1時間半近く黙々と歩いていたら、会社から家までたどり着いた。なんだ、お散歩してても通えるじゃん。今度から時間に余裕があったら徒歩で行き来しよう。なるべく日の光を浴びていたい。ただでさえ冬に向かっているのだし。
昨夜はそうやって帰宅した。歩きつかれた、という感覚は不思議となくて、ただ心はへとへとにつかれていた。早く楽になりたい、と思いながら湯船に浸かる。悩んでいる暇もなく目の前の物事を解決していけば、気付いたころにはすっかり乗り越えられてしまえているのがいつもだけれど、渦中にいるときはこれが永遠のような気がしてならない。
どうせ寝て起きたら案外すっきりしているものだと床について、目覚めて家を出る準備をしているうちに、本当にその通りになった。スマホに考えを書き連ね、少し晴れた心地で外に出る。どぼんと悲しみに沈んでしまえば、這い上がるのも早い。
髪を切って財布を新調した。ホットコーヒーを片手に川を渡る。待ち合わせ場所までの1時間ほどの道のりを、これまた黙々と突き進む。このくらいの気温の中、あたたかい飲み物を手に歩くのは心地いい。
健康になれば、美しくなれば、自分の外見も中身も愛せたら、悩まされているもどかしさのほとんどを解決できる気がする。にもかかわらず、一直線にそのための手段に手をつけられないのは、目の前の自分やこれまでの積み重ねを否定しているような気持ちになるから。これ以上の理想や幸福を追い願う心と、変わらなくても醜くてもダメダメでも愛してほしい甘えが、対立していてやりにくい。どんな自分でも自分なのに。