タイルの上、大きく貫かれた溜息吐息を吸い合う唇、そのひと繋がりまっ最中の浴室で、ガラス戸が揺れる。
(お愉しみのところ申し訳ありません。「出荷」の準備が整いました。)
繋がりをあっさり解く。老人は、キョロキョロと見回して、青い輪ゴムを2つ。
「コレ。チンポと手首に。今日からお前は、俺のモンだ。」
緩いゴムは、青年の右手と金玉の裏に、二重巻きでガッチリくっつく。
ガシャっ、とガラス戸を出て、毛むくじゃらの足が6本、順番に脱衣所を踏み締める。
ツインベッドは、すっかり改造された二人の若者のショーケースになっていた。
「「オスっっ!!俺たちっ、しっかり、チんポとマんコを鍛えていただきましたっっっ!!!」」
船のマストのように肘がしっかりと左右に伸びている。
数刻前まで漲っていた脇毛は、否、坊主頭から太腿の毛まで、いやいや、体表のあらゆる毛という毛が、剃刀職人の手でしっかり取り除かれた後、特級脱毛クリームで毛根が殲滅させられていた。
眉毛まつ毛まで除去されたまん丸の瞳は、虚ろに燃えている。
太腿の太い方は、頭のてっぺんからつま先まで、体表を真っ濃い小麦色に染色され。
かつて責任感に満ちた方は、対照的に、肌をしっかり脱色漂白され、見るも鮮やかな高級ミルク色に。
遠目で見ると、黒と白、いずれも「X」の形に固定され、男の脂で照り輝く特上のカラダだ。
老人に付き従う、真っ赤に顔を腫らした丸坊主の瞳、体じゅうに愛を刻印され、しかしこれ以上なく先っちょを天井へ突き上げるその素っ裸を目にすると、二匹の腹筋は、グッ、と一瞬、動揺する。
その瞬間、ほんのたった一瞬だけ、2年生の祐△と智□が、健気で愛おしい勝◇◇を、思いやる瞳になる。
「おまえら、すけべなどうが、ちゃんと、はちじかんぶん、とったからな。もうすぐ、やまほど、ちゅうもんがくるぞ。」
二匹とも、黒革首輪の裏で喉仏をゴックリ鳴らし、目を瞑る。
「分かるか。なぜ、あいつらが、あんなに作り込まれて、野郎の道を貫くのか。」
オールバックが、いかにも悲しいツラで、素っ裸の青ゴム坊主に問いかける。
一方通行、もう後戻りできないその道を、指し示す標(しるし)。
各々1つずつ与えられ、映え美しい眉間にみっちりと濃く太く焼印された、「♂」「*」の雄の記号。
そして大きく誇らしげ、左右に張り出し盛り上がる極上の力こぶ。その内側の両方に、正面の誰からも見えるよう、しっかりと刻まれている。
小麦色の方には、左右で二本一対、黄金(きん)色に逞しく怒張する筋肉陰茎が。
乳白色の方には、漆黒に輝く、こちらも左右で一対の、見事に咲き誇る筋肉菊花が。
お揃いの番号と、画像データからクリアに再現したかつての「持ち物」が、立体感あらわに彫り込まれている。
小麦色には、眉間に「♂」、背番号「36」チンポと、背番号「24」チンポ。
ミルク色には、眉間に「*」、背番号「36」アヌスと、背番号「24」アヌス。
「しっかり用途、書いとかなきゃな。発送ミスで取り違えんように。」
ベッドの横では、奴の部下が映像を逐一、チェックしている。部屋じゅうに淫らなステレオサウンド。
『すんげぇ、日頃こんなにちゃんとパンプしてる子、抱くの初めてだぜぇ』
(ンァっ、あっっ、すっげ、こんなっっ、アッあっあっ)
『俺(おい)ラのガマン汁で、飴(アメ)ちゃん溶かして、兄(あん)ちゃん、滅法、気持ちよかろうなぁ。』
(じゅぽっ、んっ、ぐっっ、キモっい・・チいっっいーっっっ)
(んっんっんっ、んクソっっ、はぁっはぁっはっっはっはっっん)
(ヤメッ、あっ、めっっ、あっ、ヤダっっ、アンっんっっ)
『ほらほら、男色三段重ねだ。特盛りのホモ魂を見せてみろっ!!』
『まぁだ、足りねぇかぁ、ほれっ、吸えっ、もっと吸えっっ!!』
『足上げろぉっっっ!!その筋肉はなんのためダァっゴラっっ!!』
