブルーシートに長々と横いっぱいに広げます。
みんなにも今日起きた印象的なことや何かを書いてもらうことで本を作るという。
それぞれ順番に地面に伏せる形で様々な色のペンで今日起きたことを絵や文章にしていきます。
あるいはテープで何か貼ったり。僕は小さなポケットのZINEの数ページも担当。
阿部さんや齋藤さんが持ってきた資料も挟んでいきます。そして、阿部さんが発表の際に紹介していた資料とそれを持つ彼をイラストにしたりもしました。
佐藤海さんがたくさん集めていたメモたちの内容も気になります。 この一連の流れを通じて、たとえば今日一日の中で体を一緒に動かしたり、授業のように話を聞いて絵を考察したり、パフォーマンスを見たり、パフォーマンスに参加したり、スイカを食べそれを知らない人と交換し合ったり、記念碑を見て歴史に思いを馳せたり、そして代々木公園をマクロの視点で観察したり、起きたことをホームワークみたいに絵やテキストに起こしたり、とにかく遊び尽くすような時間が過ぎていきました。中には膝が悪く、なかなか座るのが難しい中それでも工夫しながら参加し続けてくれた方や、なにしろ暑さが気になったので互いに塩分や水分を気にしながらチームワークで進んでいきました。今日のこのメンバーたちは特によく歩きながら話しているという印象を受けました。
時計は19時前とかになっていたと思います。もうほとんど5時間です、、、
とにかくお疲れ様でした。
その後は場所を移動して少しストリートビールをしながら話の続きをしました。
この日は公園も工事だからなのか、暑いからなのか、出歩いている人は少ない中での開催となりました。
あらためてご参加いただきありがとうございました。 2025年8月7日 Aokid
どうぶつえんvol.18 photo by ShinichiroIshihara
どうぶつえんvol.18 photo by ShinichiroIshihara
どうぶつえんvol.18 photo by ShinichiroIshihara
「どうぶつえんvol.18」
開催日時: 2025年7月21日(月)
出発時間と集合場所: 14時に代々木公園原宿門入ったところのトイレと売店の間あたりに集合してください。その集合後出発します。トイレを済まし、飲み物などを持ち、準備完了しましたら行きましょう!この日は暑くなると思います。帽子や水分、タオル、あるいは虫除けスプレーなど熱中症対策などをしながら当日はお越しください。
参加費¥: チップ制 (この日のアーティストフィーになります、こっそり僕の指定するポケットまでカンパをお願いします)
Aokidコメント: 今年は2、3回は開催したい!という気持ちの今年最初のラインナップはフレッシュさもある面々です。おそらく雨はないと思うのですが、雨の場合も集合時間には集まっていただけると形を変容させた中での何かしらの開催をとりたいと思います。 また夏の暑さど真ん中となるとも思いますので水分を適宜とり、気分が悪くなったりしたら僕や出演者までお声がけください。終わった後に残った人でそのまま公園で打ち上げをする予定です。ぜひこちらも気軽にご参加ください。出演者はもう少し増える予定です。お楽しみに。
発表者: 中村梓希(アート) 齋藤直紀(建築) 阿部優哉(大正美術研究) 青柳潤(ダンス) 稲田栞里(宇宙研究) 美秋(Meerkat) 佐藤海(編集的) Aokid(どうぶつえん) 撮影:石原新一郎
写真/Photo 宮川知宙/TomohiroMiyakawa
写真/Photo 宮川知宙/TomohiroMiyakawa
写真/Photo by 宮川知宙/TomohiroMiyakawa
どうぶつえんvol.17 後記
2016年に始まった“どうぶつえん”と名付けられたこのイベントは、主催者のAokidが声をかけた発表者と告知を見て集まった参加者の人たちが昼下がりの公園の中を移動しながらそれらの発表などを見、体験していく。 当時は中々発表の場がなくお金もない、けれど時間やアイディアはあって、また閉塞的な状況に対して分野を越えたアーティスト間の交流のようものの必要性を日々感じていた。 そんな中、都市の中にある大きな公園であれば交流と発表を同時に行えるイメージが浮かんだ。 それから8年が経過し、コロナ禍やオリンピック、現在も進行中の公園の工事といった様々な変化をこのイベントの定点観測として感じられる。 