今年の良かったアルバムをまとめました。2022年にリリースされたアルバム、EPが対象(シングル、ライヴ盤、ベスト盤は選ぶとキリがなくなってしまうので対象外)。過去のアーカイブ(2014年頃のものから)はトップに固定している記事から遡れます。Apple Music, Spotifyでそれぞれプレイリストも作成しています。下記のリンクよりどうぞ。
今年は4240曲、812枚のアルバムを聴いたらしい。
毎年のことですが、邦洋、ジャンルなどは関係なく、リリース日でソートしています。
https://open.spotify.com/playlist/70nW45O4uwSabIRnvIgglR?si=c5TEmqIqRji-5aTFQAKc-g
https://music.apple.com/jp/playlist/2022%E5%B9%B4%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0/pl.u-XkD014riDYplX5v
1/28 OKAY! KENJI/static - EP
ジョージア州アトランタ出身のアジア系アメリカンのミュージシャン。YES!THIS IS EMO!エモ、ポップパンクをハイパーポップという形で射出したら出来上がった最高な音楽。このアルバムはアコースティックバージョンもリリースされており、そちらも非常にグッド。
2018年、くるりをはじめ優れたミュージシャンを多数輩出する、京都は立命館大学のロックコミューンにて結成された現役大学生バンド、猫戦(ねこせん)。80'sライクな装いでステージに立つヴォーカル、美桜の紡ぐアーバンロマンスなリリックが、心地よいシティポップサウンドと甘く絡み合う極上のポップアルバム。肩の力を抜いたヴォーカルとメロウかつグルーヴィにまとまったバンド・アンサンブルは、連綿としたAOR、ジャパニーズ・シティポップの系譜にありつつも、歌詞に現れた遊び心をはじめとした実験性が随所に溢れている。"古き良き. . ."だけでは終わらない瑞々しさがなんとも好印象な一枚。 (intoxicateより)
2月2日(にゃんにゃん)の日に猫ジャケアルバムをリリース。BIG LOVE。
2/11 Neko Hacker/うごくちゃんコレクション
いまやボカロP、Vtuber、といったインターネット界隈で知らない人はいないであろう作曲家/アレンジャーのNeko Hacker。今作は動画投稿者うごくちゃんへ提供した楽曲を中心にまとめた一枚。Neko Hackerの曲はとにかくギターがカッコいい。ハードな速弾きプレイ〜PolyphiaやCHONといったバカテクマスロックを通過したキャッチーなフレーズ痛快な音作りはギタリストなら思わずニヤついてしまうポイントに溢れている。またキュートでポップなヴォーカルライン、ウワモノの扱いが非常に上手いバックのサウンドメイクも一流。
今年一番聴いたアーティストは間違いなく宇多田ヒカルだったと思う。「Somewhere near Marseille〜マルセイユ辺り」「Not In The Mood〜気分じゃないの」「Find Love」など、先行カットされている楽曲以外のパンチも十分。特にアルバム本編のラストを飾るSomewhere Near Marseille は11分を超すクラブミュージックであり、J-POPの範疇を大きく外れた曲の尺、展開。日本のテレビで取り扱われるメインストリームの音楽を主に聴いているリスナーには恐らく馴染みのないであろう音楽だが、海外音楽サイトPitchforkでも高い評価を獲得している。ライトな音楽リスナーからミュージックジャンキーたちまで、あらゆる音楽好きにアプローチできるアルバムのレンジの広さを持ちつつも、破綻することなく一枚の作品として成立している(ボーナストラックという形でリミックス楽曲が数曲くっついているのはご愛嬌)。
2/23 THE SPELLBOUND/THE SPELLBOUND
BOOM BOOM SATELLITESの中野氏とTHE NOVEMBERSの小林氏によるバンドの1st。
後期BOOM BOOM SATELLITESに顕著なドリーミーなエレクトロサウンドを基調としつつも、小林氏のシューゲイザー、ロックテイストが見事に化学反応を起こした奇跡のようなバンド。昨今のTHE NOVEMBERSはL’arc~en~cielのyukihiro氏の助力でマニピュレーターを導入したりとエレクトロの要素も貪欲に取り込んでいたので、この蜜月は非常に納得がいく。高速のビートの上を轟音ギターと壁のようなシンセサウンドが蠢く「名前を呼んで」、ヴァースとコーラスのメリハリがたまらなく心地よく多幸感に満ちた「FLOWER」などなど。