『スンゲェ、まぁる見えだなっ、オイっ。ヤッベェな。ズボズボだぁ』
『コレ見てる皆サンが、コレ見てナニしてんのか分かってんだろうな、オイっ、そうだ、その表情(かお)だぞっ』
画面の中、どこから現れたのか、筋肉ゴーグル兄貴達に突っ張り腹の覆面オヤジ連中、極彩刺青モンモンモンに胸毛ガテン熊野郎ども、鞭しならせた黒革変態紳士の皆様や全身ラバーの超弩級巨根らが、何人も何人も何人も列なして、入れ替わり立ち替わりパンパンパンパン、腰を動かしている。肋(アバラ)から下だけ本性を剥き出しにした、どの手首にも輪ゴムが増えていく。
両方のベッド前の鏡の上にマジックペン、競い合うようにみっちりと増殖する、正の字、正の字、正の字、そして正の字。いく筋も滴る汁で溶けて黒く滲む。
「1年だけは、勝◇◇だけは、ってな。とっくに中身がドロドロになった2つの坊主頭で、涙ぁ流して、風呂場で土下座してんだぜ。こっちは、そんなつもり、ハナから無かったのによ。」
めくるめくキンタマとキンタマの狭間でみっちりと仕込まれ、じゅぼじゅぼ脳波を焼かれてくず折れた二匹からぐうの音すら出なくなった後。
続けて部屋を訪(おとな)う多くの技者(わざもの)達による、一晩かけた見事な作り込みは、眉間と両腕のみではなかった。
左右が急速かつ均等にホルモンコントロールされた胸筋は、太い鎖骨でようやく支えきれるほどに、広くブ厚く膨潤している。まさに野郎の乳といった風格。
左の胸地、心臓の位置には、角ばったスポーツフォントで血の色それぞれの番号、「36」と「24」。
右の胸地、小麦色の方には太く漲る金属バットを、乳白色には縫い目も鮮やかなベースボールを。
血管がメキメキと張り巡らされたその突端、敏感な乳首は、犬の亀頭ほどの太さまで垂れ膨れ、左右両方ともでっけぇ太ってぇゴールドリング。その下には真っ赤な分銅、ぶらり、ぶらり。
「どんなことでもする、っつーて、まるで競争みてぇに、志願し合った野郎どものカラダだ。目に焼き付けろ。しっかり、見届けろや。」
その膨らみ彩られた胸の充実感とは段違いに、コンマ一ミリも贅肉を残さず引き絞られ、仕上げは2時間の高真空浣腸と数リットルの強制排尿剤でカリッと強く硬く、みっちり練りこまれた腹と鼠蹊部。
体表と同じ色の縄目がミシミシと、一方は太寿亀甲、他方は曼珠沙華に形作られ、新たな門出を祝福。
胸筋腹筋を見事に彩る荒縄は自在に伸びて、黒革首輪の前にがっしりとしがみつき、首裏の両手首をも咥え込んで離さない。
その縄の裏の、鉛色の汗で彫刻された腹筋、食パンのような8パックの前に浮かぶのは、しかし、左右で天地の差であった。
「何ぃっ、お前ぇら、嬉しくないのかぁ!!もういっちょ、トばしてもいいんだぞっっ!!!」
「「シコんでいただいてぇっ、アザーっっっっすっっっっっ!!!」」
小麦色に灼けた「X」の中芯、男子の一等、大事な部分は、腕ほどの大きな金属製の筒で覆われている。
その下の金玉は丁寧に縮小され、その代わりに、もう一本の「お愉しみ棒」が、まるでエ●プトの神の顎鬚のように、床を目掛けて鋭く勃起している。
かつての自慢の両太腿を、圧倒するくらいの存在感で。
「なぁ、勝◇◇、もう数日経てば、あの筒くらい、チンポが太くでっかくなるぞ。四六時中勃ちっぱなし、疲れ知らずの腰には似合いだ。」
金属筒の透明なウィンドウから見える肉茎は、すでに尋常じゃないくらい、はじめのサイズを超えている。
「下のでっかいチンポは紛いモンじゃねぇ。血がちゃんと通った、正真正銘の第二のチンポだ。孫悟空のシッポみたく、チョイと握られたら絶頂モンのな。」
一方、ミルク色の方は、親指の爪くらいの大きさの、堅固な貞操帯に収められている。
その前にぶら下がる太い南京錠。鍵のない鉛色の番号は、無論、鏡文字の「36」。
その南京錠を裏から圧倒するように、丸く大きく、ずっしり肥育された陰嚢。