、、、 公園にやってきて、まず遊ぶ人たちを眺めながらその日起こることを簡単に想像する。 想像しているうちに別の発表者たちが合流して来て少しずつ集合場所に集まってくる。 打ち合わせを発表者間でしながら観覧希望者も集まってきて、誰が参加者で誰が部外者かわからない感じが発生。このイベントの見慣れた景色の一つ。 出発時点では10人を切るくらいの参加希望者が、会を進めていくうちに抜けたり入ったりしながらも30人くらいになった。 初めて参加する発表者も多かった。 PIDAN 公園の音を記録しなさい、 金川普吾 自分についての説明 平野遥 別で展開される緑のロープの展開するスペース→平野さんが書いてくれた記事 萩原雄太 連帯という文字を象形文字へ戻し、そこに書かれたアクションを組み立て直すことから始める 木原萌花 互いの”真ん中”を探しあてる 小西善仁 時間を溶かす、上演 荒井優作 “どうぶつえん”のまた外に開く 山村佑理 ジャグリングの白いボール Aokid
、、、、、
“もしかしたら後日” 木の幹に小さなサイコロの群れが塊となって集まっていて、それは蟻とかみたいでなくて数えられる黒い点と赤い点の総数がその小さな面に刻まれてるのが複数あり、何か別の概念が植物に植え付けられるそんな感じがした。 (それはここでこのタイミングだけで集まった人や周囲にいた人にもたらされる経験ではなく、明日とかそれ以降とかにたまたま公園に訪れた誰かがもしかしたら遭遇するかもしれない。それをこのどうぶつえんの最中に行っている人が、いた。それがたぶんこの日は荒井さんだったんだ。 しかも僕は主催者でありながらその行為をほとんどは見逃していて、終わりに近づいたタイミングで気づくことが出来たのだった。) 、、、、、
どうぶつえん、は大体始まってから最初はみんなで歩いている時間が長くあるがこの日もその最初の時間は長く、その時間、本当にただ集団で歩いているような時間が流れていった。
“向こうの花”
観覧者の1人みやじさんが「向こうに花が咲いているよ」といって先端を歩いていた私たちはどんなだろう、と赤い花を咲かせている木に近づいていった。 木を見上げることが多く、また、虫の声が木の上から聞こえてこない?と言うので耳を木の上方に向けると実際に上から聞こえてくる。 ここでPIDANさんの指示した”音の記録”をしようと向こうからツクツクボウシのような鳴き声があり、観覧者の1人海ちゃんと発表者の荒井さんが半分黄昏ているように見えたそこにカメラを向けた。この写真を見返すことでこの時の音も思い出せる、とそう思った。 “「気づくと緑色のロープが巡り張っている。」” PIDANさんの指示を受け、木の音を記録しようとそこで黄昏る2人の写真を撮った後におこなったパフォーマンスの最中、気づくと自分の行為に集中していた目線が地面に線をひくように伸びたロープに出会い、一瞬思考が惑ってすぐに戻るということがあった。 そのようにして様々なタイミングで”スペース”という言葉を頼りに出発したこの緑のロープのアイディアがそこに採用してもしなくてもO.Kとさえ感じさせる存在感で、配慮からくるのか”緑”という公園に擬態した色がどうにもこうにもにょろにょろ~、くっくっくっとそこに存在していくのであった。 終わった後、とても充実した顔でいた平野さんは僕などが一瞬目に入れた時に遭遇してとるリアクション以上の何かを施策者としてこのささやかなアクションの中で会得していたのかもしれない。
“木の持つ上空と地面の持つ低地” 移動の中で短いパフォーマンスを何度か行う、と宣誓した山村くん。最初のポイントはケッツァコアトル象の近くでヨガの集まりをしている人たちの近くで。今度はさっき、木の上から虫の鳴き声が聞こえると集まった場所で。その前に一度、木の上の音を録音しようとボールに携帯をテープで巻き付けて上空に投げ録ろうとしていた。 高く伸びた木と少し抜けた空を見上げれるそのスペースで短くジャグリングのパフォーマンスを行った。 前日の雨で少し湿ってもいたその地点、ボールが上がってはツカッという音で手のキャッチとなり、ボトッという音で地面に落ちた。 続いてその様子を見ていて聴いていてそこが静かだとわかったのでギターを取り出し僕はパフォーマンスを行い始めた。 座り始めた人の間を縫うように歩く靴の音とギターの音で奏でていきます微かな音を。 で、そのあとは木をちぎったり、ブレイクダンスのスカッと身体を切ったり折りたたんだるする音、で構成し、最後は蛇足かもしれないけど歌を歌った。