風
明らかに風の温度が変わった。開け放った窓から聞こえる虫の声。蝉はもうほとんど合唱していない。すぐそばを流れる小さな川、桜の土手が窓から見える部屋に、桜が散る頃に引越してきて、季節が一周する前に出ていく。
なんだかもう絶望を数えるのに疲れて、突然泣き出したり不安な気持ちになって追い詰められたりしているうちに、涼しくなる。9月はわたしとパートナーが生まれた月でもあり、わたしたちはその月に新しい家族を迎えようとしている。その子を迎えるために急ピッチで部屋を借り、お見合いをして、グッズを買う。
いつか四本足で歩く生き物と暮らしてみたいと思っていた、それは遠い日だと思っていた。でも、ぽんとこちら側に越してきた今、それを実行できる環境が整った。ひとりじゃ重い腰をあげられなかっただろうな、きっと。
最近は毎回写真を見ては暮らしを想像している。名前を考えるのにも悩み、暮らす子と出会うにも、どう決めたらいいのかぐるぐると考えた。選ぶ、なんておこがましい。でも、どの子が困っているかなんてそうやって選ぶこともできない。結局はある程度の情報を探しに行って、実際に会って、あとは彼女がどう思うかトライアル期間に委ねるしかない。
物心ついた頃からの生活が、やってくると思うとなんだか不思議な気持ちになる。夢みたいなものだけではなくて、きっと大変で困って戸惑うこともあるだろう。けれど、わたしはそうやって生きることを楽しみにしている。彼もそうだ。毎日をただやり過ごすだけに必死だけれど、もう少し、頑張れそうな気がしている。









