『さよならの言い方なんて知らない』1巻を読みました。
多分、地球上に存在する作家さんの中で、1位2位に入るくらい好きな先生の作品なので、一部偏った見方が出てきたらすいません。というか、大分うざい感想になりそう。
内容は、出会って5秒でバトルみたいな感じで、色んな人間が隔離されてルールの中でどうのこうのする感じです。SFとも言えないしファンタジーとも言えないしミステリ要素もあるし……ジャンルづけ難しいな。
中心人物は小学生の時同じアニメが好きだと意気投合した三人組です。そこに、キネマ倶楽部というチームの事情があわさりますが、とにかく主人公が怖がりで怖がりで自己中、といった感じです。
地球外少年少女の時にキャラクターの性格がどうのこうのと書いてましたが、これこそあまり良い性格とは言えないのかもしれません。どちらかというとヒールよりの性格や特性な感じがします。
新潮社nexというブランドは、表紙はイラストですが挿絵がなく、一般文芸の文庫とラノベのちょうど間くらいの立ち位置です。ただ、どことなくティーン向けの雰囲気はあります。
だからなのか、高校生周りのキャラクターが多い作者なのですが、それは単に人間が性格が決まったりこう、例えば性格を液体から個体に固めるものに例えると、思春期というのは型に液体を流しこみ、固まるのを待つような時期だと思うので、人間を大きく現わすなら、この辺の年齢が一番描きやすいというか、必然的なものなのかなと思います。
ただ、わりかし色んな年齢の人間が出るので、青春ものという位置づけだとはみ出る気がします。
そういえば、特殊な性格を描くとき、その根拠になるようなエピソードが挟まれることが多々ありますが、河野さんの作品の場合、まるで生まれた時からそういう人間だったような描かれ方をします。
過去のエピソードは大いに出てくるのですが、このエピソードのせいでこうなりました、ではなく、こういう性格なのでこういうエピソードがあります、と他の作家と順番が逆だったりします。この辺はライトノベルを読んでると滅多にお目にかかれない文学的で下向きな表現な感じがします。
また、やっぱり地球外少年少女の時「キャラクターの成長が~」とか言いましたが、この作品にもそれがありません。ただ生きてるだけで、価値観や考え方を変えるような出来事も起こりません。
なのに、なんでこんなに心を打たれるのか、個人的には不思議でならないところです。この人の書く文章自体が好きなんだろうな……って感じではあるのですが、どうやらこの先生は結末から逆算して書かれているそうなので(今もそうかわかりませんが)その緻密さが美しいと感じるのかもしれません。
いい小説を読むと、大抵は人に広めたくなりますが、この先生の作品は、そうではなく胸の内にそっとしまっておいて、むしろ世の中でこの話を知っているのは自分だけならいいのに……とすら思います。(本当にそんなことになったら出版できないでしょうから、それはそれで困りますが……)そんな宝物を手にしてみたい方は、是非サクラダリセットやつれづれ探偵社シリーズ、階段島シリーズも含めて手にしてみてください。