どうぶつえんの歌は2016年に即興で歌った曲だった。あの頃の勢い(はないが)を冷凍保存した。 “車輪と地面” 参加者の1人の車椅子を押すのは発表者の小西くんだったり鑑賞者の風くんだったり、また名前の知らない人だったり変わっていく。ちょっと車輪が通りにくいところもそのようにしてクリアしていく。 “ぐるぐるする言語” みんなで少しずつ広場の方に行くとたくさんの人たちがグループを作ってただその広場を満喫していた。 何度も見てきたこの流れからの光景に以前よりもそれ自体には慣れていった。 ブルーシートをそこで広げて金川さんの発表は自分についての説明をするというものだった。かねてより自分のことを説明したい、というような回りくねった感じのするアイディアについてこの機会にやりたいという話は聞いていた。 さて、いざ話が始まる。みんなが腰を落として正面に金川さんが、隣に鑑賞者として来ていた渋革まろんさんが座る。まろんさんに話をするのではなく、自分語りのような形で話をする。ジュディスバトラーの本を脇に沿えて。ぐるぐると話を進める。 話が積み上がってはくというよりも、言い方を変えたり、言い淀んだり、話が飛んだり、でもまるで体の中に血が巡るようにぐるぐると巡っているというのはなんとなくわかる。途中、聞いている方が疲れてくるから途中で飛んできた大量のトンボ、を指に止まらせようと複数の人が指を差し出すのがかわいかった。場所を変える人、木に登る人、ぬいぐるみで遊ぶ人、そのタイミングで合流する人。それでも金川さんの話は巡っている。し、気になって耳も目も向ける。 途中、まろんさんを見て話をしそうになった自分を反省し再び意識を自分の方に向けて話す金川さん。 20分を経過し、今度は質問をとってみる。観客として参加していた中国から留学で来ている周くんが「話にはまとめやポイントと呼ばれるところがあるが今回のそれはなんですか?」と聞いた。 僕はむしろその質問を聞いてこれは”日本語(この場合は)、言語を巡る話なのでは”と思った。これはアイデンティティの話であり、それを構築するために使用する言語がぐるぐるし形を変えながら、そのパターンの微妙な違いから再び思考へとフィードバックしていくやりとりのようだ、という風なことを思いました。 もう一回後で話をしたいという風に言って、みんなは笑ってトイレ休憩となりました。
、、、、
15時半過ぎに合流となった木原さんだったが、彼女のダンサーとしての姿勢の軽やかさみたいなものが一緒に連れてこられていると感じた。軽やかな服装というのもあったかもしれないのだけど。踊ってはいないのだけども身のこなしのようなもの?
、、、、 “草っ原をか弱く走る車輪” 金川さんのトークが25分ほど続いたあと、トイレ休憩を挟みつつ萩原雄太さんがぐーっと伸びをしていて、なんかみんな伸びをしたい感じだよ、とストレッチをお願いされる。意外に僕の体はその凝った体で次に行くのを待っていたのだけど数名からの要請があったので本日2回目のストレッチを5分ほど設ける。 少しそれで上空に向かって身体は伸びあがってその後おもむろに萩原さんが喋り始める。 連帯が苦手だ、しかし連帯についてをやろうとしていて、じゃあ連帯という文字の成り立ちに戻り取り組むことなら出来ないか、というようなアイディアだったと思う。 持って来たプリントには”連帯”の文字を象形文字に戻し、成り立ちを図で説明し書かれている。 それを確認し、腰に帯が撒かれていて、車を引っ張っている形を自分たちの身体で代替してやってみたいと思う、やってみたい人?と聞き数人が名乗り上げて、まずは帯の代わりにビニールテープを腰に巻き付けていった。今度は車らしいものとして家で見つけたのがローラーということで、それを紐に結びつけた、笑える感じの弱々しい”連帯”の始まりが見えた。 そして何よりも大事である何のための連帯か。 これは現在、イスラエルによる侵略を受け続けるパレスチナに対しての連帯を見出したいということで今度行う予定だというモノローグによって構成されるガザモノローグを進行中に萩原さんが読むので、それを半分聞きながら前に進んでほしい、という演出が伝えられ、向こうに指された木に向けて一向は動き出した。 一向の進む足取りは、他の公園の”連中”よりも自信がなんともなさげで足はぐらついていて、でも重心を前に投げ出そうと1人ずつの進もう、が垣間見えるし、一方でコロコロとついてくるローラーの車輪は小さなかわいい犬みたいに弱々しくかわいい。
