正の整数nに対して, n個の正整数a[1],..,a[n]とするとき,
a[1]<...<a[n]およびS=Σ[k=1,n]1/a[k]<1/3を満たしながら,
Sを最大化するような整数の組(a[1],...,a[n])は存在するか?
(1) 正の整数nに対して,
n個の正整数a[1],..,a[n]とするとき,
a[1]<...<a[n]およびS=Σ[k=1,n]1/a[k]<1/3
を満たすような整数の組a=(a[1],...,a[n])の集合をAとする.
今, N>3nとなるような整数Nを選び,
a[k]=N+kとすると,
Σ[k=1,n]1/(N+k)<n/N<1/3より,
Aは空集合ではない.またa∊Aに対してS(a)<1/3であるから,
L=sup{S(a)|a∊A}と置くことが出来る.
(2)正の整数mに対して,Lの定義より,
L-1/m≦S(a^(m))≦L
となるような数列{a^(m)}が存在する.
つまり,mに応じてAの元を選び,lim[m→∞]S(a^(m))=L
となるような数列{a^(m)}を構成できる.
今 m>2/Lとなるように整数mを選ぶと,
L/2<L-1/m<S(a^(m))が成り立つ.
ここで,a^(m)=(a[m,1],....,a[m,n])について,
S(a^(m))<n/a[m,1]
a[m,1]<n/S(a^(m))<2n/Lであるから,
十分大きなmに対して,a^(m)の第一成分a[m,1]は,
1以上[2n/L]以下([]:ガウス記号)の整数しか取り得ない.
一方で{a^(m)}は無限列であるから,
{a^(m)}の第一成分として1以上[2n/L]以下の整数の中から,
無限回現れる値が少なくとも一つ存在する.これをa[*,1]とする.
すると,{a^(m)}から部分列として
a[*,1]を常に第一成分として持つ列{b[m,1]}を構成できる.
(3)今k≦n-1として,
{b[m,k]}を1からk番目までの成分が定数であるような
{a^(m)}の部分列とするとき,
b[m,k]=(a[*,1],...,a[*,k],...,a[n])として,
S(b[m,k])=Σ[i=1,k]1/a[*,i]+Σ[i=k+1,n]1/a[m,i]
ここでa[m,k+1]がいくらでも大きな正整数を取り得るならば,
lim[m→∞]a[m,k+1]=∞となるようにa[m,k+1]を設定でき,
S(b[m,k])<Σ[i=1,k]1/a[*,i]+(n-k)/a[m,i]
lim[m→∞]S(a^(m))=lim[m→∞]S(b[m,k])=Lより,
lim [m→∞]S(b[m,k])=L<Σ[i=1,k]1/a[*,i]
L<Σ[i=1,k]1/a[*,i]<S(b[m,k])
が成り立つ.
ところが,S(b[m,k])≦Lであるから,L<Lとなり矛盾.
よってa[m,k+1]が取り得る値には最大値が存在する.
すると,a[m,1]の場合と同様に,少なくとも一つある値が
無限回登場することになり,それをa[*,k+1]とすると,
{b[m,k]}から第k+1成分がa[*,k+1]で固定された部分列{b[m,k+1]}を構成できる.
以上の議論より,{a^(m)}から部分列としてすべての成分が固定された列{a*}を構成できる.
{a*}は{a^(m)}の部分列であるから,
lim[m→∞]S(a^(m))=S(a*)=Lが成り立つ.
よって,Sを最大化するようなa*∊Aが存在する.
まとめると, lim[m→∞]S(a^(m))=Lとなるような数列{a^(m)}から,十分大きなmに対して定数列となるような部分列a*が生成でき, lim[m→∞]S(a^(m))=S(a*)=Lかつa*∊Aであることを導く,という議論だった.