3/23 藤井風/LOVE ALL SERVE ALL
昨今のJ-POPシーンに颯爽と現れ、たった1〜2年で確固たる評価を獲得した藤井風の2ndアルバム。一世を風靡した「きらり」や「燃えよ」といった先行シングルのキラーっぷりはさることながら、平均律からの脱却を試みたオリエンタルな「まつり」をはじめ、タイトルと楽曲のギャップに驚かされる「やば。」など挑戦的な楽曲も多く、あいも変わらず舌を巻かずにはいられない。
チルウェイヴ、ハウス、ファンク、インディーロックと作品ごとにその作風を次々と変化させながらも、オリジナリティを損なうことなくシーンの先端を走り続けるToro Y Moi。Dead Oceans移籍後初のアルバムとなる今作は、グルーヴィなバンド・アンサンブルが映える回帰的な一枚。5月18日(水)には 2016年、有料配信でのリリースという形で注目を集めたライヴ映像『Live From Trona』のライヴ音源と、2019年リリースの前作『Outer Peace』の2作品がアナログで再プレス予定。今作と併せて聴くことで、有機的に進化を続ける彼の軌跡をより一層堪能できるだろう。(intoxicateより)
5/3 TEMPLIME & 星宮とと/Skycave - EP
プロデューサーTEMPLIMEとヴァーチャルシンガー星宮ととによるEP。初夏に聴いて一目惚れしてからずーっと聴いていた一枚。曲によって別人かと聴き間違える程に多彩な歌声を聴かせてくれる。透き通ったヴォーカルと2000年代2ステップガラージ的な清涼感に満ち溢れたサウンドが弾ける「skycave」、一転キュートで舌ったらずな歌い回しがクセになる「yawncat」など全5曲。秋ごろにリリースされた『Escapism - EP』もまた非常に素晴らしいので気に入った方は是非。
台湾の3ピースマスロックバンド、Elephant Gym。タッピングを多用するベースの印象が強いバンドだが、今作はピアノのアレンジも多くなった(なんとベースKTによるピアノソロ曲「Dreamlike」も収録。これがまたラヴェルの「道化師の朝の歌」的なニュアンスもあって非常に良い……)。日本を代表するポストロックバンド、toeの「Two Moons」のリフを大胆にサンプリングした「Go Through The Night」や、新進気鋭の日本のバンド、chilldspotのヴォーカルをフィーチャーした「Shadow」(別バージョンとして台湾出身のシンガー9m88とのコラボバージョンも同アルバムに収録。こちらも大変よい)、菅楽団 Kaohsiung City Wind Orchestraとの「Wings」など、客演も数多く招いたことでサウンドの幅は前作と比較にならないほど広がりを見せている。
5/20 Harry Styles/Harry’s House
80‘sポップリバイバルとフォーキーなトラックのバランス感が絶妙な一枚。前作『Fine Line』も最高だったが今作も引き続き最高。ネオンな色彩を用いた魚眼レンズ越しの世界を切り取ったファッショナブルな前作のアートワークから一転、天地の反転した小部屋でラフな服装で佇むHarry Styleが印象的。Apple Musicでのインタビューを読むと、どうやら今作のタイトルは細野晴臣の傑作『HOSONO HOUSE』から来ているらしい。マジか。
5/20 Jordana/Face The Wall
ここ数年の女性SSWで一番ブッ刺さった。今年一番回したアナログはこのアルバム。元々ベッドルームポップの流れで台頭してきていたアーティストだったが、今作でサウンドの幅が開放的になり、ポップかつオルタナティブサウンドに磨きがかかっている。一曲目の「Pressure Point」冒頭での多重コーラスと広がりのあるアコースティックなアルペジオでドリーミーな世界に誘われれば、間もなく伸びやかで優しいヴォーカルに心奪われる。「Catch My Drift」でのギターワークは00年代ギターロックを思わせる揺れ系エフェクターとクリーンなバッキングがたまらなく心地よい。
カリフォルニア南部、パサデナで活動しているミュージシャン。過去作は南西部らしいスロウで暖かみのあるフィーリングをバックボーンにジャズ、ファンク、R&Bをミックスさせたチルなサウンドが印象的。今作はこれまでの彼の作品と比べて、また昨今のスロウなネオソウル〜R&Bの作品の中でも結構攻めててとっつき辛いかもしれないけど、聴けば聴くほどハマってくるタイプの作品。深いところで音楽的な探求をしているが故に分かりやすいポップネスはないものの、長くじっくり聴ける滋味に溢れている。「There Comes a Time」はもう完全にジャズ。