“白 白 白 白 白 白 白 白 白 投げる、” 途中、一行が公園の中心にあたる広場にやってくると向こうでは僕らと同じように何かイベント的に集まり遊んでいるグループや外国人観光客や、少人数ピクニック、恋人たちなど様々な過ごし方がすでにそこに溢れていて、端っこの方でさっきまで萩原さんの発表などをしていた私たちはほんの少しの違和感を持った集団へ向けられる視線も多少感じながら真ん中の真ん中のスペースへ近づいていったが、すでにこの時点でここにふさわしいパフォーマンスを用意して来た人が思い当たらず、何度か発表を重ねている山村くんに相談し、もう一つやってもらうことに。 今回もやはり短めのパフォーマンス。 集団が1列、2列、3列みたいな感じの横並びの列の先に1人、山村くんの背と坊主頭があり、空に向かってボールを投げるとちょうどその並んだ背中たち越しの空にボールが上がっているように見えて、ボールを見ている人たちも視界の中に映るのが美しかった。 その後、たくさん持って来たボールをみんなに渡し、ワークショップが始まった。 身体の部位にボールを乗せると押される感じがあり、それを押し返すことでボールがそこに乗っている状態が生まれる。そのまま少しストップし、周りを見渡すと少し劇的な別の景色が生まれていた。 あともう一つやったのが空に向かって一斉にボールを投げるというもの。 一斉に上に向かって投げるが、投げたボールをキャッチもしなければ他の人が投げたボールにもぶつからないように避けるというルールのもと一斉に上空に向けてボールが投げられた。 「いっせいのせ!」で投げたボールが空に上がって落ちてくるまでの時間は変え難い経験として刻まれた。つしか投げていないはずのボールが上空を見上げると一瞬にしてたくさんになっており、遮ることは何もなくて純粋に放ったものたちを見る時間がそこに存在し、自分が投げたものを判別することがその時間内でし切ることはなく、浴びるように地面に落ちるのを受ける経験。 は、あまりにも自身の何かの欲望を満たすような感じがあった。 、、、、、、、
“真正面に立つことと割ること” ダンサーの木原さんのワークショップは簡潔でシンプルな中に様々な判断を入れれるところがユニークでとても広がりがあると思うものだった。 それは2人の人が正面向きで互いに立ち会って、片方から見える”真ん中”を言い当て、もう1人がそれに対して正面であれはO.Kを出すというもの。 言い当てる際に、体でちゃんと真ん中を調整しながら探すのがどことなくダンス。 しかしフィジカルでクリアしたつもりが、もう少し念みたいなもので探しあてる必要も出てきたりする。 また相手を変えながらやっていくとその都度、その人に対して合わせていく分、自分の体も変形していく感じがある。 同じ真ん中を探しているのだけど、みんなの全体が微妙に違う差が面白いんだと思う。 10分に満たないくらいだったけどもう少し続けても面白くなりそう、
“溶け出した時間はみどりいろに” 17時。あたりは暗くなり始めていて「時間を溶かす」をテーマに掲げていた小西くん。 説明ではこれから時間を溶かすというのをやっていくがすでに溶けている感じもある、と話されていてまさしく、確かにいつのまにかどうぶつえんで過ごした時間は溶け出していて、それによって公園の色も変わっていっているように感じられる時間帯だった。 夕日の色から濃いエメラルドグリーンに。 一本の中途半端な高さで美しい木がたつそこに猫のキャラクターのぬいぐるみと椅子の場所を調整するところから演劇が始まった。 金川さんとは違って、この話は身振りも交えながらフィジカルにも展開される時空間だというのがなんとなくわかって進んでいく。 チェルフィッチュの初期を思わせるような揺らつき。 この演劇というか一方のささやかではあるが、向こうが一方で決められた手順を踏みながら話しているということをなぜか観客としても理解出来、それが改めてこうして時間を経過していくとやはり金川さんの話を聞くのとは全く違う時間が流れる。それはおそらくあのジャグリングとも違う時間だった。だから木と人形と小西くんを中心としながらもその周辺の雰囲気のことがやけに印象に色とともに時間の推移の中で静かに動いていることとして残った。
、、、、、、、