むしろ、貞操帯自体が、膨れたキンタマの熱い欲望を留める安全弁のようにも見える。
収穫間近の二つのふくよかなボールには、ブッ刺さった太い金属の管が一本ずつ、どくんっ、どくんっ、と見知らぬ養分を送り続けている。
老人は、隣の坊主の、ぬるく汗ばんだ逞しい肩に腕を回す。
「そんでなぁ、あっちの金玉ももう、とっくに絶鋒モン。3秒もガマンできねぇ。イきたいなら挿れるしか出口が無ぇ。誘われりゃぁ、泣きながらケツ開いちまう、強烈なヤツだ。」
という口パクをすることすらもう、ベッドの上の展示品には選択肢がない。
ケツの穴から、脳みその裏天井まで、シワというシワが精液洗浄(ザーメンクレンジング)済み。
左右の耳の穴は既にみっしりと呪文に濡れている。部屋を満たす周波数が程よくコンバートされ、肉色の鼓膜が、豊かな耳朶が、形の良い耳殻が、鋭く発火する。
眉のない瞳は真っ直ぐ虚ろに己の道を睨み、美しい鼻梁は赤く奮起。
唇は求めて潤い、舌は膨らんで従順、喉仏は大きくゴクリと上下する。
いずれそれら未開の肌の上にも、樹脂や金属、色素や顔料が踊ることだろう。
「どっちも、ケツん中は、文字通り、ミミズ千匹だ。昼に来たガイジンたちが仕込んだだろう。あいつらの精液のキツいヤバい酸が直腸を焼き切って、中はうぞうぞ、常にヌルヌルの、特上のオメコに作り換えた。もう」
「並の男子(おのこ)にゃ戻れねぇ。ずっぷり、魔羅色の青春、って具合にな。」
床を浸す黒いモーター音は二重奏。2つのオメコ穴から垂れる太い太いケーブル。二匹の体に巣食う蟲を歓ばせるための、特製のバイブレーションだ。
「金玉が、万が一、億が一、枯れたとしても、前立腺に特注のザーメンソケット、びっちり仕込んでるからな。」
人様のキンタマからオメコ穴へと放(ひ)り出されたザーメンをそのままトラップ、吸い込んで、その勢いを借りてまるでピストンみたく、カラダん中、幾度も突き抜け循環してポンピングするザーメンマシン。
細かくぶるぶると震える、二本、二対の太腿は、色とりどりの太い汗をみっちりとかいて、射出寸前の理性をなんとか堪えている。
オールバックは、腰に手を当て、二匹に最後通牒を突きつけた。
「お前は熱●海。現業公◉員様の研修施設で、1ヶ月。筋肉の海ン中、しっかり男を見せろっ!!」
「お前は湯◆沢。野郎芸者の花舞台だ。一枚でも多く、臭っせぇブリーフをもぎ取ってこいっ!!」
「どっちかがバックれたら、分かってんなぁ。テメェらの片割れがぁっ、コレ以上どうなってもイイってぇっ、ことだからなぁっっっ!!」
「己」と「仲間」を仲良く両腕に刻印された二匹は、歓びも高らかに、大きく咆哮する。
あああんと開けた口、背後から速やかにコブ付きのでっけぇギャグボールを噛まされ、仕上げに黒い頭巾を頭から。バチんっ、バチんっ、と特殊アタッシェケースが開けられ、ぐるり右足首に彫り込まれた永久電子アンクレットでケースと最終照合されると、ヨダレ坊主どもは装備品ごと収納された。
手際は上々。ものの3分も経たず、あっという間に2つの鉛色の箱はホテルから運び出され、地下駐車場から車2台、それぞれの旅に出る。
残されたクソ坊主は、驚くべきことに、行ってしまったアタッシェケースの中身から興味を失っていた。
「お前も、あいつらも、大丈夫、大丈夫。まぁ、座れって。」
お前次第だ。そう、オールバックは言う。老人は窓向いてタバコ。
「お前が、支局長・・・達さんのオメコになれば、あの二人は、ちゃあんと1ヶ月後、帰してやる。たんまりお土産持たせてな。達さんも、俺も、◉◉学園OBだ。鬼じゃぁねぇよ。」
「そうじゃねぇよ。ほんとのほんと、ぐっしょりオメコになるってのは」
そう言って、ベッドを指差す。肩に回った腕がアツい。
「あそこでなぁ、ライト浴びて、皆さんに見守られながら、二人でしっぽり契り合うことを言うんだよ。」