5/27 Stars/From Capelton Hill
カナディアン・インディー・ポップ・バンドとして日本で根強い人気のあるStarsの9thアルバム。20年近いロングキャリアバンドだが、コンスタントにアルバムをリリースし続けてくれている。ありがたい。前作のシンセポップ的な流れの延長線にある作品だが、円熟したチェンバーポップのテイストもしっかり両立している。2曲目「Pretenders」とかは初期っぽさもある。良い。
6/1 ピーナッツくん/Walk Through the Stars
Vtuber黎明期より個人勢Vtuber(事務所に所属せず活動を行なっているVtuber)として活動を続けるピーナッツくん。今作ではほとんどの楽曲にてAGE FACTORYの西口氏の別名義 nerdwitchkomugichanがプロデューサーを担い、トラックの統一感に磨きがかかっている。Vtuberの楽曲=ボカロ的サウンドというのは最早古い時代のステレオタイプであり、HIP-HOP, R&B, エレクトロなど多様なジャンルの楽曲を発表するアーティストが増えている。本作は完全にHIP-HOPのそれであり、5才(という設定)ならではの視点とインターネットユーモアをふんだんに取り込んだリリックがnerdwitchkomugichanの時にラウドで時にアンビエントなトラックと混ざり合い、蜜月のサウンドを生み出している。特に好きなのはトリッピーな「Tamiflu(Feat. チャンチョ)」、ビットクラッシュでヴァーチャルな「roomrunner」、ギターのループサウンドが心地よく切ない「Walk Through The Stars 」あたり。
6/10 Bobby Oroza/Get On the Otherside
フィンランド出身のソウルシンガー、Bobby Oroza。上司が教えてくれてから聞き漁ったミュージシャン。彼の所属するレーベル<BIG CROWN>は坂本慎太郎もよくチェックしているらしく、実際このレーベルのアーティストは軒並み最高。超〜グルーヴィでチルなスムースR&B。最高。記事まとめている時に知ったが、来日してたらしい……い、行きたかった……。
6/29 Luby Sparks/Search + Destroy
話題になった1stの後ヴォーカルが変わって、キラキラとしたギターポップ寄りだったサウンドがかなり4ADっぽいゴスでオルタナ、シューゲサウンドに仕上がってて、初期のコクトーツインズみすら感じる。もちろんギターポップ的楽曲も引き続きあるし、3曲目「HONEY」とかモロTHE1975リスペクト。ラスト2曲は白眉。
ルーツ愛に溢れたギターポップ〜シューゲイザーサウンドを主軸としつつも、今作は更に‘90グランジ〜’00ポップまでレンジを広げたことで楽曲の個性も多様化し、聴き応え満点の一枚となっている。
7/15 Beabadoobee/Beatopia
前作『Fake It Flowers』で一躍注目を浴び、既に数多のフォロワーを得ているBeabadoobee。今作はアコースティックなサウンドとエレクトロなビートをミックスさせたベッドルームポップに、エキゾチックなテイストをまぶしたどこか内省的で望郷の念のようなものを感じる一枚。
コーラスセクションで鳴るマンドリンのサウンド、空間を広く用いたヴォーカルがタイトルの通りユートピアを想起させる「See You Soon」、マイナー調でボサノヴァ的ビートとセンチメンタルなストリングスが絡み合う「The Perfect Pair」、今作の作風とは真逆のディストーションの効いたギターをかき鳴らすオルタナティブ節炸裂の「Don’t Get The Deal」あたりは特に好き。加えてAntidote EditionにはボーナストラックでStrokesの「The Adults Are Talking」のアコースティックカヴァーが収録されており、これもまた秀逸。
8/5 Domi & J.D.Beck/NOT TiGHT
天才ドラマーとキーボーディストのジャズユニット。アルバムジャケットはもちろん、ライヴでの本人たちのビジュアルワークも花や植物を用いており、かつ色彩もビビッドで非常に華やか…と、一般的なジャズアーティストのイメージからはしているが、サウンドはLAのバッキバキなモダンジャズ。
