Viewing Coffee×Human 『ゆるやかに真剣に』 file 02 manucoffee 西岡総伸
「マヌコーヒーがまた新店出すってよ」「しかも大きい焙煎機入れるらしい」
コーヒー好きやコーヒー屋の間でも噂になっている準備中の新店で、代表の西岡さんに話を聞いた。
コーヒー屋として、福岡人として、「今」と「これから」
manu coffeeを開店したのは2003年。最初からエスプレッソマシンを据えていた。
喫茶店が好きだという西岡さんがエスプレッソをやっているのは、「30秒で淹れられるから」
「作業効率がいいでしょ。要は面倒くさがりなんです。それが功を奏したよね」と笑う。
長崎生まれ、10代は熊本で過ごし、九州という土地に思い入れがある西岡さん。
福岡でコーヒー屋をやって15年目。コーヒーと福岡の街の関係性について静かに語ってくれた。
ーー 福岡でやる理由って何ですか?東京のほうがマーケットとしては有利な気もするんですけど。
「まったく逆。最初は、僕も不利かな、と思ったりしたんだけど、ずっとやってきて、どんどんよくなっている。今はストロングポイントしかないと確信しています。」
「大きく括ると2つあって、一つはランニングコストが低いということ、そしてもう一つは、九州・福岡でしかできないコーヒー作りの環境がある、ということです。
「まず、ランニングコストに関しては、中央=都市部で有利なのは輸送費ぐらいでしょ。
そして、福岡の環境が有利と思うのは、時間に余裕がある。っていうこと。」
ーーー結果、品質=クオリティへのアプローチや追及に、お金や時間がかけられる。というのが地方のストロングポイントだという西岡さん
ただ、福岡でやっている人がみんなそんな気持ちでやっているとは思ってない。
「東京のほうが対価(ギャラ)が高い、っていうネガティヴな考えもある。地方は確かに対価が低い。でもそれって対比構造が基点の考えかたでしょ。
ストロングポイントにフォーカスして最大限に運営に活かせば、利益や給料はすぐ追いつくと思う。」
ーー 東京のほうがユーザーのπが多いのでは?と思いますが?
「うーーん。 僕そう思わない。むしろπの条件は整っていると思う、福岡の街は。
この街の何が一番いいかって、「ちょうどいい」ってこと、きっと他にないもん。
働いている人間が忙しくなりすぎるのは良くない。もちろん暇なのも良くない。
ちょうどいい感じで働いて、ちょうどいい感じで稼いでたら、目指すところはトップレベルでいきましょう!って気概もうまれるよね。
この街は、これから何かの成長過程をもっていこうと思ったときに成長を促してくれる街だと思ってる。
日本チャンピオンが続出してるでしょ。時間、心、お金に余裕がある。これ、背景にあると思います。僕は。」
ーー 福岡のゆとりのもち方。体感として、自分の人生感にあってるという西岡さん。
「実質的には経営者、基本的には現場の人間でいたい。監督業かな」という。
働く人が働きやすくするための監督業という西岡さんに、従業員にはどんな風に働いてほしいかを聞いてみた。
「自分の人生を楽しくするために、マヌコーヒーがぴったり。というスタンスで働いてほしい。目の前にいるお客様に美味しいコーヒーを一杯一杯出す、ここに携われることを一瞬一瞬楽しんでほしい。それだけです。
その余裕を作るためには、働く時間を短くしていくことかなって思って、シフトしていってます。」
ーー営業時間を短くしてますよね?かなり勇気のいることでは?
「お客様からも理解してもらえるタイミングだったと思ってます。
でも、徐々に制限された時間帯の中でお客様が来てくれるようになって。
営業時間は短くなったけど、これまでより人数体制は増えたので、実は人件費はほとんど変わってないんです。
でも、効率もよくなって、接客時間が長くとれるようになっている。
売り上げが安定してきたことも嬉しいけど、お客様としっかりコミュニケーションを取れるようになったことと、従業員が快適に働けるということが僕の中で大きいです。」
ーー マイナーチェンジは積極的にしているように見えて、実は長期的に慎重に考えている印象の西岡さん。
コーヒーの話をしていても、街の話にスケールが広がったり、人の話にフォーカスが当たったりと、その目は、内外を俯瞰している。
「マヌっていうより、これから先の業界にとってやらなきゃいけないことをやりたいと思ってます。もちろん、ちゃんとできてるかっていうとまだまだです。
うちの会社に関しては、一般企業と同じ給料を生みだしていきたい。
それが実現していったら、ようやく自分たちの“本当に好きな味”を表現する形になっていくと思ってるんです。」
「そうですね。やっている側の人間が忙しいのは良くないと思っていて。
良いものを提供するには、心のゆとりがいる。抜いていい手は抜く。ウチの会社の良いところはそこだと思っています。」
ーー奥には、4月末に搬入されたばかりの新しい焙煎機が鎮座していた。
現在、メインでローストしている3人の焙煎人が、先行して試運転しているところだという。
「こないだね、焼いて、みんなでチェックしてみたんです。」
ーー思わず頰が緩むところを見ると好感触だったらしい。
「初めての焙煎機で、3回の焙煎であのクオリティ出してきた。ウチのロースターたちって、普段、ちゃんと焙煎に向き合ってるんだな、と改めて思った。ゆとり、持ててるんだなって。」
ーー Loring Smart Roaster 35kg
以前から焙煎機の大型化を考えていたところに、日本に入ってきた初号機を買い取るチャンスがあり、今回のローステリアの開設にいたった。
「圧倒的に、焙煎時間=労働時間の短縮になるんです。」
ーーそのことによってもたらされるもの。ここでの楽しみな展開を聞いてみた。
「福岡のいい部分をちょっとでもこの店舗に落とし込みたい。
ここって、時間がゆっくり使えるひとしかこないでしょ?
だから丁寧に、人間臭く、一人あたりの空間も広めにとってます。
ロースターが常にいるんで、豆の理解をしっかり伝えることができます。
だからって構えず、お店の雰囲気にとらわれずに、思い思いに過ごしてほしい。」
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ーー 今後も、さまざまな仕掛けでコーヒーを楽しむ日常を提供していく予定だという西岡さん。
manu coffee では全店舗で、午前中のコーヒーを200円で飲める「Good Time Coffee」というサービスがある。スペシャルティコーヒーを気軽な価格で恒常的に楽しんでもらうということ。
西岡さんがいう地方=福岡のストロングポイントの恩恵を感じる一端だ。
街の、人の、日常に根ざすコーヒーカルチャーの担い手として、manu coffeeのこれからを楽しみにしたい。
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2010年自社の焙煎工場であるオオカミコーヒーロースターを開設
春吉、大名、柳橋、承天寺店に続き、この7月、薬院駅近くにローステリアを開店する
manu coffee roasters クジラ店
〒810-0012 福岡市中央区白金1丁目18-23
http://www.manucoffee.com
福岡の街の色彩の中で、少しずつ熟度を上げていくマヌコーヒーのスペシャルティコーヒーを表現したという。
「“いい”加減 が福岡。明るいパステルカラーでその空気感を体感してもらいたい」
福岡の街の色彩の中で、少しずつ熟度を上げていくマヌコーヒーのスペシャルティコーヒーを表現。
専心性 技術力 遊び心でさらなるステージへ向かっていく意味を込めて色彩の選択をした
メインカラー:Jaune Safran 博多塀、土台の色、博多人の遊び心とデザインセンス、チェリーの完熟