もう終わりかなぁということで17時半くらいとなってみんなで最初のスタート地点とかの方に歩きながら戻っていく。集団で歩く。そのちょっと前に出発する前に、あのサイコロの塊をたまたま見たのだった。帰りながら荒井さんに話を聞くと、やはり今この時間に参加者全員への共有というよりは”明日”とか”どこか”でそれを見つける人に向けての、ということだった。それを聞いてどこか、今日じゃないこの場所のことが想像されながら、歩き、戻っていった。 さて、
“「録音しなさい。」年をとる都市の音” PIDANさんは写真専門学校で僕の身体表現の授業を受講していて、授業ではナラティブなパフォーマンスを紹介していて、それから2年経過しその時よりももう少し渇いたアイデァアに様変わっているように感じられた。 “録音しなさい~”といった強めの語気を含むタイトルだがそれはいわゆる録音に限定していない。 年をとることと、都市をかけていたんだと思うが、確かにさっきしていた音と今している音は時間の中で過去と未来だが、それはほんとに年をとった、という概念にあたるのか。 PIDANはそうか、ピータン、黒い卵という意味なのか。 イベントの後半の終わり部分としてブルーシートの上にみんなで集めた録音や資料を広げて見せ合った。あたりは暗かったのでライトで照らしながら。するとみやじさんが言っていたように、今度は暗くなった公園で林の中では虫の音がたくさん聞こえてきて、人間の声よりも虫たちにとってメインの場所だというのがわかる。ある人は写真で、ある人は聞こえた音を頼りにドローイングとして抽象的な記録、ある人は録音を聞かせてくれて、僕は写真から聞こえた音を思い出す形で撮った写真を見せた。 、、、、 終わってみると多く感想をもらうが、言葉を紡ぐ、聞くということを言っている人が結構いた。 、、、、 “後日、記録を編集する中で” スチールを担当した宮川知宙くんからの記録写真が送られてきて最初にチェックすることができるわけだけども、いつも企画に対しての記録写真が送られて見ると、知っていることの写真を見るというのは関係ないものを見るのと違って、解像度が上がった状態で見ることができて、いつも幸福を感じる。前に食べて美味しかった料理がなぜか写真で見ても美味しくてにやにやしてしまう感じ。 写真の中には人の表情を写したものもあれば、動作を切り取ったものもある、また転機となったかもと推測されるようなアクションやアイテム、作家の発表が並び替えられるというよりもどうぶつえん写真を通しては鑑賞者は、再びフラットにその写真を見ていくという別のルートを経験することになる。 映像を頼んだ関さんは1月にライブハウスで出会った友人の友人でたくさんのバンドのサポートを務める人気な人。そして本人はパティシエでもある。 最初から最後まで見てくれた観客の1人に彼のバンド仲間がいた。また終わったあとの代々木公園での打ち上げに続々と仲間が現れてパーティーに加わるのがとても楽しかった。 一曲ずつ歌い合ったりして。 この日は僕は20時半に帰った。もう少しパーティーは続いたのかな?非常に有意義な代々木公園での時間をみなさん、本当にありがとうございました。 Aokid 2024年10月9日
『どうぶつえん / Zoo vol.17』 撮影、編集/Film and edit:関海/KaiSeki
「どうぶつえんvol.17」 開催日時:2024年9月23日(月) 出発時間と集合場所:14時に代々木公園原宿門入ったところのトイレと売店の間あたりに集合してください。その集合後出発します。トイレを済まし、飲み物などを持ち、準備完了しましたら行きましょう! 参加費¥:チップ制 (この日のアーティストフィーになります、こっそり僕の指定するポケットまでカンパをお願いします) Aokidコメント:久しぶりの開催となります。雨天の場合はそのままの開催が難しくなるためかなり形を変えての開催となることをご了承ください。引き続き暑いことが予想されますので水分を適宜とり、気分が悪くなったりしたら僕や出演者までお声がけください。終わった後に残った人でそのまま公園で打ち上げをする予定です。ぜひこちらも気軽にご参加ください。出演者はもう少し増える予定です。お楽しみに。 発表者: 荒井優作、山村佑理、金川普吾、PIDAN、平野遥、萩原雄太、木原萌花、小西善仁、Aokid 撮影: 関海、宮川知宙
どうぶつえんvol.16 in 千秋公園 撮影、編集:秋山卓登
by オジモンカメラ
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