韓国の5人組ガールズグループ。K-POPが今あまりにも最強なのは周知の事実だが、それでも想像を超えてくる最強っぷり。NCTやITZYといった超スターグループも手掛ける、韓国で最もアツいプロデューサー、250(イオゴン)が「Cookie」以外の作曲、編曲を務めている。猫も杓子も良いって言っているが、実際良いものは良いのだ。音最強。一生気持ち良い。
高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井という最強メンバーが集まったドリームチーム、METAFIVEの色々あって発売延期になっていた2ndアルバムでありラストアルバム。LEO今井のヴォーカルが一本芯通っているのでこのバンドはまとまっているんだなあと痛感する。マジでキレッキレ。「The Paramedics」の歌とか完全にゾーンに入っててヤバい。
9/28 Snarky Puppy/Empire Central
ハイパー超絶テクフュージョン集団、Snarky Puppyの新作。今作は大名盤『We Like It Here』と同様、有観客でのスタジオライブの模様を録音した作品。何度聴いてもライヴ音源ということが信じられない程のきめ細やかなプレイには脱帽に次ぐ脱帽。惜しくも今年亡くなられたジャズファンク、R&Bキーボーディスト、Bernard Wrightが参加した楽曲も収録。
10/14 THE1975/Being Funny In a Foreign Language
あらゆる並行世界線全てで愛されているだろうバンド、THE1975の5thアルバム。80’sなサックス、ダンサブルなバンドサウンドが心地よい「Happiness」を筆頭に昨今のシーンのトレンドに乗っているサウンドだが、THE1975の魔法にかかれば唯一無二。なぜこのバンドの曲はこんなにも心の柔いところにすうっと触れるのだろうか。
各所でヘビロテされて俄に注目を集めているシンガポールのインディーロックバンド。最近ならBeabadoobee、一昔前だとBest Coastとか好きな人に刺さりそうなキラキラとしたサウンドがメインだが、Dinosaur Jr.的なファジーなギターサウンドの楽曲もあって非常にエキサイティング。
前作が良すぎたので緊張してたけどしっかり良かった。メジャーデビューしても良さが残ったままサウンドが全面的にパワーアップした好例。配信限定で先行リリースされたEPの楽曲もしっかり収録されていて、盤を買う派の俺は嬉しい。スピッツライクな「水面下の太陽」、ハッピーなムードに満ちた「あいあい」、ユーモアを散りばめたキュートな「ランドリーランド」などなど。
WACKのグループなんですが、Avexからユニバーサルに移籍しての1stアルバムである今作は最早WACKの面影ほぼゼロ。完全に音楽で勝ちにいってる。ただただクールなダンスミュージックアルバム。80KIDZやyahyel山田健人らによる楽曲は昨今のHIP-HOP, クラブミュージックのサウンドを踏襲しており、良質なグルーヴを堪能することができる。
ライヴも先日観に行ったんですが、カッコよかった。アイドルってすげえ。
11/23 ayutthaya/Lighthouse
東京を中心に活動して7年。日本のオルタナティブロックシーンでは根強いファンを獲得しているayutthaya(アユタヤ)の1stフルアルバム。キャリアは上述の通り結構長く、これまでEPは多数リリースされてきているが、フルアルバムは初ではなかろうか。
‘90sエモ・オルタナを地肉としたギターの映えるサウンドとヴォーカル太田美音のスモーキーでありながらパワフルな歌声を最大限に活かした10曲。
伸びやかなサビのヴォーカルラインが最高のアンセム「I’ll be there」、ギャンギャンに掻き鳴らすギターとハイなビートで思わず拳を突き上げてしまう「そうでもない」などなど。マジ最高。
11/30 Bialystocks/Quicksand
周りの音楽好きの中で一番話題に上がる機会が多い気がするBialystocks。1stがあまりにも良くて後輩と熱く語り倒したのが記憶に新しい。今作はフォーキーな方向に大きく舵を取っており、しっとりじっくりと聴ける一枚。初回盤にはライヴ映像がフルで入っており、そちらも非常に素晴らしいので是非。上述の1stから広く代表曲を網羅できる。
以上です。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。よっぽどの物好き!LOVE!